パワフル・レディ〜予選見物の中での再会 投稿者:マイナリス=グリム(μξ) 投稿日:2000/05/06(Sat) 05:16
「……おまえら……なにしてんだ?」
それが、ステフの第一声だった。
さすがに異様な格好である。
シリン、ジンク、マイナのそれぞれの胴をロープで結び、二人がジンクの背中に乗っているのである。
「……聞かないで、ステフ。苦肉の策なんだから……」
ココに至るまでのジンクの苦労は、並大抵の事ではなかったらしい。
心持ちげっそりとした顔に、その毛並みはなぜかホコリにまみれていて、所々こすったような後もある。
「――おまえら、ジンクに迷惑かけたんだろ?」
かなりあきれたような顔で、シリンとマイナを見比べる。
「ところで、そちらの人は?」
シリンが指差した方には、予選の方をきょろきょろ見ている一人の女性が居た。
「ああ、なんかムサシの知り合いらしいんだけど……ねえ、ちょっと……」
「ああもう、なぁに?
――ムサシを探すので忙しいのに……」
と、しぶしぶ振り向いたアピアだったが――
「――っキャーこの子、かわいぃ〜ッ!!
……って、あれ!?――マイナじゃない♪」
「あうぅっ……むぎゅぅぅぅ
――ううぅっ……相変わらずだね、アピアのおねぃちゃん……」
アピアの胸の中でぎゅうぎゅうに潰されているマイナは、かなり苦しそうだ。
アピアの方は、ロープで繋がれているシリンとジンクをモノともせずにマイナを抱きかかえて、ほおずりしたりぶんぶん振り回したりしている。
――引きずられるシリンやジンクにとっては、良い迷惑だ。
「――マイナさん、この人の事、知っているんですか?」
「うん……」
一緒に引っ張られているシリンのロープを解きながらの質問に、なぜか今度はマイナが疲れた様子で答える。
ちなみにジンクはすでに疲れ切っているのか、抵抗するそぶりを見せない。
「――で、皆さんがこの子を保護してくれてたんですか?」
「は?保護ぉ!?」
ステフが素っ頓狂な声を上げる。
確かに、子供に保護者はつきものかもしれないが、どうもマイナの行動からはそんな雰囲気は見られなかった。
「ええ、昔、私とマイナは一緒に旅をしていたの」
「そ、そうなのか!?」
いまいち信じられないのか、アピアでは無くマイナに問うステフ。
「悪戯してて、捕まったの……」
「なるほど。」
「そうなの。でも、あまりにもかわいくって……」
心労っぽい溜息のマイナとは対象的に、喜悦の表情で溜息を漏らすアピア。
こう言う表情のマイナは珍しい。
「……マイナの事、獲って食ったりしないだろうな?」
「あら、変な事言うのね。
――そんな事するわけ無いでしょ?こんなにかわいいんだもの♪」
そう言って、さらにほおずりするアピア。
「むにゅぅ……」
「そ、そうか……」
「――ところで、あなた、何才?」
一瞬、ステフの背筋がゾクッとする。
「じゅ、十五だけど……何か文句あるのか?」
「あら、そうなの?12歳くらいにしか見えないけど……
………まぁ、ぎりぎりか………」
最後に小声で、変な事を呟く。
「――ねぇ、私、錬金術師なんだけど、今度なにか武器を創って上げようか?」
「ほんと?♪」
この一言で、ステフは彼女を『味方』だと認識した。
「ええ♪
――その代わり、お願いが――」
「ん?なに?」
「――今度、一緒にデートしない?」
爆弾発言である。
「は!?――オレ、女だぞ?」
「知ってるわよ♪」
「???
……変なの。まぁ、いいや。
それより今は、大会の応援しようぜッ!」
「ええ、そうね♪」
予選は、各ブロック一人が決勝ラウンドに進出できる、乱闘戦――バトルロイヤルである。
16あるブロックは、観客が見やすいように四つのブロックごとに行われている様だった。
シリン達が会場の観客席についたのは、ちょうど一つ目の四ブロックが終ったところだった様だ。
「皆さん、頑張ってますぅ?……それとも、もう終っちゃいました?」
「いや……運が良いな。みんな、今からだよ。」
ステフは、不思議な高揚感を味わっていた。
「マイナさん、一緒に応援しましょうね♪」
「おうえん?」
「えっとですねぇ、ムサシさんとか、ガルさんが出てきたら、『がんばれぇ』って言うんですよ?」
「うんっ!わかったぁ♪」
「ああ……マイナったら、かわいいんだから……♪」
そして――男達の戦いが始まる。
******************************************
連続投稿です。
アピアさんとの再会は、『元』があるから楽でした。
勝手にアピアさんの事を色々書いてしまいましたが……。
少々格好つけた終り方をしてしまいましたが――予選開始です。
勝負前の精神統一 投稿者:中島上等兵 投稿日:2000/05/06(Sat) 22:01
周囲の者に手伝ってもらいながら参加者登録を済ませた中島上
等兵は、戦闘前の興奮状態を自覚していた。
真の兵士は、興奮状態すらも自らコントロールするのである。
弱いものは、この時点でドラッグに手を出す等して、潰れてゆく。
中島上等兵は、久方ぶりの闘いに身を投じる喜びに武者震いを
すると、「南無八幡大菩薩、我国の神明、ヤスクニ(注1)の英
霊よ…武運長久を祈念し奉る」と一言、CーYAMATOの方角
に祈念した。
そして、ぴょんこぴょんこ跳び廻るロッキーを横に、30年式
銃剣を一心に研ぎ出した。
注1:ここではCーYAMATO帝国陸海軍の軍人が建てたデリー
トされた帝国陸海軍軍人を顕彰する宗教的施設のこと。当然、Cー
YAMATOにある。
幻蛍乱舞 投稿者:ガルデュン 投稿日:2000/05/08(Mon) 03:10
「さてと…」
薄暗い闘技場内。辺りには夏の風物詩「蛍」が優雅に舞っている。
不可侵プロテクトが掛けられたエリアの片隅で準備運動を始めるガル。
同じような光景があちらこちらで見られる。皆、予選開始の合図を今や遅しと待っていた。
その中に見知った顔は一人もいない。
ガルは予選の組み合わせが発表された時、ムサシと当たらなかった事に小さくガッツポーズをきめていた。
「それでは皆様、心と体の準備はよろしいでしょうか? ただいまよりサマーフィールド《幻蛍》第二試合を開始します!」
アナウンスの声に続いて、大きな鐘の合図が鳴り響く。
一瞬にしてエリア全体を闘気が支配した。
「ひょぇ〜!おっかない連中ばっかりやな」
腰につるしたままのショートソードに手をかけながら、辺りの気配をうかがう。
『とりあえず問題になりそうな奴はいない・・・・・いた…』
ちょうど正面右斜め…ろくな構えも取らず辺りを楽しそうに見回している黒い瞳の男。
『ムサシの感じとよう似とる。また厄介なのが当たってしもたな〜』
他の参加者の攻撃をかわしながら観察を続けていると問題の男と目が合った。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ルネ様、後よろしく〜適当なところで返してくださいませ。(笑)
ちなみに各闘技場には名前が付いております。(詳しくはアンスクにて)
幻蛍乱舞 投稿者:ガルデュン 投稿日:2000/05/08(Mon) 03:10
「さてと…」
薄暗い闘技場内。辺りには夏の風物詩「蛍」が優雅に舞っている。
不可侵プロテクトが掛けられたエリアの片隅で準備運動を始めるガル。
同じような光景があちらこちらで見られる。皆、予選開始の合図を今や遅しと待っていた。
その中に見知った顔は一人もいない。
ガルは予選の組み合わせが発表された時、ムサシと当たらなかった事に小さくガッツポーズをきめていた。
「それでは皆様、心と体の準備はよろしいでしょうか? ただいまよりサマーフィールド《幻蛍》第二試合を開始します!」
アナウンスの声に続いて、大きな鐘の合図が鳴り響く。
一瞬にしてエリア全体を闘気が支配した。
「ひょぇ〜!おっかない連中ばっかりやな」
腰につるしたままのショートソードに手をかけながら、辺りの気配をうかがう。
『とりあえず問題になりそうな奴はいない・・・・・いた…』
ちょうど正面右斜め…ろくな構えも取らず辺りを楽しそうに見回している黒い瞳の男。
『ムサシの感じとよう似とる。また厄介なのが当たってしもたな〜』
他の参加者の攻撃をかわしながら観察を続けていると問題の男と目が合った。
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ルネ様、後よろしく〜適当なところで返してくださいませ。(笑)
ちなみに各闘技場には名前が付いております。(詳しくはアンスクにて)
ガル VS ルネ ですね 投稿者:ルネリオ 投稿日:2000/05/08(Mon) 20:17
試合開始の合図と同時にあたりを見回すルネリオ。
「えっと、あそこの盗賊風の男とあっちの男、あと、ん?」
ルネリオの目が一人の人物とあう。
その人物は先ほどから、ルネリオを観察していたらしい、敵の攻撃をかわしながら、何度か目が合う。
「・・・あのライカンスロープの人だね」
彼は、ライカンスロープの方を気にしながらも、最初の標的盗賊風の男にまっすぐと走っていった。
目の前まで来て、ゆっくりと剣をぬく、
「お願いしますね」
丁寧なルネリオの挨拶に答えず、男は一気に攻撃を仕掛けてくる。
幻蛍のエリアに剣によって起こされた火花が舞った・・・
しかし、それが当たったモノはルネリオではなく、床だった。
「まだまだ、昨日の女の子の方が強いね」
反撃に転じたルネリオは剣の腹で相手をとらえると一撃を加える。
男はそのまま動かなくなった・・・
ルネリオは盗賊風の男を倒して振り返ると、再びエリアを眺める。
「あっ!?」
相手を捜している間にほとんどのプレーヤーはやられてしまったらしく、
残りは向こうで、さっき彼が目を付けた二人が戦っているのみだった・・・
そして、その決着もつき、ショートソードを手にしたライカンスロープの男がこっちに歩いてくる。
「あとはあんただけやな、悪いけど、決めさせてもらうで」
「お願いします、狼男さん」
お互いにかまえて、じっくりと間合いを詰める。
キィィン!!
最初に仕掛けたのはルネリオだった、走って間合いをつめると跳躍して上から斬りかかる。
が、ガルもしっかりとその動きをとらえ、持っていたショートソードで防ぐ。
「やっぱりやりますね」
その状況下でも、ルネリオは笑いを浮かべ話しかける。
ガルは力でルネリオを押し返す。
「こんな時に笑うなんて非常識なやつやな・・・」
再び、お互いの間に空気が固まる。
しかし、
『ガルさん、がんばれぇ』
客席から飛んできた、かけ声に空気が持って行かれた。
「・・・あいつら」
ガルはふと手を止めて、
ルネリオは知った気配を見つけたからか、
二人とも客席の方を向いた・・・
同時にルネリオはステフを見つける
「なるほど・・・あの女の子・・確かステフさんだっけ」
すぐに二人は向き合い、剣をかまえる
「な、お前、ステフしっとんのか?」
「侍のムサシさんの仲間か・・・どうりで強いわけだよ」
ルネリオは帽子に手をかけると、小さく呟いた・・・
「本気で行かなきゃね」
・・・
終了の合図とともに、その場にたっていたのはルネリオだけだ・・
ガルは2、3ヶ所に深手を負いながら、彼の足元に倒れている。
「すごい楽しい試合でしたよ」
かすり傷を負った腕で、帽子をかぶり直すと、
蛍光の中、彼の瞳と同じ黒髪が再び見えなくなった・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ど、どうでしょうか?
久々だったんで、書き方間違えてなかったでしょうか・・・
かなり心配・・・
波乱の予選、まだあと二試合 投稿者:シリン=ダー(みねの) 投稿日:2000/05/09(Tue) 01:53
「あうう、銀色のおにぃちゃん、負けちゃった……」
「信じられないですぅ!」
ガルデュンの勝利を信じて疑わなかったマイナとシリンは観客席で大騒ぎしていた。
「あの赤帽市の彼、なかなかやるわね」
「ああ、剣戟の最中の間合いの取り方がかなり上手い。慣れてるよ、あいつ」
昨日の敗北が脳裏に浮かんできたステフの口調は、ぶすっとした表情に呼応しているかのようにぶっきらぼうだ。
「あ、ステフさんとムサシさん、昨日あの人とどっか行ってましたよね。何をお話ししたんですか?」
そんな彼女にシリンが無邪気に訪ねる。無知とは恐ろしいものである。
「ねぇねぇ、ヒゲのおいちゃん達はいつ試合するの?」
しかし、いいタイミングでマイナの質問が入ったために、ステフの機嫌はそれ以上悪くならなかったようだ。
「ヒゲのおいちゃんって、ムサシのこと?」
「そうですよぉ〜」
「ムサシと兄貴は『白銀舞』の第四試合、中島とロッキーが『桜吹雪』の第四試合だぜ」
「ええっ!?じゃ、じゃあ試合分かれちゃうじゃないですか〜。どうしよう、あたし分裂できませんよぅ」
――そんなこと、誰も出来るわけがない。
「仕方ないわね、じゃあ、応援も二人ずつに分かれましょうよ。私はムサシの方を観戦したいんだけど?」
「じゃあ、あたしは上等兵さん達の方にしますぅ」
「ボクも、シリンおねぇちゃんについてくぅ」
シリンとマイナが自主的に「桜吹雪」側に行くと宣言したため、何も言わなくてもステフはアピア、そしてマスターの試合が見たいというジンクと一緒に「白銀舞」に移動することになった。
「おねぇちゃん、おんぶしてー♪」
「いいですよぉー」
何だか昨夜からすっかり仲良しさんなマイナとシリンである。
さて、この二人の組み合わせで無事にたどり着けるかというステフやジンクの内心の不安は幸いにも外れ、シリン達は無事に「桜吹雪」に到着することが出来た。しかも観戦には最高の席を偶然にも確保したのである。
場内のアナウンスの後、第四試合の選手達が続々と入場してきた。
「あっ、じょーのおいちゃんとぴんくのおにぃちゃんが来たよ〜」
「上等兵さんー、ひじきさんー、頑張ってくださぁい!」
シリンとマイナは中島達に向かって大きく手を振ったが、他の観客達の殆どは、ブリッジ状態でカサカサと怪しい移動をするロッキーに言いしれぬ恐怖を覚えていた。
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上等兵のイメージで闘技場を「桜吹雪」にしてみました。
「白銀舞」第四試合――開始直前 投稿者:ステファン=ノティス 投稿日:2000/05/09(Tue) 04:44
第四試合のムサシとクトファーを応援するために、第三試合の頃から「白銀舞」にやって来ていたアピア,ステフ,ジンクの二人と1匹は、そのかいあってか、エリアを直接見るにもモニターを見るにも困らない、そこそこいい席を見つけることができた。
「――なんか、咽喉乾いたな。売店でなんか買ってくるからお姉さんとジンクはここにいてよ。お姉さんもなんか飲む?」
「そうね。アイスティー買って来てもらえるかしら?」
「オッケー!んじゃ、行ってくる」
そう言ってステフは、すばやい動きで難なく人込みをすり抜けながら出入り口に消えていった。
「うっひゃ〜!思ったより時間かかっちゃったな。もうすぐ試合始まっちまうよ?!急がなきゃ!!」
両手一杯に飲み物等を抱え、大慌てで出入り口の階段を駆け上がっていく。あれもこれもと欲張ったのがいけなかったのか、ステフが戻る頃にはすでに第四試合の選手入場が始まっていた。行きと同じようにするすると人込みの中をすり抜けて、アピアたちのところに向かうステフの視界に一瞬、何か見覚えのある光が飛びこんできた。不思議に思って足を止め、辺りを見まわすと少し先にきょろきょろと観客席を見まわしながら立っている銀髪の男が目に入った。
「あれは……お〜い、ガル〜!こっちこっち!!」
ステフのあげた大声で、相手のほうもステフに気付き近づいてきた。
「あ〜。やっとみつけた!捜したんやでぇ?こう人が多いと、いくらステフが目立つっちゅーても、なかなか見つからんもんやな〜」
「あったりまえだよ!おれ今まで売店行ってたんだぜぇ?いくら捜したって見つかる訳ねぇじゃん」
額の汗を拭きながら話すガルに、ステフが呆れ顔で答える。
「――それより、なんでお前がここにいるんだ?怪我は大丈夫なのか?」
不思議そうな顔で尋ねるステフに、ガルが平然とした顔で答えを返す。
「救護室で手当てしてもろて、この通りや!――なんや,お前…心配してくれとったんか?」
腕に巻かれた包帯を軽く叩き、ガルが少し意地悪そうな顔で笑う。しかし、いつもならむきになって言い返すはずのステフからは、ぶっきらぼうな返事が返って来た。
「あっそ。そりゃよかったな。それじゃ、ジンク達が待ってるから早く行くぞ」
期待が外れたガルはちょっとつまらなそうな顔でステフの後に続く。だが、ふと、試合中に赤帽子の男が言っていた事を思い出した。
「なあ,ステフ。お前、俺と戦っとった赤帽子の男、誰か知っとるか?あいつ、お前とムサシのこと知っとったようなんやけど…」
ガルの質問に答えることなく、ステフはどんどん先に歩いてゆく。はぐれては大変と、ガルが慌てて後を追う。
「おい?!ステフ…」
「――お前も運が悪かったな。いきなり奴と当たるなんてさ」
吐き捨てるようにステフが呟く。
「なんや、やっぱり知っとるんか。あいつはいったい――」
「――奴がルネリオだよ。多分ムサシと互角ぐらいの腕は持ってるぜ」
ガルが訊き返すと、ステフはガルのほうを見ずに答える。その口調はかなり不機嫌そうだった。
そうこうするうちに、ジンクの背中が見え、その話はそこで中断してしまった。ただ、一瞬チラッと見えたステフの横顔には、不機嫌な中に悔しさが少し混じっている様に見えたのだが、ガルにはその訳がわかるはずもなかった。
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なんとなく何か書きたかったので、勝手にガルも合流させちゃいました(爆)
さて、それでは第四試合が始まります。
ふぅ………ステフに嫌われるな…… 投稿者:ムサシ 投稿日:2000/05/10(Wed) 01:05
「雪見酒……のみたいねぇ……」
冷たくない雪が視界を覆っている。
吹雪いている訳ではないが、視界は普段の半分ほどしかない。
すでに試合は始まっており、あたりには殺気と闘気が入り混じっている。
そんななかでムサシは、余裕綽々で闘技場を歩いている。
すぐ横を戦士風の男が通るが、ムサシには気づかず通りすぎる。
その戦士だけではない、それからも数人と通りすぎるが、だれもムサシに気づかない。
ただ一人を除いて……
「気配の拡散か……噂では聞いたことあるが、見るのは初めてだな……」
その声に足をとめ、ゆっくり振りかえる。
「やっぱり、楽に本戦には進めないか……」
「まあ、それが人生ってもんだよ」
羽を生やした男から軽口が漏れる。
「う……」
「なんだ……」
二人から凄まじい闘気が迸り、それまで戦っていた他の選手達も
思わず動きを止め、見入る。
「手加減するなよ?」
「しても勝てるんならするよ……」
羽男―クトファーが構える
「本気でこいってことだな……」
対するムサシは、一向に構える様子を見せない。
「……さあねぇ……」
先にクトファーが切れた。
「馬鹿にするなぁ!」
叫び、一気に間合いを詰める。
「へ……?」
それはムサシが想像していたよりも――速かった。
先程と同じ体制のムサシに、クトファーの斬撃が襲う。
「く……」
何とか後ろに跳び、避ける。
その隙を彼は見逃さなかった。
「いまだ!」
懐からナイフを取り出し、投げる。
それらは寸分違わずムサシの眉間に迫る。
「……ふぅ……」
ムサシは溜息をひとつつくと右手を軽く振る。
ただそれだけの動きで、クトファーのナイフはムサシの手に収められていた。
「……その程度だったら、本気はだせないねぇ……」
「だったら見せてやるよ……」
この闘技場のように、クトファーの声は冷たかった。
「ただし、消えても文句は言うなよ……」
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ってことで、バトンタッチ!
帝国軍人の誇り 投稿者:中島上等兵 投稿日:2000/05/14(Sun) 17:03
中島上等兵は、第四試合の他の選手たちを眺めると、銃火器を装備しているものがいないかどうか確認した。
これといって銃火器は見当たらない。
中島上等兵は、係員を呼ぶと、自分の装備していた兵器を預け
ることにした。96式軽機関銃、90式手榴弾、89式重擲弾筒、と
自ら武装解除してゆく。38式歩兵銃も、実弾は抜いた。もっと
も近接戦闘ではライフルはあまり役に立たないのだが。
「ガンマンがいるといけないからな」
そうつぶやき、14年式拳銃だけは腰に下げることにした。
「諸君、自分は帝国軍人である! その名に掛けて丸腰の者を相
手に発砲することは絶対にないことを誓おう!」
中島上等兵はそう、宣言した。
予選最終組〜暇は嫌いだなぁ…… 投稿者:マイナリス=グリム(μξ) 投稿日:2000/05/18(Thu) 02:27
中島とロッキーに手を振ったマイナは、試合前から熱中しているシリンとは違い、少々退屈していた。
子供は、じっとしている事と静かにしている事、そして、退屈な事が大嫌いなものである。
「がんばれェ〜!」
「ねぇ……おねぇちゃん、ボク、ちょっと違うとこ、見てくる〜」
「え、あ、でも……」
闘技場とマイナを見比べる様に何度も振り向きつつ、困惑するシリン。
「ダイジョブ〜♪
ちゃんと、迷わずに帰って来れるよぉ〜、ボクっ!」
「ホントに大丈夫ですかぁ……?」
「うんっ!ちゃんとオミヤゲ、持って来るねぇ〜♪」
まるで、『初めてのお使い』である。
マイナは、返事も待たずに走り出した。
******************************************
売店でも荒らしてきましょうかね♪
なにせ、マイナは小銭持ってませんので。
(つまりは少し前にシリンに渡したジュースも……)
私闘はいかんでしょ 投稿者:中島上等兵 投稿日:2000/05/18(Thu) 16:56
自分の精神状況を戦闘モードに切り替え終了した中島上等兵。
(口の中アドレナリンの味がするぜ…)
中島上等兵は周囲を見渡し、不敵な笑みを浮かべた。
「てめぇ何笑ってんだよ!」
中島上等兵が声のしたほうを向くと、黒いジャージに、金縁の
四角いメガネをかけた男が中島上等兵を睨んでいる。
口髭を生やしたその男は、続けて何か言葉を発しようとした。
中島上等兵は短く、「…チンピラがっ」とはき捨てるように言
うと、無視。
「チンピラたぁなんだ、てめぇ、ナメてんのかこらぁ!」
中島上等兵につかみかかるジャージ男。
中島上等兵は男のパンチパーマをつかむと、すばやく地面に叩
きつけた。
「何しやがっ…てめぇ!」そういう間もなくロッキーが飛びつい
た。ロッキーにたこ殴りにされるパンチパーマの男。
中島上等兵はその男の頭上に、38式歩兵銃のストックを、鉛
直方向に叩きつけた。
会場アナウンスが叫ぶ。
「私闘はやめてください! 私闘は止めてください!」
「ぬひょひょう、いっちまうぜぇ、飛んじまうぜぇ!」
「痛ぇ、なにすんだこの野郎!」
「暴漢懲撃、一撃必殺」
「私闘はやめてくださいぃぃぃー!」
早くも収拾のつかない状態に突入する桜吹雪であった。
ぷ雷怒2000 投稿者:トム=ハーリック 投稿日:2000/05/19(Fri) 21:00
桜吹雪が舞っている。その中をあまりに不相応な厳つい野郎どもがひしめいている。
中島が開始前から乱闘騒ぎを起こしてしまったからだ
その中を一人、一際目立つ物がいた。
その男の頭には頭髪と呼ぶには余りに不恰好で大きいピンク色のモヒカンがついていた。
「今、猛者達が試合開始から大波瀾を呈しておりますっ。」実況の古パチが捲し立てる。
「拳と白刃の飛び交う筋肉の殿堂、ゼフィロス武術大会っ!
誰が1番強いかはっきり決めたらええんや、
デリートされて屍拾うもの無し、
余りに分り易いごつごつとしたポリシーがこのリングには存在しますっ!
試合開始前から緊迫した空気が一転、まさに一触即発ニトログリセリン冷戦状態からアドレナリン、エントロピーの輸出自由化状態っ!
果たして、誰がこの中で闘争のカオスを制し次の本線トーナメントの出場権を獲得できるのでしょうかぁっ!
その激闘を逐一解説するのはワタクシッ、ワタクシ古...」
「長げーんだよ、ファイッ!」レフェリーが古パチの前口上を遮る様に叫ぶ。
ほぼそれと同時にロッキーが事を起こした。
「おおーっとぉ、ロッキー選手ブリッジの体制のまま遥か上空へ跳躍、まるでその様はピンクスパイダーロケットダイブ!ほかの選手呆然としておりますっ!」
ロッキーは桜吹雪の上空へ吸われる様に消えていった。
この瞬間時が止まった。
皆闘う事を忘れ理解不能な行動を目の前に唯立ち尽くし、上を見上げている。
ロッキーの奇行に馴れている中島さえも。
そして奇声が。
「こぉぉぉぉぉぉぉ、コンバつトモぉードチェインヂぃィ!」
掛け声と共に鮮やかなピンク色の全身タイツが散っていく。
それが桜吹雪と交わりロッキーの周りに桜の花びらの竜巻だかバリヤーみたいなものが形成され、絵的には非常に美しかったと後に見たものは語る。
しかし、その中心に見えたのは海パン一丁のモヒカン男だった。
桜吹雪の舞う中再びリングへ降臨。
そして時は動き出す。
「グランドマスターセクセイ・ロッキー推参!」着地してポージングをとっているロッキー。
「キィィヤァァァァ!」
大半の女性観客から明らかに嫌悪感のこもった叫びと汚いものを見るかのような凍てつく視線が浴びせ掛けられた。
「ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ、ざわざわ」
それ以外の観客からは、動揺とも畏怖とも蔑みとも侮りともとれるざわめきが起こった。
ここから先は筆者の趣味によるロッキーの変身後の姿を克明に描写し古パチに解説させるシーンなので、キワモノ趣味の方以外はとっとと読み飛ばしちまってくだせゑ。
・
・
・
・
「ロッキー選手っ!空高く飛び上がり全身タイツを自らの筋肉ではち切らせましたっ!
それにしても何と、見事に完成された体でありましょうかぁっ!
まるで鬼の形相をした向背筋んっ!
業物の鋼鉄甲冑のような大胸筋!!、
くっきりと6つに厳しくカットされた腹筋んん!!!
<中略>
何か別な生き物が潜んでいるかのようなバイセップス上腕二頭筋っっ!!!、
筋肉の中でも最も美しいと言われているトライセップス上腕三頭筋!!!!
<編集によりカット>
山脈のように盛り上がっったバーチセッブス平目筋!!!
えくぼができているほどに引き締まっている大殿筋!!!!!
そして海パンの横から何かがはみ出ておりますっ?
<一部公共的に不適切な表現を古パチが言った為カットさせて頂きます>
体脂肪分0%かと思わせる無駄なものを削ぎ落としきったハイブリットバディでありますっ!!!
赤筋、白筋が織り成す最適プロダクトミックスが仮に存在するとしたらこのような肉体になるのでしょうかぁっ!!」
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・
・
「エー、手元の資料によりますと、ロッキー選手の身長はモヒカン込みで183センチ、体重54キロですがっ、あの体躯を見る限りどう考えてもウエイトはそれ以上!
あの変身というか、ただ脱衣しただけにしか見えませんが其処に何か秘密があったのでしょうかぁっ!
しかもロッキー選手は職業が魔導師ですっ。今のは何かの魔法でしょうか?
ああーっとぉ、今観客の悲鳴を歓声と聞き間違え悦に入っているロッキーに中島を除く全選手が襲い掛かりましたっ!」
「Shyaaaっっ!」
ロッキーが動く。
刀身の刀袈裟切りに行こうとした真正面の男に向かって、兆速の弾頭タックル。
ロッキーは男の足の間に腕を差し込み、半分水車落としに入るときに近い感じで男を持ち上げたまま、その体制で場外の赤外線レーザーまで一直線に運び、不自然な角度でそこに投げ捨てた。
無論、男は失格。
もっとも、首が怪しい角度に曲がっていてどの道続行不可能だったが。
その一瞬の出来事に皆呆気に取られていた。
唯一人除いて。
次に動いたのは中島。
近くにいた敵の懐にすっと潜り込み襟を引き付けて腹部に強烈なひざ。
前のめりになる敵。そこへさらに潜り込み、迅速に左手を相手の右袖にもちかえ片足で敵の膝を蹴りながら腰を跳ね上げる。
一見一本背負いみたいな形だが違う。
中野陸軍学校で反吐が出るほど繰り返し練習させられた技。
未だ錆び付いてはいなかったか。
頭から落とさず肩から落としたものの、肘は何時の間にか逆関節に決めながら投げていた。
「本来ならここで相手の頚椎を踏み砕くのだが、そこまではしない。戦争ではないからな。」
中島は笑みを浮かべた。
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サブキャラクター
古パチ異痴漏:
43歳
パチモン。
少し癖っ毛。淵無しロイド眼鏡がトレードマーク。
武術大会の名物実況アナウンサー。テンションの高いその独特の言い回しが人気だが、肝心の競技者達には五月蝿くて試合に集中できないということで不評。C-アクシスの人気番組「筋肉大名」の司会・実況も担当。
遅れ馳せながら申し訳ありません。
確か、曲の題名ならセーフでしたっけ。
どうでもいいことですがモヒカンの高さは16.8pです。
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悪質な妨害工作 投稿者:セピア=インフラレッド 投稿日:2000/05/21(Sun) 16:32
「リンさん、あなたはアレイクとどういう関係なんですか? 差し支えなかったらお話ください」
リンはセピアの真剣な眼差しに圧倒されながらも、アレイクとの関係を話し始めた。
「私とアレイクとは今のC-アクシス以前に、かつて同じパーティーにいて必殺仕事人つまりハッカー狩りの賞金稼ぎをしてたのですが、彼のハッカーに対する常軌を逸した異常なまでの執着について行けず別行動をすることになったのです。その夜寝ている間にアクシス・ムンディの冒険者登録コードの埋め込まれた私のブレスレットからそれまで貯めた賞金の入ったデータを移し替えられ、その上私の魔法圧縮ファイルや指輪などの入ったバッグを持ち逃げされたのです」
セピアはリンの言葉を聞き終わると、かつて愛した彼がハッカー狩りの際、セピアの兄のような存在のジャックを巻き添えに殺してしまってからますます自暴自棄になりハッカーに憎しみをエスカレートさせあまりに人が変わってしまったことに衝撃を受けていた。
「リンさん、アレイクへの復讐ということでどうやらあなたとは共闘できそうですね」
「セピアさんに仇として追われているからにはアレイクは、どこか別の大陸に行ってしまって、もうここにはいないかも知れませんね」
彼女たちの話しを黙って聞いていたアールセキンがセピアとリンの話しを遮って話し始めた。
「師匠、セピアさんたち明日の決勝に備えて休養しなければならないことだし、私たちもそろそろ宿に戻りましょう」
「セピアさん、明日の決勝頑張ってね。それじゃ、また・・」
リンはセピアと固く握手するとアールセキンとともに風のように立ち去っていった。
突然、雑踏を押しのけながら札束をちらつかせながら薄ら笑いを浮かべて近づいてきた男がセピアに声をかけた。
「あんたの馬、すごく速かったよ。俺、ハドソンと云ってタフ屋をしている者だが、2000ゴールドをあげるから明日のレースで手加減してくれないか? 朴があんたを優勝候補にしているそうで、そう容易く商売敵の朴に儲けられては困るからな」
そう言いながら男はセピアの手に2000ゴールドの札束を手渡そうとした。
「八百長しろとでも云うの? 私を見くびらないで!」
彼女はプンプンしながら札束を男に突き返した。
「女だと思って下手にでれば・・・・明日の決勝ではお前なんか勝てるわけないからな!ハハハハ」
セピアは男を無視して愛馬フリーズにルフィーを乗せるとラルク牧場に向かった。
今晩泊めて貰うことになったラルク牧場に戻るとセピアは愛馬を厩舎に連れていき、ルフィーはラルクさんに乗馬の手ほどきをせがんだ。
それからルフィーは晩ご飯まで乗馬に夢中になっていた。
その後、セピアとルフィーはラルク夫妻と共に楽しい晩ご飯をとりながら楽しい会話が弾んでいた。
「叔母様の料理とても美味しいわ!」
「セピアさん、明日の決勝頑張っておくれ。強敵が多いから気を引き締めることじゃなぁ。明日に備えて今晩は早めに寝た方がいいよ」
「主人はもセピアさんたちが家に泊まるのでご機嫌なんですよ」
一方、ルフィーは晩ご飯をそこそこに牧場に出かけて乗馬に夢中になっていた。
その後、セピアとルフィーは同じ部屋で床に着くまで楽しい雑談をしていた。
「ねぇ、ルフィー、一つ聞いてもいいかしら」
「なんなの?」
「あなたのような年若な少女が独り旅しているのが不思議なの。あなたの旅の目的は何なの。もしかして誰か探しているのでは?」
「お話、遮って悪いけれど・・・・外から焦げた臭いがするわ。もしかしたら馬小屋あたりかもしれない」
彼女たちは寝間着のまま外に飛び出していった。
彼女たちの目前の愛馬フリーズのいる厩舎から真っ赤な炎があがってるのが見えた。
「ルフィー、急いでラルクさんたちを呼んできてちょうだい」
セピアは近くの水汲み場からバケツで水を運んで懸命に消火作業をし続けた。
間もなくラルクさんと雇われ人たちがやってきて全員で消火作業をしたおかげて軽いボヤ程度で済んだ。
「フリーズが無事でよかったわね。これはきっと明日の決勝レースを妨害するための放火だと思うわ」
みんなの前でルフィーはそのように断言した。
セピアは益々、怒りが込み上げていた。
「早く消し止めてよかった。今晩は徹夜でわしたちが見張り番しているから明日の決勝に備えてセピアさんたちも早く寝なさい。」
「ラルクさん、それではお言葉に甘えて休ませてもらいます」
彼女たちが部屋に戻ると、さっきのボヤ騒ぎの興奮から、なかなか寝付けなかった。
「ねぇ、ルフィー、さっきの話しだけれど、よかったら聞かせて?あなたとはこれまでお互い助け合ってやって来たし、ルフィーを本当の妹だと思っているの。だからあなたの役に立ちたいの」
最大の障害?! 〜お子様とシスコン鳥男〜 投稿者:クトファー&ステフ 投稿日:2000/05/21(Sun) 17:51
「…消えても文句言うなとは大きく出たねぇ。俺を倒す自信があるのかぃ?」
ムサシがおどけた仕草でクトファーに尋ねる。しかし、その目は相手を見定めるかのように鋭く、隙がない。そんな視線を受けながらも、クトファーは、氷のように冷たい微笑を浮かべる。
「――力量で考えれば俺がお前に勝てる確率は50もないだろうな」
さすがのムサシも首を傾げる。自分の負けを予想していながらも、クトファーは笑みを絶やさない。冷たく笑い、ただ佇んでいる。
「……なんだか…ステフから聞いてたのとは、随分印象が違うなぁ?あんた」
ムサシの言葉に、クトファーの眉が微かに跳ね上がる。そして、クトファーの顔から笑みが消え、下を向いた。
「―――むかつくんだよ……」
「へっ?」
呟くようなクトファーの言葉の意味をすぐには理解できず、ムサシが間の抜けた声をあげる。
「―――むかつくんだよ、てめぇは……」
ゆっくりと顔をあげたクトファーの瞳には、ムサシに対する憎悪の色が浮かんでいた。
「あいつのこと何も理解しちゃいねぇのに、保護者顔であいつの傍にいる貴様がきにくわねぇんだよ!お前はどれだけあいつのことを理解してるって言うんだ?!ほんの些細なことでも傷つくあいつを守れるのかよ?!なんにもわかっちゃいない貴様に…全てのものからあいつを守ることができるっていうのかっ?!」
吐き捨てるように一気に捲し立てるクトファーに気圧され、ムサシがたじろぎながら1歩下がる。ふいにクトファーが観客席の方を振返り、愛しい者を見るような表情を見せた。ムサシもその視線を辿ると、その先にはステフたちがいた。
「……お前…少し俺に似てるよ……あいつが懐いてるのもわかる気がする……」
「…あれって、懐いてるって言えるのか?」
お互いに視線はそのままで、クトファーの呟きにムサシが苦笑しながら答えた。しかし、ムサシの言葉はクトファーには聞こえていないようだった。
「……けど―――」
クトファーがゆっくりと目を閉じ、ムサシの方にゆっくりと振り向く。再び開かれた瞳には、先ほどと同じ憎悪が浮かんでいた。
「――お前には渡さない……あいつは誰にも渡さない。あいつは……
あいつは俺だけのものだッ!!」
「―――おわっ?!」
叫びながら、クトファーがムサシに斬りかかる。ムサシは慌てて後ろによける。
「甘いっ!」
クトファーがもう1歩踏み出し、振り下ろした剣をきり返してツバメ返しの要領でムサシを追う。
キィン―――
会場内に澄んだ金属音が響き渡った。クトファーの剣戟をムサシが受け止めたのだ。
「チッ」
舌打ちをしながらクトファーが飛び退る。
――二人の間に無言の睨み合いが始まった。
その頃、観客席ではステフがチョコバナナを頬張りながら首を傾げていた。
「何やってんだ?あの二人は」
二人のいがみ合いの元凶は、二人のやり取りがいまいち理解できなかったようで、呑気に露天で買い込んだ物をおいしそうに食べ続けていた。横ではガルがどう反応していいかわからず、引きつった笑みを浮かべている。
「大体さぁ。おれはおれ自身のもんだぜ?なんでおれが兄貴のものなんだよ?全く、何言ってるのやら……」
呆れた顔で杏飴をくわえているステフに、ガルは苦笑するしかなかった。
「…ふぅん。なるほどねぇ……そういうことなんだ…」
今まで黙って観戦していたアピアが、意地の悪い笑みを浮かべながら呟いた。しかしそれは、会場の喧騒にかき消され、誰の耳にも届くことはなかった。
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うぃ。お待たせしましたでぃす。ムサシ&クトファー側です。
最近、パソコンが自由に使えなくなったため、これから書きこみが減ると思うので、こいつらは適当に動かしといてくださいね。
さて、クトファーがシスコンぶりをモロに発揮しております。
あそこまで言ってわからないステフもちょっと異常だが。(^^;)
アピアのほうも何か企んでそうだし、ムサシはほんとに苦労しますねぇ(爆)
頑張れ!ムサシ
そして離別 投稿者:アル&リン(宗一郎) 投稿日:2000/05/21(Sun) 21:24
セピア達と別れたリンとアールセキンはかなりの速度、と言ってもまあ常識の範囲だが、でゼフィロスへと向かっていた。
アールセキンの第6感がさきほどからマイナの危機を告げているのだ。(笑)
「もう少し、飛ばします?」
半ば一陣の風と化しているリンが隣を走るアールセキンに問いかける。
「いえ、このスピードなら間に合いますよ。それよりさっきの話はなんですか?」
軽く眉を寄せ、アールセキンが問いかける。
彼とリンはサイアド参加の間ほとんど行動を共にしていたほどの仲だ。だが、少なくとも自分と一緒にいた間は、そんな話は聞いていない。
「ああ、アレイクさんのことですか?あなたと一旦別れた後でパーティーを組んでいたんです。でも、その後の話は嘘ですよ」
「嘘?」
「ええ、ほんとはなんにも獲られてたりしてませんよ。私もそこまで鈍くはありませんから。ただ、久しぶりに顔が見たくなっただけ」
そう言って、クスッと笑うと不意に真顔になった。
「でも、彼女の前でそう言うのが少し憚られてね」
「なるほど」
アールセキンは納得顔でうなづいた。
「急ぐんでしょう?」
不意にリンが問いかけた。それも、答えを必要としていないような問いをだ。
「気づいてらしたんですか?」
「ええ、かなりそわそわしてましたよ。その気になれば何時でも会えますし、今は先に行ってください」
まるで全てを察しているかのようにリンが優しく微笑む。
アールセキンはその言葉に足を止めた。
「判りました。では、お言葉に甘えて」
感謝の意をこめて軽く一礼をすると、超常識的加速に移行すべく、ぐっと両足の力を溜める。
「お先に失礼します」
そう言い残し、アールセキンは一気に走り去っていった。
それを見届けるとリンは、つまらなさげに溜息をついた。
「さて……どうしよう?」