投稿一回目でおねがいします 投稿者:テイ 投稿日:2000/04/01(Sat) 00:49

祭りで活気づくゼフィロスの町の通りを、ルネリオは歩いていた。
しかし、町の活気とは正反対にくらい雰囲気が彼をつつんでいる。
「残金20Gか・・・」
祭りに乗じてやってくれば、何か仕事が見つかると思ったのに・・最悪・・こいつを売らなきゃならないかも・・・
そういって、彼は腰にある片手剣に手をかける。
彼は傭兵をしているのだが・・今は雇い主もなくただぶらぶらと旅をしながら過ごしているのだ。
普段なら厄介すぎる事には遠慮しているが、厄介な仕事は受ければ、大金が転がり込んでくる。
そう思ってゼフィロスに来たのだが・・・仕事は全てきまってしまっていたのだ。
「とにかく、この状況をなんとかしなきゃな」
赤い帽子を押さえながら、彼は宿屋の方に向かおうとしていた。
「ん?」
彼が通った裏道の所に、7人の男が倒れている。
へぇ、全員を同じ人間がやったみたいだな・・・けど、やった人間はもういないみたいだね。
彼の目は悪い癖である強者との戦いに輝やいている。
それ以外との戦闘は極力避けているのだが、彼にはどうしてもそれだけはやめられなかった。
「ねぇ、あんた達、大丈夫かい?」
男達に声をかけてみるが、やはり上手い具合に入れられているのか、なかなか意識が戻ってこない。
「さ・・・・侍・・・と女・・・・」
かろうじて口のきけるようになった男は、そう呟いた。
「侍?侍の人かぁ・・・・・よしっ!!」
彼の中で、一つの目的が出来た。
その侍と戦おう!!という。

−−−−−
うなぎ様>はじめまして、で、いきなりからませてしまいました。これからよろしくお願いしますね。

皆様へ>はじめましての方も多いかな?どうぞ、よろしくお願いします。
あぅ、以降で、彼が呼ばれるときは「ルネ」で呼んでいただくと嬉しいです

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風雲級(675t) 投稿者:トート 投稿日:2000/04/01(Sat) 07:29

 悠久の風亭。
 トートとチープラフはまったく逆のタイプだった。片方は店の客から拍手喝采を浴びつつ椅子に立ち上がってシャンダンを掻き鳴らすチープラフ。一方、その足跡ステージの足元で黙々と酒を飲むトート。この店においてはいつもの光景だが、二人がいるのが窓際であるため、店のほうも派手にライトを照らしたりなんかしている。ハッカーにあるまじき行為だ。
『おひょ?そろそろ時間でねぇの!』
 チープラフが急に我に返った顔をする。
『ククク、皆様お時間でござる。場所を変えて地下のほうでもっと盛り上がりましょオブホホホホホホ!!』
 店に居た与太者の類がわれ先にと地下への階段を下っていく。これから始まるのはそう。チープラフの本職とも言える賭博。
『んじゃ、俺は仕事に入るじぇ。』
「ああ。俺もまた地べたに戻るとするが」
『参加しないのぉ?』
「売上を灰にしてくれたのはどこのドイツだ?」
『あいや〜、こいつは手厳しい。誰もオランダ〜!なぁんて!』
 フロアに残っていた与太者から失笑が漏れる。
『んじゃな、生きてたらまた逢おうぜ。』
「捕まるんじゃねぇぞ」
『お互い様ダヨオトミサン!けひゃひゃひゃひゃひゃ!』
 チープラフの勘定で店を出るトート。外は風もやんで喧騒もうつろ。またムシロを広げる場所から探さねば。
「ちょっと飲みすぎたかな・・・」
 風景が真っ赤に腫れあがっている。
***************************
 話を広げるため、二人に分割。朴哲周とチープのコンビは楽しいかも。トートは使ってくだはれ。

高市じゃあ、朴哲周! 投稿者:中島上等兵 投稿日:2000/04/01(Sat) 14:09

 祭りで沸く浮ついた街の中を一人の男が歩いている。
 派手なスーツに薄いスモークのサングラス、目つきは鋭い。
 一瞬、目の合った少女が慌てて目を逸らす。彼はその様子に別
段驚く様子もなく、当然のようにおびえる少女の横を通り過ぎて
行く。彼はある店の前で歩みをとめると、その中に入っていく。
迷わず地下に入って行く。
 そこでは賭場が開帳されていた。
彼が入ってきたことに気づいた女が慌てて席を立つ。
「パ、朴さん…」
「他人の銭返さないで賭博か……いいご身分だよなあ。お!?」
 まわりに人だかりが出来てきた。

臥薪嘗胆 投稿者:セピア=インフラレッド 投稿日:2000/04/01(Sat) 16:49

アレイクが魔法圧縮ファイル解凍したものは凄腕のハッカー用ではなく、自己防衛の目眩ましの低レベル1の煙幕だった。
シュシュー〜〜〜・・・・☆☆☆☆
セピアの面前でモクモクと白い煙が立ちこめるやアレイクの姿は消えていた。
「アレイク、逃げるなんて卑怯よ・・・私はあなたを決して許せない、どこまでも追い続けて復讐してやる!」
(私がサイアドに初めて参加したときからずっと一緒だった兄のような存在のジャックをあなたはハッカー狩りの巻き添えにして殺してしまった。
あの事がなかったら私たちは幸せだったのに・・・・あれから私の人生は変わったのよ)
アレイクを討ち損ねた無念さと、かつて彼を愛した情念とがせめぎ合いながらセピアは葛藤していた。
傍らにいたビットが哀しそうな目でセピアを見つめている。
セピアは剣を鞘に納めると、路地を抜け表通りの人混みをかき分けながらルフィーとの待ち合わせのゼフィロス像のある場所に向かった。

ゼフィロス像の前では、ルフィーが待ちくたびれた仕草でセピアを待っていた。
「ルフィー、遅くなってごめんね。祭り見物は楽しかった?」
「この前のモンスターとの戦闘で弓矢が無くなったので代金200Gを払って新しい矢を購入したの。まだ賞金の残りが2800Gもあり何買おうかな・・・」
「私、お腹すいちゃったわ。ルフィーのおごりだから、この街で一番高価で美味しいもの注文しちゃうから」
「はいはいお姉さま、どん〜と まかしといて!」
彼女たちは繁華街にあるゼフィロス一の高級レストランに入り、ワインで乾杯しながら食事を楽しんでいた。
「お姉さん、先程はどこに行ってたの?」
「うん、ちょっと、昔の知り合いのところ・・・・満腹になったところで、・・さてと、・・また祭り見物に行かない?」
「行く、行く・・・祭りおもしろいね。それじゃ会計済ませてくるから」
と言って、ルフィーはカウンターで会計を支払った。
「お会計400G頂きます。ありがとうございました」
彼女たちはレストランを出ると祭り見物に繰り出していった。
ルフィーは目をキョロキョロさせながら祭りの賑わいを楽しんでいる。」
「お姉さん、見て見て・・・あそこに面白い物売ってるよ」
ルフィーはセピアの手を引っ張ってその露天にやって来た。
人家の軒先で無口な男がムシロに旧マチュピチュ産の様々な品物を並べていた。
ルフィーは興味津々に品物を見ている。
目の前をカロンが通ったとき、男は一瞬俯いた仕草をしたのをセピアの目は見逃さなかった。
カロンが去った後、男は何事もなかったかのような所作で黙って店番をしている。
男の全身は紫のローブで覆われており、目だけが光っている。
ルフィーは、小さな丸い穴が不規則に並んだ奇妙な格好の紫色のステッキ状なものを手にして男に訊ねた。
「これ、どのように使うの?」

*************************************************************************************************************
トートさん、お後をよろしく!
みねのさん、アクシス内での肉親・一族の設定は出来ない決まりを忘れて書いてしまいすいません。
兄の敵(多分、一緒にプレイしていて、デリートされたんでしょうね)と言う みねのさんの機転に救われました。
うなぎさん、まさかアレイクとセピアがかつて愛し合っていたとは(^^;)

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輪投げ♪ 投稿者:シリン=ダー(みねの) 投稿日:2000/04/01(Sat) 23:01

さて、ゼフィロス祭二日目の一日が暮れようとしていた。祭の期間は、あと五日。メインイベントのナイフ探しスタートは最終日に行われる。
無論、そんなことをシリンは知る由もなく、ガルデュンと一緒に祭を見て回っていた。
「いらっしゃいいらっしゃい、輪投げだよ〜」
「あー、ガルさんー!」
露店の一つに心を奪われたシリンがガルの袖を引っ張る。
「なんやシリン、輪投げするんか」
「はいっ♪」
輪投げの賞品として、玩具ではなく各種アプリケーションが並んでいるのが、いかにも冒険者の祭典らしい。一見して価値の低いものばかりだが、一番難しいポールに輪をくぐらせることができれば、きっと良いものが貰えるだろう――シリンがそこまで考えているかどうかははなはだ怪しいが。多分考えていないだろう、とガルデュンは思った。
だがガルデュンの見る限り、賞品台は回転しているし、ポールは微妙に上下左右に揺れている。輪をくぐらせるのはかなり難しそうだ。
「一回、5Gだよ」
流石にそれぐらいの小銭はシリンにもあるので、彼女はちゃんと自腹で参加することが出来た。
―――― 中略 ――――
「おめでとう〜!見事、一等賞品を獲得!」
「やった〜!!」
「ま、マジかいな!?」
……なんと、ガルデュンにはとうてい信じられないことに、シリンは見事、そのポールに輪を引っかけることが出来たのだ。ギャラリーからも歓声と祝福が飛ぶ。
(そういや、戦闘中も魔法を一回もはずさんかったな。こいつ、実はガンマンかアーチャーが天職なんやないか?ああっ、射撃大会が明日だったら、借金回収できたのに!)
「ほい、嬢ちゃん、賞品だよ」
「ありがとうございます〜」
シリンは露店の親父から三つの包みを受け取ると、それをガルに一時手渡して頭を下げた。
「おっ、礼儀正しい子だねぇ。夜祭りも彼氏と楽しんできな」
「誰が彼氏やっ!」
とにかく、露店を後にした二人は、道路のはじっこで包みを開ける。
「わぁっ、これ何ですかー?」
シリンが取り出したのは、以外にも実用的なアプリではなく、古びてはいるが美しいほうろう引きのゴブレットだった。
「おおっ、こいつぁあ、アトラじゃ滅多に出ないお宝やで」
こういうアンティーク調のものは、実戦には役に立たないが金銭的価値の高い、冒険をより楽しむためのアイテムである。だいたい、遺跡やダンジョンにて見つけることが出来る。
このほうろう引きゴブレットは、中世風の遺跡が多いC-アヴァロンが主な産出地で、サイバー色の最も濃いC-アトランティスでは滅多に見ることが出来ないため、取引価格も高額だ。
「シリン、さっきの店に戻るで」
「さっきの?」
「さっき俺がアイテム売ったところや」
「?はい〜」

そうしてシリンはガルデュンに引っ張られるままショップの買い取りカウンタに来、先ほどのゴブレットを売却した。買い取り価格は2500G。そしてそれはそのままガルデュンの口座に入ってしまった。
「これで、借金は残り1250G、ローン42回や」
「……」
二人が店を出る頃には、通りはすっかり暗くなっていた。
「すっかり遅くなっちゃいましたね。早く帰らないと――」
「うっ……」
「?ガルさん……?」
突然ガルデュンが、身体を抱えてうずくまった。
空には、皓々と満月が輝いていた――

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暴走ガルデュン 投稿者:シリン=ダー(みねの) 投稿日:2000/04/02(Sun) 02:10 [返信]

「あわ、あわわわわ、たいへんですぅ〜!!」
シリンは思わずその場にへたり込んでしまった。
ガルデュンの身体が、みるみるうちに人間から異形のものへと変化していっているのだ。彼が狼男だというのは聞いていたが、目の前で彼が変身するとは、彼女はこれっぽっちも思っていなかったのだ。
やがて、ガルデュンは一匹の大柄な銀狼に変化した。
『グルルルルル……』
「が、ガルさん、大丈夫ですか?」
驚きのあまり腰が抜けてしまったシリンだが、まだ彼女は恐怖していなかった。ガルデュンに理性があると思っていたからだ。
『グアウッ!!』
「きゃーーーーっ!?」
しかし、暴走状態にあり、人間としての理性を失ったガルデュンは、何の躊躇いもなくシリンに襲いかかってきた。
(た、たべられるーーーっ!)
シリンはとっさに目をつぶり、心の中で念仏を唱えた。
――だが、シリンは死ななかった。目を開けたとき、彼女は誰かに抱きかかえられていたのだ。
「大丈夫ですか?お嬢さん」
「ほえっ?あ、ありがとうございます???」
彼女を間一髪で救ったのは、執事の格好に身を包んだ金髪の青年――アールセキンだった。そしてその足下にいたのは、一見エルフに見える子供。
「あっ、シリンおねえゃんだ〜!おねえちゃんもゼフィロスについてたんだねー」
「あれっ、マイナさん!?」
「――ったく、せっかく外にメシ食いに出てきたってのに、いきなり暴走狼男とでくわしちまうなんてな」
そして、この三人を背にし、狼ガルデュンと対峙していたのは、翼の生えた青年――クトファーであった。

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超風雲級(1192t) 投稿者:チープラフ 投稿日:2000/04/02(Sun) 02:46

「おどら朴哲周なめとんのくわぁっ!」
 債権者と非債権者、どこの世界も同じのようで、借金するものされるものという関係も変わらない。もちろん相手のデリートなどという事態であれば問題もおきようが、アドベンチャラー同士の借金債権に関しては管理者が滅多に口をはさむことは無い。
まさに自業自得というべきか、朴が怒鳴りつけた女は年齢30後半ながらやくざな色気。目の下の隈に尋常ではない風情。
「すみません、この賭場は胴元が・・・・」
『くくくふ、言うに事欠いて自分の非力を他人の所為にしようっての?自分の尻は自分でぬぐってこそ冒険者ってもんよ。』
「胴元、能書きはええからコイツに儲けさせてや」
『ブホホホあほんだら、自分が損するイカサマやるゴト師がどこにいるってのよ!自分でお稼ぎ!』
「ほだらあと3順だけ待ったるさかい、はよ始めや」
 朴が無造作に女の腕のポートに指輪を圧しつける。電子マネーが5000G振り込まれ、債権額が12750Gに跳ね上がる。
『相変わらずえげつないわネ、ぬふふふふふふふ』
 乾いた笑いを撒き散らすチープラフだが、目は笑っていない。
「時間つぶしにワシも参加じゃ。一角獣に2000!」
「ライカンスロープに700!」
「・・・・ダイダロスに3000・・・・」
 女のチップが三つ目の巨人の上に置かれる。
『そいじゃ、いいかしら?シャッフルたーいむ☆』
 チープラフが手にした振り子がゆっくりと触れ始める。無表情の朴の隣でぎゅっと目をつぶる女。張り詰めた空気の中で振り子の先の瑠璃だけが光を放つ。とその時、締め切って蝋燭だけのはずの照明に一階からの入り口の木戸が開いて光が流れ込む。
『ちょっとまて!不可視シートが貼ってあったんじゃなかったのか?!』
 思わず素に戻って悲鳴をあげるチープラフ。
「やっと見つけたぜ・・・」
 吐き捨てるような声とともに戸口に居たのは、すでに戦闘体勢に入っていたステフと、発光アイテムを持って彼女の背後に立つムサシだった。
****************************
 賭博に関してはなんとなく考案してありますが、ここでは割愛させていただきます。別の機会にでも。

ストロー杖:名前は不明。 投稿者:トート 投稿日:2000/04/02(Sun) 03:40

 トートの手がセピアに指差されたアイテムに延びようとして不意に動きを止める。これは・・・・偶然とはいえとんでもないものを選んでくれたものだ。
『これは・・・・ストローだな。バダックス銅でできてる。』
「ストロー?」
『いや、言い方を変えれば精霊力のアンプとでも言っておこうかな。』
 気泡の多い魔法金属、バダックス銅のストロー杖を持って埃の塊のようなトートがゆっくりと立ち上がったので、客の二人は慌てて引き下がる。砂埃が静かに落ちる。
『例えば、地霊。』
 トートが勢いよく地面にその棒を突き刺す。持ち手側に不自然に飛び出た取っ手を握って棒を水道の蛇口よろしく捻ると、棒内部の空洞に生気が沸きあがってくる。青い煙となって吹き出てくる生気がトートの手にまとわりつくとそのまま結晶化していく。トートは唖然として見ている二人のほうをちらともせず、生気のまとわりついた手を一振りすると結晶は一振りの宝剣になった。
 『・・・いわば、各四元素のエッセンスを抽出するようなもんだな。俺はノームだから土の扱いになれているが、人間であればどの元素でも楽に使えるだろうよ。中空の金属棒だと思えば護身武器にもなる。引き出した元素は燃料なりなんなり自由自在。』
 いぶかしげなルフィーとは反対に興味津々のセピア。
「ねぇルフィー、・・・・いくら残ってたっけ?」
「・・・・お姉さん?もしや?」
「かなりいい武器なんでしょ?」
『悪くはねぇな。それなりの値段もするが』
「いくら?」
『そうだな・・・・2000ってところでどうだ?』
 この時のセピアの顔をルフィーは忘れられないという。セピアはこれ以上無い位の満面の天使の笑みを浮かべ、甘えるような視線でルフィーの賞金袋を見つめていたのだ。

『ほらほら、道端で使おうとしないでくださいよ!』
 夕闇の大通りを夢心地のセピアを引きずっていくルフィー。
『さて、そろそろこの街も危ないかな...』
道を行く行商からコーヒーを買って一息つきながら見送るトート。
 C-マチュピチュの禁断の武器が、また世に放たれた。
もう陽の色も蒼く、砂漠からの風が逆流する時間だ。

****************************
 う〜ん、気がついたらセピアのキャラクターをいじってしまっていたかも。また怒られるのかなぁ...。(--;

華麗なる誤解 ! 投稿者:セピア=インフラレッド 投稿日:2000/04/02(Sun) 12:00

露天で並んでいたストロー杖に未練を残す表情のセピアを見て、ルフィーはセピアの手に2000Gを手渡した。
「もう、いいのよ。そんなことしたらルフィーの賞金が僅か残り400Gばかりになっちゃうでしょ!」
「私が今こうしているのもセピア姉さんのお陰なんだから。遠慮しないで貰ってね」
「それじゃ、2000Gの借金ということにして遠慮なく貰っておくわ。」
「私、ここで屋台見物しているから、姉さんは戻って買ってきなさいよ」
「じゃ、ちょっと待っててね」
セピアは嬉しそうに先程の露天に戻っていった。

「さっきのストロー杖もらうわ!はい、2000G」
セピアはコーヒーをすすっている寡黙な男にお金を手渡した。
「姉さん、それ値打ち物だから大事にしな。ありがとさん」
「あっ、向こうからカロンが!」
男は一瞬ひびった所作をした。
「ふふふ、冗談よ。あなた、お尋ね者のハッカーでしょ?」
「姉ちゃん、冗談きついぜ」
「安心して !あなたをカロンに売ったりしないわ」
「自己紹介するわ、私はセピア・・・あなたの名は?」
「トートと呼んでくれ」
「あなた、黒い法衣を着た神父アレイク=ハードラという男を どこかで見かけなかった?」
「知らねえなぁ、その神父がどうかしたのか?」
セピアのその言葉にトートは、またもやひびってしまった。
「そう・・・じゃ、またどこかでお会いしましょ」
セピアはルフィーのいる屋台の方へ戻っていった。

「ルフィー、お待ちどおさま。思い切って買っちゃった!」
「お姉さんも子供っぽいとこあるのね。あの時のお姉さんの顔は天使の微笑みのようで可愛かったわ」
そう言われてセピアはアレイクによって殺されたジャックのことを思いだしてしまった。
ジャックもセピアの顔をみて、よくそう言っていた。
自然とセピアの目から涙が頬を伝わっていく。
「お姉さん、どうかしたの?」
「ちょっと、昔のことを想い出したものだから」
「お姉さん見て!向こうから見覚えのある人たちがやってくるわ」
「中島上等兵たちじゃないの!」
セピアの手招きに中島たちも気づいて彼女たちの方に走ってきた。
「無事でなによりだった。アールセキンとかの悪い輩に連れ去られていたので心配して諸君を捜していたのだ。」
「中島上等兵殿は、そこの連れ合いと戦っていたのでは?」
「ピンクひじき、お嬢さんたちに自己紹介せよ」
「ろっきー めいびあよ〜ん」
ロッキーメイビアンは覚え立ての化鳥蹴りをしながら彼女たちに挨拶している。
中島は、セピアの目が赤く充血し涙目であるのを見ると哀しみと同情とアールセキンへの怒りがこみ上げてきた。
セピアは、アールセキンから別れた経緯を語りかけた。
「わたしたちは、アールセキンから・・・・」
「女性の口からそんな恥ずかしいことは言えない。それ以上は話さなくて結構!」
彼女たちの頭に?マークがいくつも並んだ。
「アールセキンの奴、乙女たちの純潔を奪うとは許せん。奴をこの手で成敗してやる!」
中島上等兵はアールセキンへの怒りで燃えていた。

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歩兵のというよりまるで憲兵 投稿者:中島上等兵 投稿日:2000/04/02(Sun) 19:29

「アールセキンの如き不逞の輩、天に代わりて不義を討つこそ帝
国軍人の本懐ならば、一命賭してこの敵討ち、成就ならせん!」
憤怒に萌え、ではなくて燃え気を吐く中島上等兵。
セピアが“?”といった表情で言葉を繋ぐ。
「あの、私たちは・・・」
「言うには及ばない。何、検問で96式軽機関銃と89式重擲弾筒
(注1)こそ持ちこめなかったが、真の兵士は何でも武器に出来る(注2)のだ。
火炎瓶(注3)でもなんでもな」
「うふ、うふふ、かえんび〜んん」
何故か火炎瓶という言葉に反応して無邪気に喜ぶロッキー。
「アールセキンとはぉ知り合いではなかったんですか?」
セピアが口を挟む。
「心配はご無用! かような人さらいと交遊するほど堕してはおらん。
自分は帝国陸軍の名に賭けて、護ると口にしたものはこの命賭してでもお護りいたす!」
 中島上等兵は一人ヒートアップしている。

(注1)89式重擲弾筒・・・じゅうてきだんとう、と読む。ほとんど携帯迫撃砲のようなグレネードランチャー。
    射角が高いので塹壕の中や遮蔽物の中からでも撃てる。
(注2)何でも武器・・・兵器が損壊したり、補給が間に合わなかった時のために、日本陸軍ではさまざまなもの
    を武器として使う訓練をしていた(破壊殺傷教程という訓練マニュアルがある)。
(注3)火炎瓶・・・日本軍は火炎瓶が得意。火炎瓶といってもバカに出来ない。一升瓶ベースの火炎瓶などは一撃で
    戦車を全焼させてしまうらしい。日本軍以外ではベトナム戦争で盛んに使われていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
誰か中島上等兵に状況を教えてあげて下さい・・・

迷走中・・ 投稿者:ルネリオ 投稿日:2000/04/02(Sun) 20:52

「すっかり暗くなっちゃたなぁ」
露店の裏側、通りが見渡せる場所にルネリオは腰をおろしていた
彼のまわりには誰もいない、そしてルネリオの目には、祭りのライトが煌々ときらめいているのがうつる。
露店からの食べ物の匂いにつられて、彼のお腹が悲鳴をあげた。
「おなかすいたなぁ・・・・」
彼にとって貴重な残金をここで使うわけにはいかなかった。
ルネリオは顔を上げて通り過ぎていく人々を眺める。
彼の目的の人物はまだ通っていない・・・・
「侍・・・どんなプレイヤーだろ・・・僕の力で相手になってくれるかな?」
剣をぬいて素振りを始める。
もちろん彼に真剣で勝負して相手をデリートするつもりはない、あくまでもレベルUPと満足感を求めているのだ。
だから、彼は内心では楽しみでしょうがない。
「ここで、待っていてもしょうがない・・歩いて探そうっと」
我慢しきれなくなったのか、腹が減りすぎていたのか。
とにかくルネリオは町を歩き始めた。
「たぶん、ゼフィロス祭に来たんだろうなぁ。だったらあと数日はいるだろうけど」
彼は夜空に浮かぶ満月を見上げた。
再び彼のお腹が悲鳴を上げる・・・、彼は今日泊まるところすら決まっていないのだ。
「はぁ・・・」
ため息をつくと、ルネリオは夜の町を歩いていった。

−−−−−−
とりあえずって事で、もう一回様子を見ることにしました。
う〜・・どうやって合流しよう・・・

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敵討ち、そして… 投稿者:ステファン=ノティス 投稿日:2000/04/03(Mon) 00:44

「毎度あり〜♪」
  カララン…
上機嫌の店員の声を背に、ステフとムサシが店から出てきた。ステフの手にはたった今買ったばかりの短剣がしっかりと握られている。鞘を抜かずに、柄を持って感触を確かめている。
「全く…俺が見繕ってやるって言ったのに。本当にそれでよかったのか?お前には少し重たすぎるんじゃ…」
「いや、コレでいいんだ。一番手に馴染むし、何より魔法で切れ味が上げてあるからな」
「はぁ〜。見ただけでよくわかるねぇ。俺は気付かなかったのに…」
「まあな。マチュの頃は魔法使いだったし、似たようなもん持ってたしな。もっとも、アレとコレとじゃ比べ物にもなんねーけど…」
覗きこむムサシにステフが苦笑しながら答える。
「大体使いこなせるのかい?ナイフとじゃ勝手が違う…」
  フヒュッ!
風を切る音とともにムサシの目の前に鞘入りの剣先がつきつけられる。反射的にムサシが自分の刀に手をかけた。
「馬鹿にすんな!使えないもん買うほど阿呆じゃねぇよ」
ステフはそう言って剣を下ろし、柄を左にして腰の後ろに括り付ける。ムサシは複雑な表情でそれを見ていた。そうこうするうちに、『悠久の風亭』が見えてきた。二人の顔に緊張が走る。ジンクの顔にも複雑な表情が浮かぶ。
「……行くぞ。ここに奴がいるんだ…」
まるで自分に言い聞かせるように言い、ステフは先に入っていった。

「いらっしゃいませー。2名様ですか?」
入ってきたステフ達を店員が出迎えて言った。しかし、ステフはそれを無視して店中を見回し、目標を見つけられず、しぶしぶ店員に向き直る。
「顔中白く塗ったくった、ピエロみたいな男が来てないか?」
それを聞き、店員は『なあんだ』という顔をして答えた。
「彼なら下で賭博をしてますよ。お知りあいですか?」
「…まぁな…地下、だな?――いくぞ。」
そう言って二人と1匹は地下への階段を降りていく。暫く降りると、壁にぶち当たった。
「あれ?行き止まりだぞ?」
「…ふんっ。不可視シートか…小賢しいっ」
ステフが手を伸ばして何かを剥ぎ取ると、入り口らしき木戸が現れた。
「本当によくわかるなぁ」
「…絶対に手ぇ出すんじゃねぇぞ、ムサシ」
関心するムサシを促し、ステフが木戸を押し開ける。
『ちょっとまて!不可視シートが貼ってあったんじゃなかったのか?!』
中から悲鳴じみた声が聞こえた。それを聞いて、ステフが微かにほくそえむ。忘れもしない、自分たちを襲ったハッカーの声だ。
「やっと見つけたぜ…この、ハッカー野郎!覚悟しやがれっ!」
そう言うなり、ステフは短剣を逆手で抜き放ち、中央のピエロ男に斬りかかった。ピエロ男は驚きながらもなんとかそれをかわす。それが数回繰り返され、ピエロ男は部屋の隅に追い詰められてしまった。
「…追われる獲物になった気分はどうだ?おい?!」
『ケヒヒ…真っ平ごめんさね。それより―――』
ステフは左手で剣をつきつけながら、右腰に差してあるナイフに手をかける。こいつがこの程度のはずがない。追い詰めたとはいえ、油断はできない。そんなステフをよそに、ピエロ男は真顔で彼女に疑問をぶつけた。
『――あんた、誰?』
沈黙が場を支配した。ステフだけが怒りで肩を震わせている。
「……おれが誰か…だとぉっ…」
『見覚えないんだよなぁ。なんか恨まれるようなことしたかぃ?』
それを聞いて、ステフがムサシ達の所まで飛び退り、ジンクに預けておいた杖を右手に受け取る。
「――だったら、嫌でも思い出させてやるぅッッ!!」
そう言いながらカードを取り出し、杖についた宝石に差し込む。
そして―――
「データロード!データ・グリフォン、復元(ラン)!」
渦巻く光と乱数の中に、一体のグリフォンが出現した。あちこちから声にならない悲鳴があがる。
「お、おい!室内でそんなもの出したら―――」
ムサシが止めようとしたが、もう遅い。ステフが短剣をピエロ男に向け、グリフォンに命令を下す。
「グリちゃん、GOッ!あいつを引き裂けっ!!」
  ぎゃははははは……
ほとんどの人の口から盛大な笑い声が飛び出した。ジンクは平然としているが、ムサシは必死に笑いを堪えていた。ピエロ男も腹を抱えて笑い転げている。
「な、何がおかしいんだよっ?!こらっ、笑うな!貴様らッ」
ステフが自分を笑った人達にグリフォンを向ける。
『ケヒャヒョヒョヒォ…思い出したじぇ。お前あの有翼人のにぃちゃんと一緒にいた生意気な小僧でねぇの?!泣きながら逃げてった、情けなぁ〜い小僧!へひゃひゃ…』
ステフの顔が真っ赤になった。杖を握る右手が小刻みに震える。
「おちつけ、ステフ!感情任せじゃ正確な判断ができなくなるぞ?!」
ムサシが慌ててステフを宥めようとした。しかし、ステフには聞こえていなかった。
「誰が小僧だぁ!もぉむかついた!容赦しねぇっ」
そう叫んで先程とは別のカードを差し込み、召還する。
「皆燃やし尽くしてやるぅ!データロード、データ・ファイアエレメンツ、復元!いっけぇ、ファーちゃん!!」
今度こそ笑う暇もなく、皆我先にと階段へ向かう。置いてあった座布団などに引火して燃え広がる。火に囲まれ、逃げ場がなくなったのに、ピエロ男の顔からは笑みが消えない。
『二人して俺を追ってくるたぁ、ご苦労なこったねぇ。ご褒美に俺の名前、教えてやるわ』
「?何を言って…」
火の勢いがだんだん強くなってきた。ただ立っているだけでも、大汗が出てくる。
『俺の名はカリン=イーデモード。そこらの奴らは”チープラフ”って呼ぶがな。』
「チープラフ、だとっ?!」
今まで黙っていたムサシが驚愕の声をあげる。
『おひょ?!おっちゃん知ってるんかぃ?んじゃ、ごきげんよう!ぶほひゃひゃひゃひゃ…』
次の瞬間、当たりに紫色の煙が立ちこめる。それが晴れた時には、チープラフの姿はなかった。
「ちきしょう!逃げられたっ!」
ステフが悔しそうに地団太を踏んだ。ムサシがそばに来て、宥めながらいった。
「シャンダンのチープラフじゃ、相手が悪い。出なおそう…な?」
どこからともなく、チープラフの声が響いた。
『言い忘れたが、有翼人のにぃちゃんにも昨日あったじぇ。探してみたらどうだい?けひゃひゃひゃ』
「!?兄貴がっ?どういうことだっ!」
しかし、返事はない。
「ステフっ!もうマズイ、早く逃げるぞ!!」
ムサシに引きずられ、ステフもしぶしぶ地上に向かって走り出した。
そうして二人と1匹は、いったん宿に戻るためにメインストリートへと足を向けた。
(…兄貴が生きて、この街にいる……)
ステフの頭から、チープラフの言葉が離れなかった。

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二つとも長くてすみません m(_ _)m
とにかくあがりました。後はだれかステフ達とシリン達を合流させてやってください。
お願いします。

トラブルマスター(揉め事仕切り屋)、鳥男!(笑) 投稿者:クトファー=フィナンシェ 投稿日:2000/04/03(Mon) 00:47

「さってとっ…何が食いたいんだい?おチビちゃんは♪」
「んと…えっとねー。おいしいもの〜♪」
背に負ぶったマイナに話しかけながら、クトファーは上機嫌でメインストリートを歩いている。それもそのはず、マイナからステフとジンクの無事を確認できたのだから。しかも、彼女らもここ――ゼフィロスに向かっていると言うではないか。『ステフなら、情報を集めるために大きな街に向かうはず』という自分の予想がぴったり当たったのだ。ステフのあの長い髪はよく目立つため、適当に通行人にでも尋ねれば情報が得られるかもしれない。
(―――夕飯を食べたら早速、情報収集だ♪)
そんなことを考えながら歩いて行くと、前方に何やら人だかりができている。
「およよ?!なんの騒ぎっかなっ?ちょっと寄ってこうぜぇ♪」
安心したのか、生来の悪い癖がでてきたようだ。クトファーはマイナを背負って騒ぎの中心へと走っていった。アールセキンも呆れ顔で後に続いて歩いていった。

人ごみを掻き分け進んでいくと、野次馬の中心には2m程の銀狼と、そのそばに腰を抜かしたように呆然と座りこんだ水色っぽい髪の少女がいた。
「ありゃま!狼男か?!そういや満月だったっけなぁ…」
他人事のようにクトファーが呟いたそのときだった。
『グアウッ!』
「きゃーーーーっ!?」
咆哮とともに銀狼が少女に襲いかかった。
「げっ!?やべぇっ!!」
咄嗟にマイナをアールセキンに押し付けると、クトファーが飛びあがった。
「じょーちゃんっ、じっとしてなっ!…ほいよっ」
そう言いながら、少女と銀狼の間めがけて数本のナイフを投げつける。
『ガウッ?!』
ナイフは見事銀狼の鼻先を掠めて地面に突き刺さり、銀狼は慌てて飛びのく。少女の方は―――
「大丈夫ですか?お嬢さん」
「ほえっ?あ、ありがとうございます???」
いつの間にやらアールセキンが抱きかかえている。
「あっ、シリンおねえちゃんだ〜!おねえちゃんもゼフィロスについてたんだね〜」
「あれっ、マイナさん!?」
マイナも彼の足元をちょこちょこと歩き回っている。
それを確認するとクトファーは、少女達と銀狼の間に舞い降りた。
「――ったく、せっかく外にメシ食いに出てきたってのに、いきなり暴走狼男とでくわしちまうなんてな」
自分から飛び込んできたくせに、そんなことはとうに何処かへ放り出している。
『ガルルルル…』
「さて、どうしたもんかなっ?」
銀狼の方はクトファーを敵と見なしたようで、威嚇を続けている。
「う〜ん。こういうのの扱いは、俺よりあいつのが得意なんだよなあ。かといって、俺の召還獣はみんなでかいやつばっかだし…」
それを聞いたシリンがアルの腕から降り、慌てて言う。
「あんまりひどいことしないでくださいぃ!その狼さん、今はガルさんじゃないけど、ほんとはガルさんなんですよぉ〜」
少女の気が動転しているのか、もともとなのかは知らないが、クトファーはちょっと反応に困り、そして結論を出した。
「よーするに、お嬢ちゃんの仲間なんだな?…おしっ!んじゃ、無難な線でこいつでいきましょかっ♪」
そう言って、腰のアプリ倉庫から手のひらサイズの鳥篭のようなものを取り出した。
「それなんですかぁ〜?」
「これかい?こいつはクリーチャー捕獲用アプリでね…」
不思議そうに尋ねるシリンに、クトファーが笑顔で答える。その瞬間、ガル狼が彼めがけて跳躍した。
『グワオォォッ!』
「…こうやって使うのさっ♪」
そういうなり、ミニ鳥篭をガル狼に向かって放り投げた。
   バチバチバチッ!…ガチャーン!!
『ガウッ?!』
「ほい。いっちょあ〜がりっと♪」
ミニ鳥篭はガル狼の目前で巨大化し、ガルをなかに閉じこめてしまった。それでもガル狼はなんとか出ようと暴れている。
『ガウッ!グルルルウガァッ!!』
「…うるさいなぁ。そんじゃ、手始めに5万でいってみよかぁ♪」
クトファーが手もとのリモコンを操作すると、檻の中に電流が流れ始めた。

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はい、なんかすごいことになってます(^^;)
とりあえず、このあとよろしく♪ステフもすぐに合流しますんで。
ガルさんごめん。やっぱり電撃ネタになっちゃったよ m(_ _)m

緑色の目をした黒い猫 投稿者:シュバルツカッツェ(みねの) 投稿日:2000/04/03(Mon) 02:17

「駄目だ……もう、腹の方が限界だよ……」
あれからしばらく歩き続けたルネリオは、もはや倒れる寸前だった。何が一番辛いかというと、屋台で売られている食べ物の匂いが、ダイレクトに腹に響くことだった。
彼に出来ることはもう、出来るだけ夜祭りの喧噪を避けて裏通りの方に進む事だけだった。
裏通りには、意識不明の酔っぱらいが何人か路上に転がっていた。
(ここで僕が倒れたら、やっぱり酔っぱらいに見えるかな……あ、やばい、意識が朦朧としてきた――)
その時、ルネリオの目の前を、一匹の黒い猫が横切った。いや、横切るという言葉は正しくない、彼の目の前で立ち止まり、その綺麗な緑色の瞳で彼を見つめた。
今のルネリオは、この猫でも食べれたなら、と思う。
遂に、ルネリオの膝ががくり、と落ちた。
「――お腹減った――」
その時、彼の目の前で異変が起こった。突如として、黒猫が人の姿を取ったのだ。
(なんだ、変身種族【ライカンスロープ】か……)
そこで、ルネリオの意識は途絶えた。

再び襲ってきた美味しそうな匂いにつられて彼が意識を取り戻した時、いきなり差し出されたのは、露店で売っている地中海風サンドイッチだった。
「大丈夫?これ、食べたらどうかしら」
ルネリオは救いの手の持ち主の顔を見る前にサンドイッチを(ひったくるように)受け取ると、凄い勢いで食べた。空っぽになった胃袋にとって、それは天にも昇る旨さであった。
「あ、有り難う」
漸く腹が一段落すると、ルネリオに漸く喋る気力と余裕が出てきた。
彼を助けてくれたライカンスロープは少女――それも、とんでもなく美しい少女だった。漆黒の髪と、薄暗い路地でも浮かび上がって見えるような白皙の膚、それに輝くエメラルドの瞳。彼女が冒険者なら、そのデザインをしたプレイヤーに盛大な拍手を贈りたくなるほどだ。
「ごめん、お礼より前にサンドイッチを取り上げちゃって」
「いいのよ。ふふっ、よほどお腹がすいていたのね」
美少女は嫌な顔一つすることなく、寧ろ微笑んでルネリオを見た。
「今、所持金が全然なくて、しばらく何も食べていなかったんだ。君がいなかったら空腹でデリートされてたかもしれない」
実際にそんな例があったかどうかは知らないが、そう感じるほどこの世界はリアルだ。
その時、また、ルネリオの腹が盛大なうなり声をあげた。
「――まだ、お腹がすいているみたいね。私がおごってあげるから、近くのレストランにでも入りましょう」
「そ、そんな、悪いよ」
「いいのよ、私、所持金は余ってるから。それに、このままあなたを放っておいては心配だし」
最初は遠慮していたが、せっかくの美少女の誘いではあるし、侍と戦うのに空腹では都合が悪い、とルネリオは考え直した。
「じゃあ、君のご厚意に甘えさせて貰うよ。僕はルネリオ=アリク。君は?」
「私の登録名はシュバルツカッツェ。長いから、カッツェでいいわ」
こうしてルネリオはカッツェと夕飯を食べに行くことになった。

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と言うわけでサブキャラ登録。
名称:シュバルツカッツェ
年齢:十六歳
性別:女
職業:賢者
種族:ライカンスロープ(猫娘)
備考:
サイアド開始直後からのプレイヤーで、「アクシス
で最も美しい冒険者」と呼ばれる。だが、目立つ容姿
の為か表だって行動することを嫌うので、今の冒険者
達にとっては半ば伝説化した存在。黒い服を好んで着
用し、夜には黒猫に変身可能。ADコードはチョーカー。

シリンとはえらい違いやね、同じ外見年齢なのに。

http://homepage1.nifty.com/matsubay/


不逞の輩、天に代わりて不義を討つ ! 投稿者:セピア=インフラレッド 投稿日:2000/04/03(Mon) 16:58

中島上等兵は、アールセキンへの怒りをひとまず胸に納めると探し求めたセピアとルフィーに出逢えた喜びを顕わにして嬉しそうに訊ねた。
「諸君は、今夜泊まる宿決まっているのかね」
「私たちは、今日こちらに到着したばかりで決まっていません」
「それじゃ、自分たちがお世話になっている仲間のいる宿に案内しよう」
セピアとルフィーは中島上等兵たちに案内されてシリンたちが宿泊している宿に向かった。
宿に到着すると、まだシリンたち仲間は誰も戻ってきていなかった。
「晩ご飯までには帰ってくるようにと言っておきながら全員出かけて夜遊びしているとは何たることだ!」
時間厳守、規律正しい生活をモットーとする教育を受けた帝国軍人中島上等兵は不快感を顕わにした。
「自分は、連れの仲間たちの様子を見てくるから諸君は、ここにいてほしい」
中島上等兵は、愛用の38式歩兵銃を手にして外に飛び出すや、
ピンクひじきことロッキー=メイビアもツイストを踊りながら中島を追って出て行った。

突然、ロッキー=メイビアが化鳥蹴りをしながら意味不明な言葉を叫んだ。
「オ〜オ〜カ〜ミ〜よ〜ん!」
中島がロッキー=メイビアが指さす方向を見ると鳥篭に入った狼がおり、その横にシリンと有翼人間と子供が・・更にあの憎きアールセキンがいる。
中島はアールセキンに向かって38式歩兵銃を構えた。
「アールセキン!シリンちゃんまで手に掛ける気か!貴様のような不逞の輩、天に代わりて不義を討つ!」
アールセキンの頭に?マークがいくつも並んだ。
中島上等兵はアールセキンに照準を絞り黒光りした38式歩兵銃のトリガーに手をかけた。

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150発言で、ミスプリントがありましたので再掲載させてもらいました。(セピア)

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