「いや〜ここホンマにええとこやんけ」
上機嫌のガル。どうやら珍しい物を多数見つけたらしい。
「さて、ここにはもうあらへんやろうからほか探そか」
あたりは静かであった。
その静けさを消すかのように足音がガルの耳に入ってきた。
コツコツコツ・・・
(なんや・・・?誰や・・・?)
とりあえずガルは近くにあった柱に隠れ自分の気配を消した。
(へへへ、気配消すのは得意やで。足音鳴らしてる奴も俺の事には気付いてへんやろ)
苦笑いをしながらも気配を消すガルに、足音がだんだん近づいてきた。
(・・・そろそろ誰か確かめたろか・・・)
ガルは足音の正体を確認しようと、足音が近くに来た所でいきなりとび出そうとしていた。
(・・・相手驚くやろな・・・)
そして足音がガルに近づいた時・・・
「誰や!!?」
ガルはとび出した。
「ほぇ?」
「あ、ガルさん」
「なにやってんだガル?」
「・・・なんやお前等かい・・・。しかも驚いてへんし・・・」
足音の正体はシリンとステフとラスファーだった。
「それよりお前等こそなにしとんねん?」
「ドアを開けるしかけを探してるんですぅ」
「は?なんやそれ?」
「ああ、ガルは知らないんだな。実は皆がこの城に足を踏み入れた時に入り口のドアが勝手に閉まったんだ。それで入り口のドアを開けようとしてもピクリともしなかったから何かしかけでもある
のかな?・・・と言うわけで今グループに分かれてなにかしかけらしい物探してるんだ」
「なんや、そないな事やったら俺にまかせろや!」
得意げに言うガル。
「一人だけで宝捜しごっこしてる奴にまかせられるか」
「な、なんやと!!?これでもこう言う遺跡には慣れとんねん!!」
「・・・あっそ・・・」
「な、なんやその言い方わ!!」
「とりあえずガルさんもついて来てくださいよ」
「そうですよぉ」
「・・・う〜んせやな〜・・・」
(宝捜し終わってへんけど宝捜し続ける言うたらステフになんか言われるやろうしな・・・。ここはとりあえずついて行くか・・・)
「じゃあ俺も付いていくわ」
シリン達はガルをグループに入れて捜索を続けた。

「ねー、これなにー?」
「ん・・・?」
一方ムサシとマイナの方は順調に捜索が続いていた。
「・・・これは石像・・・?」
「おーさまのせきぞーみたいだね♪」
「・・・その様だな・・・。・・・しかしこの石像怪しいな・・・ドアを開けるしかけがあるかもしれない・・・」
ムサシは石像を調べ始めた。
「・・・あまり変なところはないな・・・」
「ねー、次いこー♪」
半分遊び気分のマイナにあきれるムサシ。
「・・・じゃあ次行くか・・・」

「・・・この古城には昔ライトスと言う王がいたらしいわ・・・」
セピアとルフィーはさっきラスファーが見ていた石版を読んでいた。
「お姉さま、ヴァリオス=ジターはご存知なの?」
「・・・名前はうっすらと聞いた事があるわ・・・。でも、確かヴァリオスは普通のハッカーだったはず・・・」
「この石版にはアドベンチャーキラーと書いてあるわ・・・」
「ククク・・・。その話は昔の話だよ・・・」
「!?」
「・・・誰!?」
二人の耳に男の声が聞こえてきた。
「僕・・・?僕はキミ達が今話していた噂のヴァリオスだよ」
「!!」
「ルフィー!!この場から離れましょう!!」
二人は走ってその場から離れた。
「・・・なんで逃げるのかな・・・?遊ぼうと思ったのに・・・。ククク・・・」

編者注)サイアド世界に於ける住民の一種「王」は、現実世界のものとは違い、その権力は城とその近くの小数の集落にしか及ばない。

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