第5話 「実戦試験(1)」






 ルフィー、ブール、結花の三人は魔法学校に着くと、クロードの案内で魔法学校の校舎を
抜けて、裏のほうへと向かった。魔法学校は海に面して立っており、今ルフィー達は海のほ
うに向かっている。すると、クロードが言った。

「可動的の射撃、つまりより実戦に近い試験はこちらで行います。試験場はこのドアの向こ
うです。」

クロードに促され、ブールがドアを開けた。

「なんじゃこりゃ?」

ブールは思わず叫んだ。普段魔法学校に通っているルフィーさえもまったく知らない場所が
この魔法学校にはあったのである。

「これって、人工の島?」
「そうです。この島を使って試験をします。」

ドアを開けると端があり、その端の向こうには250メートル四方の島が広がっていた。こ
の島は弓矢に限らず、色々な技能審査の行われる場として作られたコンクリート製の島であ
る。コンクリート製といってもそれは最も下の部分で、ルフィー達に見えている部分は普通
の土の地面である。島の右端に建物(試験に使う設備が収められている。また、この島全体
の管理をしているセクションがある)があり、それ以外の部分はフェンスで仕切られた試験
場になっている。高台があったり、木が植えてあったり、草が深い部分があったりと狭いな
がらも地形が作られている。池もあるようである。

「皆さん、説明をしますのでとりあえずあちらの建物へどうぞ。」
「あ、はい。」

クロードに促され、三人は建物のほうへと向かった。

 ルフィー達が入ったのは、長めの机が2つといすが6つという小さな部屋であった。とり
あえず三人はいすに腰掛けた。そこに、クロードと一人の女性が入ってきた。

「はじめまして。私がこの試験場を管理しているミュウミュウといいます。少し前までは、
薬の学校をやっていましたが。その学校のほうは別の人に任せて、ここの専任管理人になり
ました。ここでの試験の説明は私がしますのでよろしく。」
「ということなので、私は教室のほうに帰ります。この方の指示に従ってください。では、
あとはお願いします。」
「承知しました。それでは。」

「というわけで説明。一回しか言わないので良く聞いて。この試験は実戦を想定した試験。
一人ずつやります。制限時間は15分。撃つべき敵は実物に似せた映像。動きます。攻撃も
してきます。といっても、無害な光線だから安心して。でも、当たりすぎるとダメージ超過
判定がなされて大幅減点だから注意。矢の使用本数は自由。何箇所かに荷物袋があるから、
適宜補充。でも、そのあいだも時計は止まりません。敵の攻撃もとまりません。効率的に、
敵を倒すことを考えること。一人2回やります。2回目のほうが難しい。配点は1回目が6
0点満点。2回目が100点満点。では、まずは黒崎結花さんから。」

「あ、はい。」
「結花さん、がんばってね。」
「あ、うん。」
「それではこちらへ。落ち着いてがんばって。焦りは禁物。」

結花がドアから出て行った。公平を期するため。他の二人に結花の試験の様子は見えない。

「おいルフィー。あのミュウミュウって人のしゃべり方なんか変だよなぁ?」
「そうね。しゃべるのが速いし、区切り方も変ですね。どうしたんでしょ。」
「まあ、いいか。」

二人がそんな話をしているころ、いよいよ結花の1回目の試験が始まった。

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 ブザーの音と同時に、結花がテストの行われるフェンスの中へと入っていった。とりあえ
ず、まずは標的を探さなければいけない。結花は周りを見回した。すると右のほうに二匹の
ゴブリンを見つけた。しかし、どうやら寝ているようである。距離は約30メートル。ここ
で結花は考えた。確実に当てるためにはもう少し近寄りたい。しかし、近寄って気づかれて
は命中率も下がる。結花はとりあえず、この距離から狙いをつけることにした。

「あ、多分気づかれちゃう。それなら当てないと。」

結花が狙いをつけて放った矢は見事にゴブリンの胸に命中した。かなりダメージは大きいで
あろう。だが、まだ生きているようである。しかし、突然撃たれたショックでかなり混乱し
て、まだ結花には気づいていない様子。そこをすかさずもう一回撃った。しかし、これは外
れる。それでも、ゴブリンはまだ結花に気づかない。3本目の矢はしっかり命中し、ゴブリ
ンは消えた。開始1分もかからずに1匹目をしとめたのである。

「あ、やったわ。」






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