交わらずに交錯する思い達―― 投稿者:マイナリス=グリム(μξ) 投稿日:2000/04/04(Tue) 01:18
好奇心。ソレに勝るものをマイナはあまり知らない。
今回も、『危険』と言う言葉を飛び越えて、それが先にたった。
「なにあれ、なにあれ〜♪!」
「……えーっとだな――」
クトファーが何か言おうとした時には、マイナはすでに走り出していた。
「わ〜い♪」
「なッなんだ!?
と、止まれっ!止まらんと撃つぞッ!」
中島上等兵が向かってくる子供に威嚇のために銃を向ける。
もちろん、撃つ気は無い。
だが、笑顔で迫ってくる子供の勢いに圧され、状況が判断できない。
――なぜ向かってくるのだ?!
あの子供もアールセキンの仲間なのか?いや、そうだとしても子供を撃つ訳には……
いやしかしっ!
心の葛藤が中島の動きを鈍くする。
「もろへびあ〜ん♪」
後ろでクルクルと回るピンクひじきも、混乱の度を深める役にしか立っていない。
「ハッ」
ふと我に返った中島の視界に、子供の姿は見当たらなかった。
ずんっと銃が重くなる。
「ねぇねぇ、これなぁに〜?貸して貸して〜!!」
「子供っ、危ないから銃に抱きつくなッ!」
銃身に抱き着いているので子供に弾丸が当たる事は無いだろうが、その爆音で耳をやられない
と言う保証は無い。
「あ、あぶっ、危ないですよぉ〜マイナさん〜」
遠くからシリンの声が聞こえる。
ソレ以前に、この状態では、銃でアールセキンを狙う事は不可能に近い。
そこまで考えて、ふっと上から影が差した。
思わず見上げる中島。
――油断が過ぎたか。
思った時にはもう、心のどこかで諦めのキモチが沸いていた。
クトファーに手首をつかまれて、思わず手から力が抜ける。
「とりあえず、話をしないか?悪いがこっちは全然状況が把握できていないんだ♪」
銃がマイナと共に地面に落ちた。
かくなる上は――
神風アタックを考えた中島だったが、三人の周りを奇声と共にクルクルと回り続けるピンクひじきに
そんな気も失せてしまったのだった。
――敵兵に囲まれた中、死出の旅路を共にするのがこのピンクひじき――さすがにイヤ過ぎる。
そこへ、女性が二人、遠くから駆け寄ってくるのが見えた。
「セピア!、ルフィ−!」
助けに来てくれたのかと思う心と、なぜ来たのかという反発が同時に沸きあがる。
「おや、お二人も一緒だったのですか」
アールセキンが一緒な事に難色を示した二人だったが、手を掴まれている中島を見て歩み寄ってきた。
「……その人が何をしたか知らないけど、とりあえず離してもらえる?」
「話し合えるのなら、それに越した事は無いと思うが……」
ドンッ!
手を離したクトファーだが、直後に不意に銃声が響いた。
弾丸は中島上等兵のほおをかすった。
弾道は――下からだ。
「きゅうぅぅ……耳痛いぃ〜」
どうやらマイナが銃を玩具にしていたようだ。
その場の誰もが、思わずひやりとする。
「こら、ダメだろうが。そんなものをオモチャにしちゃあ」
「そうそうだめですよ、もっと体の中心を狙わないと当たりませんから♪」
「こぉ?」
「違うだろ……」
あきれ気味にクトファーが突っ込む。
「とりあえず、大事なものらしいから返してあげな」
「うん、もういいや♪ありがと、おいちゃん」
やけにあっさりとマイナは中島に銃を返した。
耳に爆音が残る中、中島上等兵がぽつりと言葉を発した。
「済まぬ――二人の仇を討ってやれなかった……」
「だからぁ、ちゃんと話を聞いてよね。誤解なんだから」
「を?」
その後のセピアとルフィ−の話を、中島上等兵はただ呆然と聞くしかなかった。
状況について行けないシリンは、猫じゃらし片手に狼男と化した檻の中のガルデュンの相手をしていた。
……もしかしたら一番状況を理解しそうな人材はシリンだったはずなのに。
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そう言えば、ガルさんはどうやったら元に戻るんでしょうか?
銃声を聞きつけて、ステフさん登場――なんて都合よく言ってくれれば……
高市だよ中島上等兵 投稿者:中島上等兵 投稿日:2000/04/04(Tue) 16:12
セピアとルフィーの話を呆然と聞いていた中島上等兵は、だん
だん士気が下がってくるのが自分でも判った。
「結局、自分がやっていたことは無意味だったわけだな…」
ぼそりと呟く中島上等兵。
続けて
「目下、討つべき仇がはっきりしなくなってしまったなあ」
何故か残念そうに口にする中島上等兵。
「で、自分はどうすればよいのか…」
「だから! あなたは私たちを護ってくれるって約束したわけで
しょ! だからこれからもそうしていてくれればいいの!」
自分のやるべきことがはっきりしないのが兵士には一番きつい
ことである。そういってもらった中島上等兵はようやっと気持ち
を落ち着かせたように「了解した」と一言口にした。
そしてアールセキンに向き直った。
「それでは貴下に対する誤解を謝ろう。これからは敵ではないの
だから、よろしく頼むぞ」
…………………………………………………………………………
アールセキンと中島上等兵、仲直り(?)できるのでしょうか
それはそうと… 投稿者:朴哲周 投稿日:2000/04/04(Tue) 16:29
どさくさにまぎれて逃げだそうとした女の腕をつかんだ朴が冷
徹に言い放った。
「さてと。これで博打もお流れってわけだよな。お前、12570G
どうやってカタつけんだ、お!」
完全にウロが来ている女は「ちょっとまって下さい」を繰り返し
ている。
「ちょっと待って、いる間に金利はつくんだよ!判ってんのか」
そう言って店の外に女を連れ出すと、内ポケットから通信機を取
り出すとどこかに連絡をとり始めた。
そして、急にやさしい声に変わると
「お前の行き先決まったからな。うまく行けば借金返しきった上
にオツリがくるぜ。はっはっは」と高笑いした。
感動(?)の再会 投稿者:ステファン=ノティス 投稿日:2000/04/04(Tue) 19:00
「ステフ。そこ右だぞ?」
「わぁってるって!うっせぇなぁ・・・」
すたすたと先に歩いていくステフに、ムサシが確認する。
「でもお前さっきから、心ここにあらず、って感じだぞ〜?」
「…うるさいってば!」
今のステフの頭はクトファーのことでいっぱいで、誰かの相手をするのも煩わしかった。
(問題はどうやって探すか、だ。兄貴は気まぐれだから、いそうな場所の見当もつかないし…)
そんなことを考えながら、メインストリートに戻った時だった。
「!?あれは・・・」
「…ステフも聞こえたか?」
「ああ。銃声だな。方角は――こっちだ!距離、約一キロってとこだっ!」
人ごみを掻き分けて、ステフが走り出す。慌ててムサシとジンクが後を追う。
(どうせまた、中島とかいう奴がなんかやらかしたんだろうな…)
そうして二人と一匹は、夜になってもひく気配のない祭りの人ごみの中に飛びこんでいった。
「助けていただいて、本当に有難うございますぅ。あたし、魔法使いのシリン=ダーっていいますぅ」
シリンがクトファー達に頭を下げ、自己紹介をする。
「かまわねぇって。ちょうど通りかかったついでなんだからさ♪」
クトファーが照れくさそうに、片手を顔の前で振りながら答える。
「俺の名は、クトファー=フィナンシェってんだ。今はわけあってパートナーと離れ離れだが、一応ビーストマスターなんだぜ☆」
「あれ?クトファーさんて確か――ステフさんの……」
クトファーの名を聞いて、シリンが首をかしげる。
「おじょ…じゃない、シリンちゃん!ステフのこと知ってるのか?!あいつは今どこにいるんだっ?」
「え〜?わかんないですぅ。ムサシさんと二人で何処かお出かけしちゃったからぁ…」
食って掛かるクトファーに、シリンが困り顔で答えていたその時―――
「シリンっ!無事かっ?!」
後方からステフの声が響く。クトファーがはじかれたように顔を上げる。
「――ステフ…お前…」
「あ…」
ステフが一瞬驚いた顔で立ち止まり、クトファーの方に向かってまた走り出す。
「ステフっ!よく無事でっ―――」
クトファーがステフを抱きしめようと腕を広げる。
すかっ!?
しかしそれは、見事に空振りに終わった。ステフはクトファーを無視して横を通り過ぎる。向かう先には、檻の中、ほんのり焦げて煙を上げてるガル狼の姿。
「ガルっ!大丈夫かっ?!今出してやるからなっ」
立場をなくしたクトファーが、錆びた機械のような動きでゆっくりと振り返る。
「その狼さんがガルさんだって、よくわかりましたねぇ、ステフさん〜」
シリンがステフに声をかける。ステフは手を動かしながらそれに答える。
「あったりまえだろ?仲間なんだから。姿は変わってても雰囲気は変わってないしね」
「ええ〜?そうですかぁ?全然違いますよぉ〜」
そんな何気ない会話も、クトファーには寒く聞こえる。放心状態のクトファーの前にムサシがやってきて尋ねる。
「ところで、あんた一体誰なんだい?」
その顔は心なしかむっとしている。まるで、答えがわかっているが尋ねずにはいられない、といった感じだ。そんな彼らのやり取りをよそに、ガルの檻が開けられた。
ガチャン…
『グルルルル…』
「――出ておいで?ガル」
檻の前でステフが手招きする。
「ス、ステフさぁん。危ないですよぉ〜」
『グガァアアァーーー!』
シリンが注意するのと、ガル狼が襲いかかるのはほぼ同時だった。
きゃあーーーーーー!?
周囲から悲鳴が上がる。しかしステフは、頭上から飛びかかってくるガル狼を見据えたまま動く気配はない。そして、ガル狼の爪とステフとの距離が1mを切った時、ステフの口が動いた―――
「ガウッッ!」
ステフがガル狼を見据えたまま一声咆えた。すると、ガル狼は軌道を変え、ステフの目の前に着地し、数歩あとずさる。そして、後ろ足の間に尾を巻き込み、耳を伏せてステフの顔色を覗っている。(注1)
「よーし。いい子だ。こんな街中で暴れちゃいけないよ?わかった?」
『…クゥ?』
そう言いながら、ステフがガル狼の頭を優しく撫でる。ガル狼が尾を振りながら、気持ち良さそうに目を細める。誰もが何が起こったのかわからずに、ただただ呆然とするしかなかった。
「ちょっとまってな。いいかい?待て、だぞ?」
ステフがそう言うと、ガル狼は地面に伏せて、ステフの顔を見上げる。ステフはそれを満足げに見て、人ごみに消える。暫くして、何かの肉の串焼きを手に戻ってきた。そして、一番上を少し齧り、残りをガル狼に差し出す。(注2)
「ほら。食べていいよ?」
それを聞いて、ガル狼が嬉しそうに串焼きを齧り始める。ステフは笑顔でそれを見つめている。
「…ヒュウ♪さっすが、ステフ。相変わらず鮮やかだねぃ☆」
いつの間に立ち直ったのか、クトファーがステフのそばまで来ていた。
「…動物の扱いはね、習性を知ることが大事なんだよ。兄貴のように力ずくじゃ、彼らは心を開いてくれないよ?」
「手厳しいとこも相変わらず、か」
振りかえって見上げるステフに、クトファーが頭を掻きながら苦笑いを返す。
「お互い無事で何より、だね?クトファー兄貴♪」
「ああ。また会えてよかったよ♪本当に…」
そういって笑顔をかわす二人を、ムサシは複雑な顔で見つめていた。
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ステフ合流&ガル狼手なずけ成功〜♪(僕、狼大好きなんだよね☆・笑)
そんじゃ、あとよろしく〜☆
(注1)順位が下の狼が、順位の高い狼に対してする挨拶。服従の証でもある。
(注2)狼は順位が上のものが先にエサにありつけるので、ステフはガル狼のために、自分が食べ残した様に見せかけたのです。
シリンさん、初めまして ! 投稿者:セピア=インフラレッド 投稿日:2000/04/05(Wed) 17:33
セピアは初めて会う人たちに自己紹介した。
「みなさん、初めましてセピアと申します。こちらは義姉妹のルフィー=ミリアムです。」
すると、シリンを先頭にして次々に挨拶していく。
「あたし、シリン=ダーです」
「クトファーです」
「ムサシと申す」
「ぼくマイナです」
きまり悪そうにステフが挨拶する。
「俺、ステフ。そこにいるのが相棒のジンク」
「お嬢さんがた、ご無事で何よりです。私、リチャード・」
アールセキンが最後まで言い終わらないうちにセピアは彼を無視してシリンに話しかけた。
「シリンさん、ステフさんになついるあの狼は・・?」
さて、と。シノギ。 投稿者:朴哲周 投稿日:2000/04/06(Thu) 13:50
朴は程なくして現れた怪しい風体の男に女を引き渡すと、金貨
で12570Gを受け取った。証拠が残らないほうがかえっていい場
合もある。朴は電子マネーよりもむしろ金貨やインゴットを好ん
でいる。もちろん、融資する際は電子マネーなのだが。
「ちゅうちゅうたこかいな・・と」金貨を数える朴。
「よっしゃ。ピンピンだな。後はあんじょう頼むかんな!」
「へっ。毎度!」女を乗せて走り去るくるま。
「さて、と。次はどうするか…」
(誰か貸したまま焦げ付いてる債権とかないかねえ)
朴の目にとってはゼフィロス祭自体が、稀に見るシノギの季節に
他ならないのだ。この世界で稀に見る大イベント、平常時では考
えられない大金が動いているのだ。
(ったく…くっく…っく。ゼフィロス様さまだよなあ)
とりあえず大団円?って終わりじゃないって 投稿者:シリン=ダー(みねの) 投稿日:2000/04/06(Thu) 13:52
「あれはガルさんじゃないけどガルさんなんですぅ」
「はぁ!?」
シリンの訳の解らない説明に、頭上にハテナマークが飛び交うセピア。
「ああ、あれは俺達の仲間のガルデュン=サークエルだよ。ライカンスロープで、今暴走している真っ最中らしい」
ステフとクトファーの方をなるべく意識しないようにしているのか、ムサシが突然割り込んできた。だが、結果的にはセピアの役に立ったようだ。
「なるほど。だから狼型クリーチャーがこんな町中で暴れてたというわけなんですね」
ルフィーが感心したように頷く。
「そう言えば、君たちが中島上等兵の捜していた人達かい?」
「そうよ。あの人達があなた達に迷惑をかけたわね。ごめんなさい」
「そんなこと無いですよぉ〜」
「確かアールセキンに誘拐されたとか何だとか……あ」
そこでシリンとムサシは、四人の隙をうかがうように立っていたアールセキンに漸く注意を向けた。
「申し遅れましたが、私、リチャード=アールセキンといいます。シリン様とは初対面でしたよね?」
「初めまして〜」
シリンは暢気にアールセキンと握手をしている。その間にセピア達、そして寄ってきたマイナから事の成り行きを聞いたムサシだったが、アールセキンに対する謎は深まるばかりだった。
「そうだムサシ殿。貴殿らのいないところでこの二人に、我々と同じ宿舎に来るよう誘ったのだが、構わないか?」
「いいよいいよ。上等兵の仲間なんだろ。なぁ、シリン」
「はいですぅ〜」
そこで、取り敢えずホテルに戻ろうと言うことになった。ムサシはステフ達にも声をかけようとしたが――
「へへっ、やめろよー」
ムサシが見たものは、すっかりステフになついた暴走ガルがステフの頬をぺろぺろと舐めているところだった。しかも、
「かわいいなぁ〜、ガル♪」
ステフがガルにしっかと抱きつき、そこでムサシは完全に固まってしまった。シリンがいくらつついてもムサシは反応しないし、ステフはガル狼と遊ぶのを止めないため、道行く人々の格好の見物の的になりながらも、一行はしばらくそこに留まっていた。
一方、少し時は遡って、シリンがアプリを売買していた総合アプリケーションストアの最上階(シリン達が出入りしたのとは別の出入り口から入った)。ここにはレストラン街がある。
そのうちの一軒、ファミリーレストラン風の店で、ルネリオとカッツェは食事をしていた。カッツェに「遠慮しなくて良い」と言われたルネリオは、ではお言葉通りと言わんばかりに何皿も注文してしまった。それでも久しぶりのまともな食事なので、料理は順調に胃袋の中へと消えていく。カッツェはと言うと、対照的にスパゲッティ一皿しか注文しなかった。
「……今銃声が聞こえた?」
「そうね。酔った冒険者同士が喧嘩でもしてるのかしら。こういう大きな祭では珍しくない事よ」
「まぁ、いざとなればカロンが来るしね。ところでカッツェは、侍と女の二人連れの冒険者を見なかった?」
「いいえ。夕方に街に着いたばかりだから」
「そうかぁ。祭の間中に、是非その人達と手合わせしたいんだよ。強い人達と戦ってレベルアップしたいから。本当は雇ってくれそうな人を捜すつもりだったんだけど、目標が変わった」
ふうん、と呟くカッツェ。店員がやってきて、テーブルの上の皿を片付ける。そして入れ替わるようにコーヒーのカップが二組、上に置かれた。
「カッツェはゼフィロス祭で何をするつもりなんだい?」
「――私は、ある人の形見を見に来たの。この時期のここには必ずあるから」
「形見……昔パーティーを組んでいた人の?」
「ええ。その人はもう、ずっと前にいなくなってしまったわ。その前に、その人から二つのものをもらったの。一つはこの指輪」
そう言うとカッツェはルネリオに左手を差し出した。その薬指に、指輪が一つはまっている。
「でも、もう一つはアクシスの歴史的な品物として、ムンディ側に取られてしまったの。あれはその人の一番大事なものだったから、私が持っていたかった。この指輪が残っただけでも良しとしなければならないのに、ね」
カッツェの思い出の人は、彼女のアクシスでの恋人だったのかとルネリオは思った。この仮想世界の人間関係に溺れてしまう人々の問題が取り沙汰されているのを彼は思いだした。
「指輪の方も、一回盗まれて大騒ぎしたこともあったわ。今はちゃんとあの人のことは思い出に出来ているけど、やっぱりこの祭のメインイベントだけは見たくて……」
二人がコーヒーを飲み終えると、カッツェは電子マネーでの支払いに立った。その時、ルネリオの顔を見て、言った。
「あなたってゼフィにちょっと似てる。顔とかではなくて、雰囲気とか、そういうのが、ね」
レストランを出た二人は、取り敢えず地上まで降りて、ショップを出てから別れを告げるつもりでいた。だが、入ったときとは違う出入り口をくぐった二人が見たのは――
「あっ!あれ、噂の侍だっ!!」
思いの外早くムサシを発見したルネリオが嬉々とした声を上げた。
発見!決闘へ 投稿者:ルネリオ 投稿日:2000/04/07(Fri) 12:16
「やっと見つけた!」
ルネリオは、目を輝かせて侍のほうに走りだした。
カッツェも彼の後を追いながら言った。
「あの侍?けど、相手はパーティみたいよ」
目的の侍のまわりに、人が集まっている。その上、狼のクリーチャーまで。
「あくまでも、目的は侍と女だけだよ」
ルネリオの声が相手パーティーに近づくにつれてだんだんと弾んでくる。
そして・・・
相変わらず、ガルとじゃれついているステフを前にムサシは凍りついたままだった。
「ムサシさん〜いったいどうしたんですかぁ〜?」
シリンに言われ、ぎこちなくムサシは苦笑する。
「い、いや。なんでもないよ」
心なしか暗い影がムサシをおおっている。
その時。
「ちょっと、いいですか?」
背後から肩をたたかれて、ムサシは振り返った。
そこには、赤帽子をかぶった男と、目に見張る美女がたっていた。
「はい?」
「あの侍のあなたと・・・・そこの女の人」
そう言って、男はムサシとシリンを順番に順番に指さす。
「えぇ〜。私ですかぁ?」
突然の指名にシリンは驚いて声を上げる。
「俺達に何かようかな?」
「あなた達が、昼間に戦った人達に聞きました。侍と女だって・・そうですよね?」
シリンは顔を振るが、ムサシは頷いてステフのほうを振り向いた。
相変わらず、みんなとガルで遊んでいるようだ。
「あっ!!なるほど〜」
不意にムサシが声を上げて、笑い出した。
そして、赤帽子に向き直って言う。
「ははは、君が言っているのはこのシリンじゃないよ」
「ええ?でも、他に女性は・・・」
赤帽子はパーティーの全員を見渡すがわからないようだ。
ムサシは笑うのをやめて、ふと思いついた。
「シリン、ステフを呼んできてくれるか?この人が俺達に用があるらしい。あと、先に宿舎に帰っておいてくれない?」
「わかりましたぁ〜」
シリンが呼びに行くと、ムサシは赤帽子に言った。
「俺はムサシ、さっきのはシリンって言うんだ。まぁ、とりあえず向こうに行って話さないか?」
そういって、ムサシはガル達のいる方向と逆を指さした。
「僕はルネリオ=アリク、この人はシュバルツカッツェさん」
ルネリオは、待ちきれずに頷くと、
「そうですね、そのほうが都合がいいし」
(戦うのに)という言葉を足さないで答えた。
やがて、シリンがガルとじゃれていたステフを呼んでくると、
「どうした?ムサシ」
やってきた、ステフをみて、ルネリオは困惑する。
「あれ?女の人じゃ・・・・」
そう言いかけて、背後からカッツェが耳元で呟いた。
「あの子、女の子よ。みた感じは少年のようだけどね」
「ええ!!」
ムサシはルネリオの反応を見て再び含み笑いを漏らす、そのよこで、ステフは?を浮かべている。
「それじゃあ、とりあえず向こうに行こうか」
気を取り直して、ルネリオ達は町を歩きだした。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ういっす。
せっかく合流したステフさんとムサシさんをまた離してしまいました。
決闘はどうなるんでしょうか・・・
警護は兵士の誉れなりや 投稿者:中島上等兵 投稿日:2000/04/07(Fri) 16:50 [返信]
「珍しいじゃない?上等兵が素直に帰るなんて」
セピアがからかうように中島上等兵に言った。
「いや、ムサシ殿にはムサシ殿の闘いがあるのだろう。それを自
分らが邪魔することはできないからな」
「ふぅん。そういうものなのかしらね」
珍しく中島上等兵が提案した。
「さて、宿舎に帰る前に食事でもしないか。宿で出る食事も良い
のだが、たまには美味いものでも摂ろうではないか」
「上等兵のおごりね!ごちそうさまです〜」
「承知の上!じゃ、異議がなければ行こう。何か美味いもの食
べられる処はないか」
ロッキーもうれしそうにはしゃいでいる。
「ばばば、晩餐んんーーーーーーー」
「よしよし。お前も食わせてやるから店の中ではおとなしくしていろよ!」
セピアは、丸いめがねの奥の中島上等兵の瞳に、はじめて穏や
かなものを感じた気がした。
一行は、皆で食事をするために祭りで沸く繁華街の中を見廻し
ながら進み出した。
…………………………………………………………………………
何だか平和ですねぇ。どこで晩餐にしましょうか。
お食事前に 投稿者:アールセキン(宗一郎) 投稿日:2000/04/09(Sun) 12:17
「よし、この店などどうかな?」
一同は繁華街中央部にある大きめの中華飯店の前に来ていた。
「わー、すごい店ですね」
ちょうど、中国にあるそれのようにきらびやかな装飾が施されている店にシリンは驚嘆の声をあげた。
「ところで……ガルデュン様は店内にはいれるのでしょうか?」
ふとアールセキンが発した疑問に一同の動きが止まった。
「う〜ん、どうなんでしょう?」
「たしかに、言われてみれば……」
「どうしましょう」
他の面子が全員首をひねっている中、当のガルデュンだけがまるで関係ないといった
顔つき(と言っても狼だが)で月に向かって吼えていた。
ガル狼の行方(笑) 投稿者:ステファン=ノティス 投稿日:2000/04/09(Sun) 19:22
とてとてとて……
「なぁ。どこに何しに行くんだ?」
ステフが誰にともなく聞く。
「すぐそこだから。話は着けばわかるわ」
カッツェが答える。
「ふぅん?」
てちてちてち……
「なぁステフ…」
「…あんだよ?」
ムサシが言い辛そうにステフに声をかける。ステフの方は詳しい訳も知らされずに連れまわされて、少し不機嫌になっている。
「…それ、置いてかないか?なにかと目立つしさ。な?」
「へ?…なにを?」
てってってって……
ムサシが『それ』の意味するものに視線を向ける。ステフもムサシの視線を辿って、『それ』が何かやっとわかったようだ。視線はステフの真後ろに向けられている。
「……ガル、なんでいるんだよ?皆のトコへ帰ってなよ」
『くぉん?』
「なぁに?じゃなくてさぁ。皆のトコへ戻りなっていってんの!」
ステフの言葉にガル狼は少し寂しそうな顔をする。
「すぐ戻るからさ。いい子だから戻りな」
『くぅ〜ん…』
ガル狼がしぶしぶと来た道を戻って行く。その背には少し哀愁が漂っている。
「ちゃんと皆の言うこと聞くんだぞー」
『オォーン!』
一応わかったみたいではあるが、さっきの様子を考えると…少し不安ではある。そんなステフ達をよそに、ガル狼は道行く人達に避けられながら人ごみに消えていった。
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はう!時間が前後しちゃってる?!ごめんなさい〜(汗)
とりあえず、ガル狼には退場してもらいました。ほんとは連れてきたかったんだけどね。
あとは戻ってくるなり、暴れるなり、ガルさんの自由です。
で、今日はもう暗いから、ムサシVSルネリオ戦は大会かなんかで、ということにしない?
長引きそうだしさ。
中華料理に舌鼓 投稿者:セピア=インフラレッド 投稿日:2000/04/09(Sun) 21:09
ステフのもとを一人寂しく去っていったガル狼はシリンたちのパーティーに合流するや月に向かって遠吠えをしている。
「ガルデュンさんもお腹減っていることだし、ダメでもともとということで知らん顔して連れて行きましょう」
セピアのこの言葉にみんなは頷いた。
相変わらず、シリンはガルのことを忘れて大きな竜の彫り物に見とれている。
セピアの肩にだかさっていたビットも竜の彫り物をみて仲間だと思って長い舌をペロペロ出していた。
「わぁ〜ん〜だぁ〜ふ〜るぅぅ〜!」
ロッキー=メイビアが右手を高く挙げて踊りだし独り言を呟いている。
一行が店内に入ろうとした時、中から中国服を着た大きな男の支配人が出てきた。
「動物を連れて中に入ってはダメです。そこの兵隊さんの銃も預からせてもらいます」
「なにぶんこういう場所は初めてなもので失礼した。それでは銃をお願い致す」
中島上等兵にならってセピアとルフィーもそれぞれビットと弓を預けた。
「自分はここでみなさんを待ってますから、どうぞごゆっくり」
ジンクが言葉を話したのをみて支配人は驚いた顔をして嬉しそうにジンクの頭をなでた。
それからガル狼に近づきガルデュンの首にさるぐつわを付け鎖で繋ごうとしたときガルは牙をむき出し唸りだした。
「グガァオゥーーー!」
するとセピアは、支配人から焼き豚を貰い少し齧り、残りをガル狼に差し出す。
「ほら、お食べ!」
ガル狼は床に伏せて、セピアの顔を見上げて従順になり美味そうに食べ始めた。
そして手慣れた手つきで手名付けながらガル狼を鎖で繋いだ。
「支配人さん、代金は後で一緒に支払いますから、ここにいる動物たちにも食べ物をあげてください。」
セピアはそう告げるとみんなのあとから店内に入っていった。
広い店内は祭り帰りの人々の熱気で満ちあふれていた。
一行は紅いチャイナドレスを着た背のすらりとした金髪のウエイトレスに導かれて中央の大きな丸いテーブルに着席した。
「メニュー表をここに置きますので、ご注文がお決まりになられましたらお呼びくださいませ」
中島上等兵が上機嫌な顔をしてみんなにメニュー表を渡しながら話し始めた。
「さぁ、なんでも好きなもを注文してくだされ」
「それじゃ、上等兵のおごりということで中華料理フルコースを皆さんで食べましょう !殿方には紫ビールを、子供と女性はデザートにアイスクリームを・・・ピンクひじきさんはコーラでしたね」
セピアがみんなに提案すると一同は頷いた。
ウエイトレスは、注文を確認すると厨房のある奥へ戻っていった。
一行は運ばれた中華料理に舌鼓をうちながら楽しい会話が弾んでいた。
「ステフさんとムサシさんも一緒にいれば良かったのに!」
セピアのこの言葉にみんなは同感と云う相づちをしながら彼のことが気になっていた。
セピアはジンクとビットと入り口に鎖で繋がれているガル狼にときどき料理を持って出かけていた。
楽しい食事が終わり、一足先に中島上等兵は会計のカウンターに向かった。
「お会計は全部で650ゴールドになります」
中島上等兵は軍隊で支給されたお札の軍票(軍隊に発行されたお札)を差し出した。
「お客さま、このお札は使えません」
彼が困った顔をしていたのを見たセピアは他のメンバーに話しかけた。
「みなさん、食事代は割り勘と言うことで各自で支払うことにしましょう!」
それまで楽しかった一行の表情が途端に怪訝な顔つきになっていた。
とりあえずセピアは中島の分を加算して支払った。
中島上等兵は、すまなそうな表情でみんなに詫びた。
「自分の不徳で、諸君に迷惑を掛けてしまった。この借りはいずれ果たす所存であるので今回は許して欲しい」
中華飯店を出ると一行は宿に向って歩いていった。
夜遅くまで祭りの賑わいで街は活気づいている。
一行の先の人家の軒先で無口な男がムシロに旧マチュピチュ産の様々な品物を並べていた。
「あっ、あの人だわ!」
見覚えのある男にセピアとルフィーがお互い顔を見合わせていたとき、マイナとシリンは既にムシロに並んでいる品物を手に取って眺めていた。
蛇の道は蛇の道は果てしなく遠い〜〔爆〕 投稿者:トート 投稿日:2000/04/10(Mon) 01:01
なんというか、かすかな牛乳の匂いがした。
祭を訪れる人間が一体何人いるのかはトートの知ったことではないが、それを上回る商人の数だ.露天の人間が相手をするには今日は客が多すぎる。
すっかり辺りが暗くなっていたのでカンテラを手元に点けていたが、目の前の客の顔はその光をも反射して照らすほど白く透き通った肌をしているのだった。思わず顔を上げると、若いエルフの娘だ.視線はまっすぐに並べてある品物のほう.
「あのぅ・・・・ちょっと見ていっていいですか?」
『好きにするがいいさ』
「・・・なんか・・・怒ってるのかな」
「そじゃないよ。ノームだから黙ってるんだよ」
『・・・・・・・・』
ノームだからってことはないのだが。
「・・・マイナ、知り合いなの?」
「なんで?」
「いや、”ノームさん”って名前を知ってるから」
トートが小さくずっこける.
「ノームっていうのは種族名だってば!」
「そ・・・そうなんだ・・・」
パイプを取り出して紫煙を吸い始めるトート.
「えーっと、おいちゃん、コレなんだ?」
マイナが拾い上げたのは緑色の壜だ.
「コーラ壜?」
覗きこむシリンをよそにトートが口を開く.
『栓抜きで蓋を取ると一瞬にして水フィールドができるアイテムだ.持続期間は大体一週間といったところだな』
「へえ・・・・水がでてくるんですかぁ」
急にマイナの顔が真顔になる.ふいにその小さな手で壜を引ったくると壜をひっくり返したり細かい刻印などを指でなぞったりしている.
「・・・すごい、オリジナルだ・・・”水域結界”のオリジナルヴァージョンだ・・・」
マイナの目がさりげなく据わってくる。ふいにマイナは壜をしっかと抱えるとトートの方に視線を向ける.
「おいちゃん、ハッカーだろ」
『違うといったら?』
「そんなことないね。だとしたら・・・無知な冒険者か.」
『お言葉だな、坊主.』
「もともとこの壜は空中大陸C-マチュピチュで水を確保するために作られたものなんだよ。もちろん知っているとは思うけどね」
『・・・知らなかったな』
「嘘吐き!普通の冒険者だったら”水フィールド”なんて旧システムの用語はつかわないもん!」
マイナのあまりの変貌に口に手を当てて固まるシリン.
「こらこら両名、なにをそんなにもめているのであるか?」
「いやーん!ウキウキショッピショッピーン! んガ!」
中嶋とロッキーがおって現われる。
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さあ、こんなもんでよござんすか?
見え隠れする、裏の顔―― 投稿者:マイナリス=グリム(μξ) 投稿日:2000/04/10(Mon) 02:18
「まぁ、いいや……おいちゃん、優しそうだし♪」
いきなりただの子供の顔に戻る。
トートは思わず、他の仲間が来たための猫かぶりか?とも思ったが、どうも雰囲気が違う。
どちらかと言うと、記憶喪失の記憶が、一時的に戻ってきたみたいな感じだった。
「あ、お二人とも、今、マイナくんがちょっと変だったんですよぉ〜……」
不安げに中島とロッキーに話しかけるシリン。
だが、シリンの言葉が足らないのと、生真面目なせいでイマイチ誤解しやすい中島、
何を考えているのか分からないロッキーに、まともな会話が成立するはずが無い。
マイナはマイナですっかり無邪気な子供にしか見えないのだから。
だが、その事をトートは説明する気はなかった。
そんな義理もなければ、つついて逆にこちらが不利になりかねないかもしれないのだから。
「おいちゃん、なにか、ぼくにあいそうな武器、無いかなぁ?」
「ん?おまえ、武器の一つも持っていないのか?」
「うんっ!」
――なんてぇ冒険者だ。武器も持たずに……子供そのものだな、こいつ。
トートは溜息をついた。と、同時に、思わず笑みが浮かんだ。
この、何も考えてなさそうな、爽快な笑顔の子供に興味が沸いたのだ。
それだけじゃない。
最初はエルフの子供かと思っていたのだが、良く見ればどこか違和感がある。
……関われば関わるほど、興味が尽きない。
「おいちゃん、ぶきぃ〜」
いつの間にか横にまわって、ローブのすそを掴んでゆする子供に、トートはようやく口を開いた。
「……そうだな、おまえさんは力も無さそうだし、このパチンコなんかどうだ?」
トートは、並べてある商品からでは無く、懐のブラックポットからそれを取り出した。
「……これ、どうやって使うの?」
「ふぅ……最近の子供はパチンコも知らないのか……」
「知ってるもんっ!」
また、思わず笑みがもれる。
こんなに自然に感情が表に出るのは、久しぶりのような気がした。
「それじゃあ、普通と違う点だけ説明しておこう。
このパチンコはな、弾が無い。引き絞って撃てば、勝手に弾が生成されるんだ。
後は、使ってみてから確認しろ。
……面白い事が起きるから」
「ふぅん……」
なんとなく理解していない気もしたが、トートはマイナにパチンコを手渡した。
「えっと……」
ふいに、手渡したパチンコをぎゅっと握り締めながら、マイナが真面目な顔をした。
思わず、身構える。
「……どうした?」
「ぼく、お金、あんまり持っていないんだ……」
ふぅっと、再び溜息が漏れた。
思わず、ただであげてしまおうかという考えが頭の隅をよぎる。
「きれいな石なら、持っているんだけど……」
そう言って、マイナがおずおずと両手で差し出した手の平の中には――
「コレは……!」
思わず、一つ手に取って、ランプに透かして見る。
――間違い無い!1000G級の宝石だッ!!
またこの子供に対する謎が一つ増えた。
――ナゼ、こんなに貴重なモノを沢山所持しているんだ?
「――ふむ、これ二つで構わんよ」
「ホントッ?!」
ぱぁっとマイナの顔が明るくなる。
「……ああ、十分だ。
ところで、コレ、どこで見つけた?」
「えっとねぇ、お友達にもらったの♪」
要領を得ない答えだ。
……子供にそこまで望むのは無理か。
「そうか。
――オレの名前はトートと言う……覚えておいてくれ」
「うんっ!ありがとぉ〜♪
ぼくはねぇ――」
「マイナ、だろ?さっきそこのお嬢ちゃんが言っていた……」
「うんっ!」
トートは、がしがしとマイナの頭をなぜた。
「おいちゃん、ありがとねぇ〜♪」
マイナは、少し離れた所で集まってきている、シリン達の集団の方に走り出して行った。
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なんだか、トートさんの視点で書いてしまった気がしますが、不都合な点がありましたら言って下さい。
即興で書いたので、変なところが分からないです。
見つけたら、遠慮無く指摘して下さい。
……直してもらうのは、シリンさんにですけど(爆)
いいなぁ綺麗な石(笑) 投稿者:シリン=ダー(みねの) 投稿日:2000/04/10(Mon) 02:27
「見て見て〜。パチンコ買ったよ」
マイナは子供らしい誇らしさで、買ったばかりのパチンコをシリン達に見せびらかした。
「ほええ、良かったですねぇ。なんかあそこ面白そうなのが多いけど、あたしガルさんにいっぱい借金してるから買えないんですよぅ」
珍しくシリンががっくりと肩を落とした。ついでながら、夕食はムサシにおごって貰っている。
「えー、でも僕おかね使ってないよ?これと交換したの」
マイナはトートに渡したのと同じ「きれいな石」をシリンにも見せた。
「わぁ、綺麗ですね、マイナさんー」
「いいでしょー。欲しい?ならあげるよ」
「良いんですか?有り難うございますぅ」
マイナにとって宝石はビー玉ぐらいのものなのかもしれない。こうしてシリンは、「きれいな石」を二、三個マイナから貰うことが出来た。