第8話 「実戦試験(4)」






ルフィーがその声を上げた時、ミュウミュウから声が聞こえた。

「ルフィーさんおつかれさま。得点のアナウンスをするシステムがちょっと
おかしいみたいなんで、私の方から得点を言います。得点が25.6、減点は11.2
なんで、合計14.4点。まあまあだと思います。それでは1番の部屋で2回目
の試験を待って。」
「はい。わかりました。」

そう言うとルフィーは弓を持って、フィールドを後にした。

「ちょっと攻撃に当たりすぎよね。私みたいに耐久力が少ないタイプは敵の
攻撃に、まず当たらないことを考えないといけないわけだから・・・・・。
2回目はそこに気をつけないと・・・・・・。」

 ルフィーは1番の部屋に戻ったあとも、今の試験のことを思い出し、どう
すればもっといい得点が取れるかということを考えていた。そんなことを考
えている間に、結花、ブールの順に2回目の試験が始まった。

 2回目の2人の試験はまさに1回目の試験のVTRを見ているようであっ
た。結花は相変わらず目の前の敵にのみ気を取られてあっという間に致命的
な打撃を受けて失格0点。一方のブールは相変わらず、彼なりの理論を駆使
し、効率よく試験を進めた。しかし、さすがに2回目の試験のレベルは弓だ
けの冒険者には若干辛く、47.1点(2回目は100点満点)に終わった。

「ルフィーさん。2回目の試験をはじめます。フィールドへどうぞ。」
「はい。」

 相変わらず1番の部屋で考え事をしていたルフィー。ミュウミュウの声に
促され、2回目の試験のフィールドへと向かった。

「うーん。考えがまとまらなかったわ。まあ、仕方ないからやってみましょう。」

 ルフィーの2回目の試験が始まった。今回は敵の思考が1回目に比べてか
なり強化され、こちらのことをよく考えて攻撃してくる。また、敵同士の連
携プレーもあるようである。最初の5分程度はそれなりにしのいでいたルフ
ィーであったが、試験開始6分過ぎたあたりでそれは起こった。

「まずいわ! これは、挟み打ちねっ!」

小川を背に戦っていたルフィー。しかし、右側と左側から同時に敵がきてしまった。
ここは多少のダメージを覚悟しても、右か左に移動して敵を順番に倒していく
べきであろう。しかし、次の瞬間ルフィーは意外な行動に出た。

「よし、仕方ないわね。」

ルフィーは後ろにある川の中へとジャンプした。ルフィーはこの川が大して深
くない事を知っていたため、このような大胆な行動に出たのである。しかし、
いくら浅めの川といっても、身長1mと少しにルフィーにとっては若干辛い。
しかし、川幅は狭かったので、そんなに時間を掛けずに川を抜け出し、いった
ん敵から大きく距離を取った。

 その後は少し動きが鈍ったものの、大きいダメージを受けることなく試験は
終了した。

「ルフィーさん。先に一つ伝えます。川に入ったのはちょっとまずいです。こ
こは試験場なんで、浅いです。でも、あなたみたいなハーフリングにとっては
あの行動は危険ですよ。いいですね。」
「はい、わかりました。」
「それでは得点です。川に入った減点がありましたので20.2点。それでは2番
の部屋で着替えて、クロードさんの教室に戻ってください。他の2人も各自、
戻ることになっていますので。」
「はーい。」

 ルフィーはぬれてしまった服の着替えを済ませて、今度は一人でクロードの
教室へと戻った。ルフィーが着替えに手間取ったこともあってか、ルフィーが
戻った時には、他の二人とクロードは椅子に腰掛けて休んでいた。

「おっと、ルフィーさんお帰りなさい。試験のほうはどうでしたか?」
「2回目の方が、だめでした・・・・。」
「そうですか・・。おそらくあと10分くらいで結果が送られてくると思いま
すので、少し休憩していてください。」
「はい。」

 そう言うとクロードは外に出て行った。すかさず3人で試験の話題になる。
「ルフィーは2回目どうだったんだ?」
「実はね・・・・・・・・・」

ルフィーは結花とブールに2回目の試験のこと、特にはさみうちを避けようと
して川の中に逃げたことなどを中心に話した。

「なるほどなぁ。確かに体の小さいうちらにしてみれば、ちょっと無謀だった
かもしれないな。でも、結花ならそういう方法もあったんじゃないか?」
「あ、そうですね。私ってどうも、そうやっていろいろ考えて戦うのが、苦手
かもしれないです。どうしましょう・・・。」
「結花さん、まだ私たち初心者じゃない。大丈夫よ。」
「そうそう、これからもがんばろうぜ。」

そこにクロードが戻ってきた。

「はい、それでは結果を発表しますね。まず黒崎結花さん。合計30点ですか
ら、ぎりぎりでクラス8にはなりました。次回はもっとがんばってくださいね。」
「あ、はい。わかりました・・・・。」

結花はこの成績に落ち込んでいるようである。30点というのはクラスがつく
ギリギリの点数であり、あと1点低かったら全くクラスがつかないところであ
った。

「次に、ルフィー・ミリアムさんは、こちらの試験が66.8点、実戦試験の
方が34.6点で、合計は101点ですね。これはクラス6です。もう少し努
力が必要なところですね。」

「最後にブールさんですが、こちらの試験が71.9点、実戦試験の方が、
81.8点ですので合計が154点。これはクラス4ですね。こちらの提示し
た160点には少し足りませんが、十分立派な成績だと思います。」
「今日はこれで解散にします。尚、都合により明日は授業をお休みにしますの
で、皆さんゆっくり体を休めてください。先ほど連絡がありまして、ルフィー
さんが今通っている魔法学校も明日は全てお休みだそうです。それでは、また
あさってお会いしましょう。さようなら。」
「あ、ありがとうございました。さようなら。」
「ありがとうございました。」
「さようなら。」

クロードの教室を出た3人はそれぞれ、自分の帰る場所へと向かっていった。



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