第7話 「実戦試験(3)」






 ルフィーは準備を済ませ、フィールドの入り口に立った。

「ルフィーさん、準備はいいですか?」
「はい、ミュウミュウさん。」
「それでは、今から15秒後にスタートです。」

そういうと、ミュウミュウは手元のスイッチを押した。

・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・
プーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この音と共に、ルフィーの第1回の試験が始まった。

「さてっ。」

ルフィーは周りを見回す。この試験は使うフィールドは同じだが、人によってスタートする地点は
ランダムで決定される。ルフィーのスタート地点は、右側に小さな川が流れている場所である。左
奥の方には、丘が見える。

「距離をとるべきなんだから・・・・・・・なるべく川から離れないと・・・・・・。」

冷静な判断をしつつ、ルフィーは丘のほうへと向かっていった。すると、丘の左の方にオオカミが
いるのに気づいた。周りには他に敵はいないようだ。それを確認すると、ルフィーは手に矢を持ち
オオカミに向けてまず1発。更に少し左に動いてもう1発。その位置で素早くさらに2発。合計で
4発の弓を撃った。最初の一本が左の後ろ足に命中、二本目と三本目はオオカミの左側を通過した
が四発目は目のそばに命中した。

「やったわ。」

 矢を二発立て続けに当てられ、さすがにオオカミもルフィーに気がついた。しかし、足を負傷し
ただけに、本来のオオカミらしさは失われている。一応こちらに向かってはきたがその動きはきわ
めて遅い。そこをすかさずルフィーは、距離をうまくとりながら更に矢を放った。合計9射目、命
中数は5本で、オオカミを倒した。しかし、ルフィーはオオカミを倒したことを確認するとすぐに
左の方を向き、更に弓を放った。

「あれ? おかしいな。何かいたみたいなのに。」

オオカミに向けて弓を放っている最中、ルフィーは左側に何かがいるように見えたのである。そし
てそれが動いているようにも見えた。そのため、オオカミをしとめたルフィーは左の敵に襲われる
のを避けるためにとりあえず矢を放ってみたのである。しかし全く反応が無いため、周りを警戒し
つつとりあえずそちらの方向に行ってみる事にした。すると、そこでルフィーが見たものは、緑色
コケに覆われた巨大な岩であった。そして、その岩の下に先ほど撃った物と思われる矢が落ちてい
たのである。

「ひょっとして、さっきのあれって・・これだったのかな?」

ここでようやくルフィーは先ほどの自分の射撃が判断ミスであったことに気が付いたのである。

「さて、気を取り直していかないとね。とりあえず、もう少し右のほうに行ってみましょう。」

ルフィーは巨大な岩のあった場所を離れ、右のほうへと向かっていった。すると、15メートルほ
ど先に、2匹のゴブリンがいるのに気がついた。ゴブリン達はこちらに向かってくる。どうやら、
ルフィーが気づくより早く、ゴブリン達はルフィーに気がついていたようである。

「あっ。向こうも気づいているみたい。あまり近づかれないようにしないと。」

そういうと、まずは右側のゴブリンに向かって矢を放った。この矢は見事にゴブリンの心臓に命中
し、右側のゴブリンは倒れた。しかし、これはラッキーなあたりだったようである。

「ラッキーだわ。一発で倒れるなんて。でも、狙ったのは足なのに・・・・・。」

ルフィーは本来ゴブリンの足を狙い相手の移動能力を下げてから、有利な状況で相手をしとめよう
と考えていたのである。しかし、結果的には一発目でいきなり相手の急所を貫くことに成功してし
まったのである。

「よし、この調子でもう1匹も」

そういって、ルフィーはもう1匹のゴブリンに向かって矢を放ち始めた。しかし、ラッキーは長く
続かないようで、今度は全く当たらない。撃った矢が見当はずれの方向に飛んでいってしまったり
当たったと思ったはずが、ゴブリンの絶妙の回避によって外れてしまったりが10本近く続いてし
まったのである。

「やっぱり動きながら撃つのは難しいわね。あ、まずいあっち側からも敵がきているわ。あれは・
・・・・・・・なんだろう」

一匹残ったゴブリンをなかなか倒せずに動き回っているルフィー。先ほどの幸運の跳ね返りなのか、
左の方からも敵がきたようである。

「まずい、コウモリだわ。しかも、3匹もいるわね。とりあえず、ゴブリンよりこっちの方を優先
した方がいいでしょう。」

ルフィーは右のほうから来ているゴブリンとの距離をあまり狭くしないように気をつけつつ、コウ
モリに向けて矢を放った。さすがに飛行している相手に矢を命中させるのは難しく、何発かは外し
たが、なんとか三匹のうちの一匹に矢を命中させ、撃ち落とすことに成功した。

「やったわ・・・・・あっ。」

そのとき、ルフィーは二つのことに声をあげた。一つは、三匹のうち、一匹が撃ち落とされたコウ
モリの残りの二匹がはるか上空へと消えていったことである。いくらなんでも、これではもうあの
コウモリたちを狙うことは不可能である。
 そして、もう一つは先ほどのゴブリンが、こちらに向けて投石してきている事である。コウモリ
を撃ち落そうと弓を放っている間、ゴブリンがこちらにこなかったので、少し安心していたのだが
ゴブリンは、投石の準備をしていたのである。結果、二発の石がルフィーに命中した。シミュレー
ションなので、命中部位が光るだけで実際の痛みは無いのが幸いであろうか。

「あっちか・・・・。よし、思い切って距離を取ろう。」

向こうは手を使って石を投げてきているだけ。それならば距離をとったほうがこちらにとっては有
利になるであろうとルフィーは考えたのである。後退する間に一発当てられてしまったが、充分な
距離を取ったため、ゴブリンが再びこちらに近づいてきた。そこをすかさず、矢を命中させ、二匹
目のゴブリンを倒した。

ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

そのとき、フィールドにブザーが鳴った。

「え? 何? もう時間なの?」



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