そんなに甘くはなかった!! 投稿者:ワタル 投稿日:2000/08/13(Sun) 13:44
冒険者コードの解読のために龍尾のシステムエンジニア達がシリンの身体に付けられた小さな
ワイヤレスセンサーとヘッドギヤーを取り外そうとワタルは試みた。
「シリンさん、ちょっと待って!背中に毛虫がいるよ」
シリンは驚いてワタルに抱きついてきた。
(ワオッ!今のボクって最高に幸せ!)
嘘も方便、職務とは言え一瞬の甘い陶酔から醒めたワタルはシリンの背中上部の首筋に付いていたセンサーを取り外した。
「毛虫は捕ったからもう大丈夫だよ。頭に付けているベッドギャー似合わないから外して代わりに僕の学帽を被ってみて」
「はいー、わかりましたぁ♪」
「シリンさんの学帽姿カッコいい!!では、ラスファー君を連れてくるまでかくれんぼしててね」
(やれやれ、ではラスファー君の救出に向かうとしますか)
お手洗いからの帰りがあまり遅いことに、いずれ李や王たちも気づくことだろう。
シリン一人ならともかくラスファーという少年までお荷物にかかえては警備が厳重な上に数多くの罠や
センサーが張り巡らされている龍尾の別荘を突破するのは極めて困難であると悟り
先程、シリンに仲間の元へ帰るように言ったことをワタルは後悔した。
武道の心得があるとはいえワタル一人で百人以上の龍尾の敵を相手にするのは無理だと悟ったからであった。
手紙を読んだ仲間たちが一刻も早く来てくれることを願っていた。
そんなことをあれこれ考えながらワタルはまず初めに一階の厨房に行き龍尾本部ビルから秘かに持ち出した
睡眠薬を配膳の料理の中とコーヒーなどの飲み物のポットにも入れた。
ワタルは睡眠薬入りのコーヒーポットを持ってラスファーが監禁されている2階のコンピュータルームに向かった。
ワタルはドアの前にいる警備兵達ににこやかに挨拶をするとコーヒーを奨めた。
「警備ご苦労様です。コーヒーでも召し上がってください。」
「おっ、これはありがたい。さっそくいただくことにする」
次にワタルは用件があるふりをしてコンピュータルームに入った。
「エンジニアのみなさん作業お疲れさまです。一休みしてコーヒーでも召し上がりませんか?」
「では、ご馳走になることにする」
コンピュータルームにいた四人のシステムエンジニアたちのコップにコーヒーを注いだ。
ワタルは睡眠薬の効き具合を確認するためにシステムエンジニアたちと雑談した。
「敷地北側のセンサーが故障みたいですが・・・・」
システムエンジニアたちは敷地内に張り巡らされたカメラやセンサーを統括する中央のコンピュータ画面を確認していた。
「どこも故障は見あたらないようだが・・・・」
そう言うやいなや、四人のシステムエンジニアたちは次々に床に倒れて眠り込んでしまった。
「薬が効いてみなさんお休みのようですから、そろそろ次の作業にとりかかることにしますか」
ワタルはベットに縛られているラスファーのロープを解き頭に着けられている電極コードを取り外した。
「君を助けに来ました。僕は君の味方です。シリンさんが外で待ってますので僕と一緒に来て下さい」
「ありがとうございます。人民服姿なので、あなたも敵だとばかり思っていましたので失礼しました。」
ワタルはラスファーを連れて逃げる前にポケットからコンピュータウイルスの入ったフロッピーを取り出して
敷地内に張り巡らされたカメラやセンサーを統括する中央コンピュータにセットした。
「これで、警備システムは破壊されるだろう。後は警備兵や罠を避けて逃げるだけだね」
ワタルはラスファーを連れてシリンの待っている場所に向かった。
「シリンさん、僕、ワタルだよ。ラスファー君を連れて来ましたから出てきて下さい」
ワタルは人民服を脱ぎ捨てると元の詰め襟学生服姿にゲタ履きの恰好に戻っていた。
「わ〜い!ラスファーさんだ♪ ワタルさんも一緒にゼフィロスに帰りましょう ♪」
そう言いながらシリンが木陰から現れた。
「シリンさん、ラスファー君、静かに僕の後に付いてきて下さい」
ワタルがシリンとラスファーを連れて敷地内の罠に注意しながら逃走し始めたその時、
ワタルたちは龍尾の人民服姿の警備兵に取り囲まれた。
ツォウインが薄ら笑いを浮かべながら近寄ってきた。
「シリンさん、かくれんぼはそろそろ終わりです。さぁ、お部屋に戻りましょう!」
続いて、飛燕がワタルに語った。
「ワタル、貴様 裏切ったな!」
「裏切ったのではない。表がえったのだよ〜ん!」
「諸ども、この三人を取り押さえろ!」
飛燕、道士姿に指揮された人民服姿の多数の兵士たちが一斉にワタルたちに襲いかかっていった。
まだ懲りない?シリン 投稿者:シリン=ダー(みねの) 投稿日:2000/08/13(Sun) 16:02
「ほえっ?」
人民服達に取り囲まれたシリンは、未だ状況が理解できていない。だが、酷い目に遭わされかけたラスファーは、身体を固くした。ワタルは二人を見てとっさに叫ぶ。
「シリンさん、かくれんぼは鬼ごっこに変更になったらしい!鬼は、前と同じですよっ」
「は〜いっ!早く行きましょう、ラスファーさん♪」
「行かせるか!」
シリン達の前に立ちはだかろうとする人民服。だが、ワタルが素早く前に出て、強烈な蹴りを食らわせる。
「ぐわっ!」
人民服は堪らず後方に吹っ飛んだ。その隙にシリンはラスファーの手を引き、廊下を曲がって「鬼から逃げ」てしまった。ワタルは反射的に彼女たちが去った通路に、両手を大きく広げて残りの人民服達の行く手を阻んだ。
「ワタルめ、愚かなマネを――ツォウイン様、こいつの処分はこの飛燕が行います」
「よろしいですよ」
対峙する飛燕とワタル。人民服達は一部は飛燕を援護する体勢で構え、残りはシリン達を発見すべく去っていった。そしてツォウインは、飛燕達の様子を冷たい目で見守っていた。
「あ、ラスファーさん、ここに隠れましょぉ〜♪そうすればこっそり鬼さんから逃げられますよう」
シリンは、ある物置部屋(としか彼女には見えなかった)から天井裏に逃げ込もうとラスファーに提案した。恐怖でいっぱいのラスファーは、無言で何度も激しく頷くと、シリンより先にいくつも積み上げられた箱をよじ登り、彼でも入るのがやっとというサイズの入り口から天井裏に入った。シリンもうきうきしながら後に続く。ラスファーは、念押しのため、震える手で入り口の金網を元に戻した。これなら恐らく体格の良い人民服や道士達は入ってくることが出来ないに違いない。
「あの……シリンさんは、怖くないんですか?」
「うみゅ?いいえー、だって、これ、ただの鬼ごっこじゃないですか♪」
そう平然と言い放つシリンに、寧ろ不安を感じるラスファーだった。
これまでの、あらすじ(概略) 投稿者:アレイク(うなぎ) 投稿日:2000/08/21(Mon) 00:10
武道大会の第四試合の混乱の中、マイナを探していた所を宗、王、李をはじめとする人民服姿の男たちにさらわれてしまったシリン!それはハッカー達相手に高く売れる、新規登録されたばかりの真っさらな冒険者データを得るための誘拐であった! 初心者の冒険者コードは闇世界で高く売買されている。最初にその冒険者コードを解読し、その後フォーマットを行い、最後にコピーをする。そうやって出来たフォーマットのコピーはハッカー達がカロンの目をくらますためのカモフラージュとなり得るのである。
さらわれてゆくシリンの姿を見つけた中島をはじめロッキー、西崎、渋澤の四人。しかしながらその時突然姿を現した道士姿の男に行く手を阻まれてしまう。そして男の放った違法アプリ魔法、ログ・クラッシュによって彼らはその時の記憶を削除されてしまうのであった。どうなるシリン!
徐々にその全貌が明らかにされてゆく、ハッカーたちによる謎の犯罪組織『龍尾』!自らが捕らわれの身であるとの自覚もないまま、大会決勝の中継を観戦して脳天気にはしゃぐシリン!その接待に頭を抱える宗!シリンが失踪した事にすら気づかぬままゼフィロス祭を楽しむ一同!(爆)かくしてその事件は意外な所から発覚するのであった。
公営競馬のオッズ操作のために『龍尾』より派遣されていた男、ハドソン。偶然にも彼の口からシリン誘拐の事実が明らかになる。その場に居合わせたセピア、ルフィー、朴、ラルクの四人は、その監禁場所を知るべくハドソンを追求。ゼフィロスのスラム街にある10階建てのビルこそが『龍尾』のアジトであり、同時にシリンの監禁されている場所であった。120人もの武術家たちに固く守られた龍尾のアジト。その堅牢さを前に援軍として仲間たちを呼ぶべく一時退却。武術大会会場へと向かった。
しかぁ〜し!今度はセピアたちの前に道士姿の男が立ちはだかる。そしてログ・クラッシュ!またもやシリン誘拐の事実は誰も知らない物へとなってしまった!(笑)
やがて記憶を失っている事に薄々気づき始めた中島たち。セピア等と合流したのち、彼女たちも記憶が抜けている事に気づく。そこにラルクが合流。彼は途中往生している所をワタルと言う青年に助けられ、無事セピアたちに追いついたとの事。そして、たまたまログ・クラッシュを受けずに済んだラルクの口から、シリン誘拐の事実が告げられる。やっとシリンが行方不明になっている事に気づいた一同!(爆)
マイナ、アールセキン、アピア、アレイク、カッツェ、ステフ、クトファー、ジンク、リン、ガルデュン等が中島、渋澤、西崎、ロッキー、セピア、ルフィー、朴、ラルク、ワタル等と合流。やがて決勝を終えたムサシも合流するものの、対戦相手であったルネリオの姿が消えてしまう。ルネリオを助けるべくカッツェが一同と離れる。そして残った全員でシリン救出へ向かう事となるのであった。
その時たまたま通り掛かった男、謝。男は朴に借金をしており、同時に『龍尾』のメンバーでもあった。一同はこの謝を脅迫して(笑)龍尾についての情報を得る。そしてスパイとして本部ビルへと送り込んだ。しかし龍尾のボス、ツォウインはそれを見ぬいていた。ダブルスパイとして謝を彼らの元に帰し、罠を張って待つ。
そんな中、ムサシは一人奇襲に出て行った。誰にもその事を告げずに。いや、正確には一人ではなかった。変身魔法でたまたま付いて来てしまったマイナも一緒であった。その頃、情報収集を頼んでいたクリーチャーである鳥たちからの反応がステフにもたらされた。一羽の鷹がムサシの奇襲を教えたのである。走れステフ!急ぐのだ!(爆)
時を同じくしてここにも一人、本部へ乗り込もうとする男がいた。ワタルである。彼は無謀にも本部の玄関を叩き正面から乗り込む。しかしあっさりと捕獲。警備に当たっていた龍尾のメンバーたちは、襲撃者として警戒心を持てないこの男に対し、清掃係として雇う事を許してしまう。シリン救出メンバーに備えて仕掛けた罠にことごとく引っかかるワタル。そのたびに罠を仕掛け直す龍尾メンバー。
一方龍尾の幹部である飛燕は、ムサシの侵入に気づいていた。当のムサシは倒しても倒しても次から次へと現れる敵に疲れ果てていた。その様子を同じく潜入に成功したステフが木立の上から眺めている。その無謀さに半ば呆れながらも、ビルのセキュリティーシステムのケーブルを破壊し、影からムサシを援護する。
やがてムサシは10階へと辿り着いた。おやつを食べ溢れるジュースで下の階を壊滅させた後、10人からなる中華服の男たちを倒す。そして道士服の男と飛燕が二人の前に現れる。道士の放つ魔法、飛燕の振りかざす青龍刀、影からは伏兵の放つ矢。しかし、そのどれもがムサシを傷つける事すらかなわなかった。本気ムサシ。向かう所敵なし!死闘を終え、ムサシは力尽きてその場に倒れ込んでしまった。マイナを階下へと行かせて‥‥。やがて、倒れ込むムサシの傍らにステフが現れた。小鳥たちを連れて。
一方他のメンバーたちは混乱していた。単独行動を起こしたムサシ。それに行方不明のマイナ、ステフ、ワタル。そしてアピアの懐にはムサシの遺書が!我を失い飛び出すガル。
眠りこくっているムサシと、それを見守るステフの前に『龍尾』のボスであるツォウインが手下30人を引き連れて現れた。ムサシはロープで縛られ、ステフはシリンの監禁されているはずの奥の部屋へ行ってもよいと言われる。だがステフは動かなかった。ムサシを見捨てるわけにはいかない。そして小鳥がステフに教えてくれた。奥の部屋にいるのは偽者であると。 ステフは立ち向かった。相手は龍尾のボス、ツォウインと30人からなる手下たち。
「データロード、ファイアエレメンツ・復元(ラン)!蹴散らせ、ファーちゃんっ!!」
ファイアエレメンツを召喚し、ムサシを奪還してその場から逃げ出すステフ。だが、丁度その時、駆け付けたガルと事もあろうか正面衝突。階段を転げ落ちて行った。
縛られた状態で目を覚ますムサシ。目の前には絡み合うステフとガル。そして寝ぼけたムサシはブチ切れる。ちょうど三人のいた7階の踊り場に現れた清掃係のワタルが7階のドアを開けて彼等に隠れるよう促す。ちょうど7階にいたマイナも合流し、彼等は追っ手の駆け下りる階段と反対側の階段を使い脱出。
ムサシ、ガル、ステフ、マイナの一行はセピアたちの元へと戻った。 シリンの移動先という、ワタルからの新しい情報も得て、彼等は再び作戦を練る。そして再び狼へと変身するガル。いきなりこの忙しい時にステフに告ってるムサシ。
一方、シリンは龍尾本部ビルから南へ10km離れたゼフィロス郊外のテポラ山麓にある3階建ての龍尾の別荘に移動させられていた。別荘の周りは70人からなる人民服姿の警備兵で守られており、さながら砦といった様相である。シリンはそこの三階に監禁されていた。警戒を厳重にするためワタルを含む40人の警備兵たちが本部ビルから警備に加わる。そして当のシリンは‥‥王、李たちとポーカーに明け暮れていた。そしてボスであるツォウインもそのゲームに参戦。その頃、新たなる被害者、通り掛かりの冒険者ラスファーが本部ビル近くで捕まり、別荘へ送られてくる事に。そして、ラスファーもトランプ大会に参戦!さらに食事を運んできたワタルまでもが!密かに盛り上がってたりする。
やがてこの事態の不自然さに気づき始めたラスファーは脱走を試みるものの、すぐにツォウインによって連れ戻されてしまった。
宴もたけなわシリンがお手洗いに立つ。トイレの案内を任せられるワタル。これは脱出のチャンス。ひとまずラスファーを探し出すまでの間、かくれんぼと言う事でワタルはシリンを隠れさせる。そして睡眠薬入りのコーヒーを見張りやエンジニアたちに飲ませて眠らせる事に成功。そしてウィルスの入ったフロッピーをセキュリティーシステムにセットし、警備システムを破壊。ラスファーを救出してシリンと合流。ついに脱出成るかと思った次の瞬間、彼等はツォウインをはじめとする人民服姿の男たちに取り囲まれてしまった。こんどは鬼ごっこ!逃走の開始である。ラスファーとシリンを逃がし、飛燕と対峙するワタル。彼等三人の運命やいかに!
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だぁぁっ!疲れたぁぁっ!!ログ読み返してあらすじ書くのに5時間かかったよー(笑)
とりあえずオフ会の時の約束は果たした!(爆)
間違ってる所もあるかも知れません。見つけたらご指摘を。
投稿者:アールセキン(宗一郎) 投稿日:2000/09/01(Fri) 00:33
「む?貴様何をしている?」
中島は会議のも参加せずになにやら隣室の方でごそごそしているアールセキンを見咎めると、厳しい口調で問い掛けた。
アールセキンははじめ、それが自分を指していることに気がつかなかったらしく、黙々と作業を続けていたが
より強い口調で詰問され、やっと振り返った。
「これは、中島様。私がなにか?」
「さっきから貴様一体何をしているんだ?」
ただでさえ、アールセキンを胡散臭い人間と認識している中島はアールセキンがこの場にいること自体に苛立ちを覚えている。
「いえ、下準備ですよ」
「下準備?」
そう言って、愉快そうに笑みを浮かべるアールセキンに眉をしかめながら(男はへらへらと笑うものではないらしい)
中島はさらにたずねる。
「いえ、敵の本陣に侵入するのに、何の準備もないと言うのはさすがに問題がありますからね。
少々武器などを買い入れておきました」
見ると、そこには新品のハンカチが数枚と、白の布手袋が並んでおいてあった。
知らない人間にはどう見ても武器には見えない。
「貴様、これのどこが武器だ!!!!自分を馬鹿にしているのか!!!!」
案の定、馬鹿にされたと勘違いした中島がすさまじい勢いで激昂する。すでに、手が懐の拳銃へと伸びていた。
が、アールセキンは落ち着いた手つきで、ハンカチのうちの一枚を摘むと、それで自らの指に薄い切り傷をつけた。
「これでは、武器になりませんか?」
「なるほど、これが貴様の武器と言うわけか」
中島はなんとか冷静さを取り戻すと、ゆっくりと手を懐から引き抜いた。
「で、こっちの手袋はなんだ?」
「ああ、これはちょっと特殊なアプリケーションでして、普通の魔術師で言うところの解答アプリのようなものです。
さきほど、新たにいくつか魔法アプリを買いこんできましたので、それに合わせて新調しました」
「なるほどな」
「納得していただけましたか?」
「うむ、自分の勘違いだったらしい。疑ってすまなかった」
中島は内心口惜しく思いながらも、非礼を詫びた。
アールセキンも立ちあがって言った。
「いえ、こちらこそ説明不足だったところもあったのですし、気になさらないでください」
「そ・そうか」
アールセキンの態度に戸惑いながらも中島は胸の中の苛立ちがほん少し、なくなっていくのを感じた。
「中島様も今のうちに最後の点検をしておいた方がよろしいですよ」
「うむ、そうだな。戦場でも貴殿の活躍を期待している」
こうして戦いを前にして、ひとつの奇妙な友情が生まれた。
すんません。個人行動に出ます。(汗) 投稿者:アレイク(うなぎ) 投稿日:2000/09/04(Mon) 00:13
「しかし久しぶりだな」
「そうね。またこんな形であなたとパーティ組むなんてね」
煌々と銀色に輝く満月に近い月明かりすら届かない暗い森の中、草を踏みしめる音すら立てずにアレイクは歩いていた。その後ろに続くのはリンである。二人は戦いの準備に忙しいセピアやムサシ等のパーティをこっそりと抜け出していたのだ。
「私たちには私たちのやり方があるからな」
「ハッカー狩りとして?」
「‥‥」
含みのあるリンの言い方にアレイクは無言で答える。
「あなたも変わってないわね」
ため息をひとつ。リンは歩きながら武器であるピアノ線を夜空にかざす。木々の間から零れ落ちた月明かりが針のように細い繊維を光らせ、その冷たい輝きはいつでも冒険者をデリートできると訴える。
「龍尾の別荘は昔、さんざん探したんだよな」
「ええ。でもとうとう見つかんなかったのよね」
「まさかデボラ山麓にあったとはな‥‥」
かつてアレイクはハッカー集団の組織である龍尾のボス、ツォウインをリンとともに追い続けていた事がある。
そのために龍尾の別荘を探していた事もあった。しかし当時、その所在を掴む事すら叶わなかったのである。
「連中はシリンとか言う冒険者を助けに行くらしいが、私はツォウインをこの手でデリートしてやる。必ず」
「あの人たちの邪魔にならないようにね」
「解っている。連中の救出作戦の方が優先だって言うんだろ?」
「そう言うこと。‥‥アル、うまくやってくれるかしら」
やがて森はその深さを失い、地形に起伏が生まれ始める。そして遠く、月に照らされたデボラ山が星空を背に浮かび上がって来た。
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すんません、勝手にリン引っ張り出してしまいました。
だって知り合いってのが他にセピアしかいなかったし。(^^;
とりあえず山の尾根あたりで様子を伺うようなスタンス取ってますので。
昔、アレイクがツォウイン追っていた理由なんかも考えよっかなぁ‥。
遅れましたー(^^; 投稿者:クリス・コファー 投稿日:2000/09/04(Mon) 00:11
「こんにちわですわ。お二人さん」
真夜中の森から這い出しながら、クリスはデボラ山を眺めている二人に声をかけた。
街に残してきた人肌が恋しかったのか、ただ単に騒ぎを起こしたかったのか。
気楽な態度で、同じように山を眺める。
これが現実だとは思えないほど、山は堂々と月の明かりを跳ね返し、そこにあった。
「あなたは?」
攻撃する意志はないと見たのか、二人のうち女性の方が振り返った。
「わたし?わたしはクリスっていうのよ。ヨロシクね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あーもーダメ。パスパス。後はヨロシク。
でも今度は頑張る。だからヨロシクー(^^;
こんな調子で続けていけるのか、ちょっと不安(^^;
オカマなエルフのクリスちゃんは、活躍できるのかなー
アレイクリターンズ(VS龍尾) 投稿者:リン(宗一郎) 投稿日:2000/09/05(Tue) 00:48
「あの、この辺は危ないからはやくどこかに行ったほうがいいですよ」
リンはその唐突な闖入者に向かって、そう話しかけた。
その視線にはありありと疑惑の色が浮かんでいる。
「あら?お邪魔だったかしら?」
だが、彼女(正確には彼だが)はそんなことなど欠片も気にせずに、ころころと鈴が歌うような軽やかな口調で話し掛けてきた。
「ああ、邪魔だ。今すぐ、失せろ」
対して、アレイクの言葉は痛烈だった。
ともすれば、敵意ともとられかねないほどの棘のもったその台詞
は普通の人間ならば、簡単に怖気づかせてしまうほどだった。
だが、彼女はそれでも引かない。
それどころかなにがおかしいのか、くすくす笑いまではじめている。
「もう、変な神父さんねえ。そんなにあたしを追い払いたいだなんて、何かよからぬことでも相談してるのかしら?」
そう言って、含みのある視線でアレイクを見つめる。
「違います。この場所にいるとあなたの身が危険なんです。言い方は悪かったかもしれませんが、
彼もあたしもあなたを巻き込むのを心配してるんですよ。ですから、できる限りはやくここを立ち去ってくれませんか?」
言われたクリスは、すぐにはリンの言う事が飲み込めなかったらしく疑問符を浮かべていたが、すぐに先ほどと同じくすくす笑いをしだした。
「やっぱり、面白い事があるんじゃないの。混ぜてくれないなんて酷いわぁ」
アレイクが腹立たしげに歯軋りをする。そして、クリスを邪魔そうに睨みつけたが、彼女は一向に動じない。
「遊びとは違うんだ。お前のような並みの冒険者がくれば、必ず死ぬぞ」
「だからこそ、面白いんでしょ?」
その一言でつい、アレイクが懐の銃に手を伸ばしかけたとき、森の影からさらなる来訪者が現れた。
「貴様ら、そこで何をしている!!」
中国の人民服によく似た薄い茶色の服に身を包んだ男たち。
あきらかに、龍尾の構成員だ。
リンとアレイクは即座に動いていた。
本来、クリスに向けるはずだった銃口をそのまま先頭の男に向け、そして撃つ。
警告も何もない、問答無用の一撃だ。
「なっ!?」
唐突な先制攻撃に戸惑う男達にリンがすぐさま跳びかかる。
狙いはただ一人。
リンはすばやく、男の腕にピアノ線を絡めると両端を勢いよく引いた。
ぼとっ
ばかばかしいまでにあっさりと男の腕が地面に落ちる。
この状況になって、やっと人民服の男たちを反撃の準備を整えた。
相手が攻撃を移ろうとしたのに気づいたリンは慌てて、人民服の男たちと距離を置く。
敵は全部で6人。だが、そのうち二人は既に片付けてある。
後の4人もこの程度なら楽なのにな、と思いながら男たちを観察する。
と、いきなり一人が倒れた。
見れば、襲い掛かる暇さえ与えずアレイクが的確に男たちの眉間を撃ちぬいていた。
あっという間に半分になってしまった男たちは、なりふり構わず襲い掛かってきた。
連携もなにもあったものではない、素人丸出しの攻撃をリンはあっさりと避ける。
しかし避けられた事がなんでもないかのように、男達はリンの横を通りすぎていく。
「しまった!!」
リンの背後には、その状況を楽しそうに眺めているクリスがいる。
慌てて後を追うが、最初に出遅れた分は取り戻せない。
リンが追いつく前に、男達は一斉にクリスに襲い掛かっていた。
が、次の瞬間起こったことはリンにも予想外だった。
「書庫解凍 パウダーミスト 実行(ラン)」
いきなり、男たちを包み込むように爆発が起こったのだ。
炎系の高位魔法。
しかし、驚くべきは解凍と発動のタイムラグの少なさだ。
男たちが炎に包まれて倒れると、クリスがこちらに笑顔を向けている。
「やっぱり面白そうじゃないの。あなた達が巻き込んだんだから、いまさら来るななんて言わないわよね」
リンは、なんだかよくない人に関わってしまったような予感を覚えた。
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というわけで、なんか戦ったりしてみました。
ちなみにタイトルは僕の大好きな某小説のパクリです。
つうか、そのせいで意味もなくアレイクリターンズとか言っちゃって、うなぎさんごめんなさい。
とりあえず、あとで『パウダーミスト』のデータ送らなきゃ
お子様ゆえの純真な思い 投稿者:ステファン=ノティス 投稿日:2000/09/05(Tue) 07:32
「違うわ!俺は…」
「俺は?」
満月を過ぎてちょっと欠けた月明かり。それでも十分すぎるくらい明るいのに、ステフから見たムサシの顔は、上のほうが影になって表情が読み取れない。ステフのほうが見上げているのに、だ。
(…こいつ、なんかさっきから様子が変だなぁ?)
「……」
「聞こえないぞ?」
(――やっぱおかしい)
なんとしてでも表情を窺おうとステフがちょっと近づいた時、ムサシが急に顔を上げる。
「俺は・・・俺はステフ、お前のことが好きなんだ!」
一瞬の間。
まともに顔を見れずに視線を泳がせるムサシは、そのときのステフがどんな表情で自分を見ているか、気づくはずもなかった。
「――なんだ、そんなことか。それがどーかしたのか?」
あまりにもあっけらかんとしたステフの言葉に、ムサシがちろりとステフの表情を見下ろす。ステフの顔は、不思議この上ないことを聞いた時の子供の顔そっくりだった。それを見て拍子抜けしたムサシは、まだ落ち着ききれない自分を気づかれぬように目を閉じて額に手をあてる。
「あのさぁ、お前……自分の置かれた状況、わかってるか?それとも――」
そこで一呼吸おき、目を開けてステフを見据える。
「――俺の気持ち、気づいてたのか………」
真剣なムサシの視線をしっかり受け止めながら、ステフが少し首をかしげた。
「だって……あたりまえのことじゃん。おれ達仲間だろ?そういったのはお前じゃないか」
「へ?」
予想もしなかった答えを理解しきれず、ムサシの目が点になる。それでもステフはかまわず言葉を続ける。
「おれは自分の気に入った奴としかパーティー組まないんだ。今のパーティーは結構気に入ってる。お前だけじゃなく、ガルやシリンやその他みんな仲間だ。今の仲間が大好きだよ、おれは。お前だってそうだろ?」
「……そーか………やっぱり理解してないんだな……」
さもあたりまえといった顔で話すステフの言わんとしてる事がやっと理解できたムサシが、疲れた表情で肩を落とした、その時だった。
『あはははははっ!』
突然の笑い声に、ムサシがはじかれたように顔を上げる。声の先には困った顔のジンクがいた。
「あれ?ジンク、どうした?」
「あ。えーと…二人があんまり遅いから呼びに来たんだ。みんな作戦会議してるし、ちゃんと参加しなきゃ」
しどろもどろで答えるジンクに、ムサシが納得のいかない顔をする。
「……なぁ、ジンク…」
「はい?」
「お前だけでここに来たのか?さっきの笑い声……お前なのか?」
少し恨めしそうな顔で詰め寄られ、ジンクがじりじりと後退る。
「あー…えぇと……僕じゃないです。さっきのはマスターで……」
「……クトファー?じゃあ、奴はどこに?」
さらに詰め寄るムサシの顔は、怖いくらい無表情だった。
「え、あの…さっきまで僕の横にいたはずなんですけど…気が付いたら忽然と姿を消してて……」
「―――――そぉか……やっぱり奴か……」
握り拳で僅かに殺気さえ滲ませるムサシに、状況の理解しきれてないステフとジンクが顔を見合わせ首をかしげる。
「そーだよな。こんなときに邪魔するのは奴ぐらいしか――――」
「おーい、お前ら!そんなとこでなにやっとるんやー?」
声は空から降ってきた―――――否、上の窓から振って来たのだ。2人と1匹が上を見上げると、一匹の銀狼が顔を覗かせている。先ほどまで月を見上げていたガルだ。ガルは身軽な動作で窓から中庭に飛び降りると、ムサシやステフの前に着地する。他のメンバーもなんだなんだと窓際に集まってくる。
「お前らこんなとこで何話しこんどるんや?」
「ああ。なんか、ムサシがな。おれのこと好きなんだってさ」
ムサシが止める間もなく、あっさりとステフが告げ口(?)をして、ガル狼が眉根を寄せる。ムサシはもう、言おうとした言葉もどっかに忘れ、口をパクパクさせるしかなかった。
「お前……この非常事態に何やっとるんや?二人していなくなったと思ったら……」
「そーだぞ。これから皆でシリンのこと助けに行こうってのに、何でそんな、仲間が好きかなんてあたりまえのこと言うのさ?」
同意してるように見えてさらりととぼけたことを言うステフに、ガル狼も目が点になる。その二人の横で、フルフルと肩を震わせていたムサシが、突然びしぃっと指差し―――――
「お前らみんな、大っ嫌いだぁああぁあーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
大声で叫ぶなり、ものすごい勢いでダッシュして外へと続く戸口へ向かう。しかし、戸口に手をかけたあたりで、ムサシの行動もあえなく失敗に終わった。
『逃がすか、ボケェっ!!』
ごすっ!! っだしゃあぁっ
鈍い音とその直後に何かが引きずる音。
声とともに上空から、体重を乗せた一撃をもってムサシを襲撃したのは、他でもないクトファーだった。彼の蹴りは狙い通りムサシの後頭部へとクリーンヒットしたようだ。
「あ。兄貴……?」
誰もがぽかんとした顔で、どう反応したらいいのか困っているようだった。蹴り倒されたムサシは、打ち所が悪かったのか起き上がる気配がない。
場を沈黙が支配する。
さすがに気まずさを感じたのか、右手の人差し指で顔を掻いていたクトファーがムサシの横にしゃがみこみ、剣のつかで突付き始めた。
「おーい、ムサシ〜ぃ…生きてっかぁ?」
その言葉が終わるや否や、がばっと起き上がったムサシがクトファーの剣を奪い、そのまま頭に振り下ろす。
ごいんっっ!
「いっ――――ってぇーーーーーーーー!何しやがる!!」
「それはこっちのセリフだ、馬鹿鳥!お前は隼かっ?!」
「俺は鳥じゃねぇ!」
「鳥だろうが、この馬鹿鳥!鳥頭!!」
「なにおーーー?!」
ギャラリーを気にせず低レベルな言い合いを始めた二人に、他のメンバーは「夜だから静かに」という注意をすることすら忘れ、呆れ返っていた。誰もがもう、声をかける気すらうせていた―――ただ一人、ステフを除いて。
「……おい」
「……だからお前は……」
「おい、あのな……」
「それを言うならお前こそ……」
低く抑えた声で話し掛けるも、口喧嘩に熱中している二人には届いていない。その様子にステフはこめかみを抑え、そのあと深呼吸をする。
『いいかげんにしろーーーーーーーーーーーーーーーぉ!!!!!!』
騒いでいた二人もその大声にぴたりと動きを止める。それを見てため息をつくと、ステフが静かに二人に話し掛ける。
「あのな、今は仲間割れしてる場合じゃないぞ?シリンが今、危ない目に会ってるんだ。こんな時、皆協力し合って助けに行くべきだろ?その前に何やってるんだよ。こんなんじゃ、勝てるものさえ勝てなくなっちまう。時と状況を考えろ」
それだけ言うと中庭に戻り、ジンクとガル狼を部屋に戻ろうと促し、二人の横を素通りするとさっさと階段を上っていく。
立場をなくし立ち尽くすムサシとクトファーを取り残し、部屋では作戦について話し始める。
1階では、呆けたように立ち尽くすムサシに、クトファーが静かに口を開いた。
「……あいつはさ…あーゆーやつだよ。恋愛感情なんか欠片も理解しちゃいない。自分の周りにいるものは全部同じに大事なんだ。だからこそ、周りの奴が傷つくのを極端に嫌う…その気持ちは…わかるだろ?」
「……」
ムサシのほうは振り向かず、階段の上を見つめてクトファーが続ける。
「何のつもりでこのタイミングにあんなこと言ったのかは訊かねぇけど……あいつを泣かしたら許さねぇからな」
そう言い放つと、ムサシをその場に置いて階段を上っていった。
「ああ、それと――――――」
思い出したように階段の途中でムサシの方を振り向く。
「あんな程度でステフに通じるなら、とっくの昔にあいつは俺のものだよ。もっと頭を使いな☆ま、その前に俺が許さねぇけどなっ♪」
久々にいつもの調子に戻り、ムサシに背を向けると、ひらひらと手を振りながら再び階段を上がっていった。
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はぅはぅー。
お待たせしました。これでステフとムサシの事もとりあえずは片付いたはずです。
大変長らくお待たせして&いきなりこんなに長々と書き込んでしまい申し訳ありませんでした。
あと、かっちん様が勘違いをしてらしたので、これを機会に皆に確認を1つ。
ステフはテレパシーで動物と話しているのではなく、ステフが動物の言葉を少し話せるんです。
あまりマイナーな動物になると無理ですが、
その辺にいるような鳥やネコ、犬、ねずみなどの数種類とは話す事が可能です。
はぐれ魔術師純情派(意味不明) 投稿者:シリン=ダー(みねの) 投稿日:2000/09/05(Tue) 11:27
「うみゅ〜、狭いですねぇ、ここぉ」
そのころ、鬼ごっこから気分を探検ごっこに切り替えたシリン(と不安のぬぐい去れないラスファー)は、いつのまにやら別荘の通風口をはい回っていた。ここも、屈強な人民服達が追いかけてこられないと言う点では、合格圏内に入る。杖を持ったままというのは動きにくいのだが――。
「僕達、ちゃんと逃げ切れるんでしょうか?」
「えー、多分大丈夫ですよー、きっとゼフィロスに戻れますよ♪」
(シリンさんの事だから、きっと根拠無く言ってんだろうなぁ――)
ラスファーは短期間でシリンのキャラクターをある程度理解したらしい、が、少し違う。彼女の行動に「根拠」がある場合も少なくないが、それを構成する理論は常人では計り知れないのである。
「あー、T字路発見ですよー、ラスファーさん。どっちに曲がりますぅ?」
「正しい方は判らないし、シリンさんにお任せしますよ」
「はーい、では、左に参りまぁーすっ!」
シリンはシャカシャカと前進し、四つん這いで素早く左に曲がった。ラスファーも彼女に続こうとしたが――
ガコンッ!!
「うわぁぁぁっ!!」
彼の両膝がT字路手前にある金網に触れたとき、非常に運悪く金網を止めていた、半ば緩んだボルトが耐久力の限界を超え、全部外れてしまったのである。ラスファーは、下の部屋に落下してしまった。そして、彼の叫びはエルフの聴力を持つはずのシリンに届かなかったのである。
「いたたたた、ここは――?」
ラスファーが落下した場所は、どうやら別荘の台所らしかった。現在は(自分たちが原因で)騒ぎが起こっているため、誰もいない。
今や最高潮に達した胸の動悸を何とか押さえつけながら、冷静になろうとラスファーは周囲を注意深く観察する。そして、さほど時間を置かずに彼はある扉を発見することが出来た。
(あれは、食材を搬入するための勝手口――?)
そーっと近づいてみると、鍵は外側に付いており、内側からはつまみを回転させるだけで鍵をかけたりはずしたり出来る仕組みになっている。つまり――
(僕は外に出られる!?)
外に見張りがいる可能性も考えたが、躊躇してはいられなかった。早く龍尾の構成員以外の人と接触して事情を話し、カロンに通報しなければならない。シリンとワタルを助けなければならないのだ。意を決してラスファーは外に飛び出した。
四つん這いが長かったため、足がもつれる。だがラスファーは必死に走った。やがて、彼の視界に龍尾の構成員達と戦う三人の男女の姿が目に入った。
再び、シリン。
彼女はあのT字路を抜けてから随分後になって、漸く背後に気配がないことに気付いた。
「あれ?ラスファーさぁん、どこに行っちゃったんですかー?」
通風口の中なので後ろを振り返ることは出来ない。が、あるはずの返事が無いことは彼女の集中力を殺がせるのに充分だった。
そしてまた、シリンの膝の下には耐久性の落ちたボルトで止められた金網があった。
ガコンッ!!
「きゃーっ!?」
そして、落下。
「うみゅ〜……」
頭のてっぺんを天使が回り、首をふらふら振るといういかにもな目の回し方をしたシリンが落ちた先は、別荘の中で最も重要な機密を保持している場所であった。
ツォウイン イン ザ・ミラー(パンドラ) 投稿者:飛 走影(宗一郎) 投稿日:2000/09/05(Tue) 20:43
「あれ?ここは?」
地面にしゃがみこんだままのシリンは慌てて、周囲を見渡す。なにやら、機械類が大量にあるのは理解できたが、
それが何であるかはシリンの理解力を超えていた。
その中で一つのものがシリンの目にとまった。
それは、ここに並んだ無数の機械群の中でもひときわ異彩を放っていた。
見た目は銀色の光沢を持つ柱だ。だが、それからは無数のコードが上へ下へと伸び、部屋にあるあらゆる機械とつながっている。
シリン床から立ちあがるのも、忘れてそれを興味深げにまじまじと見つめた。
そのすべらかな表面は鏡のようにシリンの姿を映し出していた。
と、シリンの背後に何かが映っている。
それは、どうやら人らしく、ゆっくりとした歩みでこちらに近づいてきた。
「ようこそ、我が龍尾の最深奥へ。お待ちしてましたよ、シリンさん」
頭上からの声に反応してシリンが上を向くと、背後から覗きこむようにしている見慣れた顔があった。
「あ、フェイさん。こんにちわ〜」
シリンは目の前に立つ最大の敵、ツォウインに対してもまったく動じず(というか、わかってないので)明るく返事をした。
フェイはそのシリンの挨拶に満足そうに笑みを浮かべると、後ろから抱えあげるようにして立ちあがらせた。
シリンは、パタパタと服の裾についた汚れを払うと、ツォウインの方を振り向いた。
「あ、ありがとうございます。あたしのこと待っててくれたんですかぁ?」
「いえ、ほんとはここにいたのは偶然なんですけど、ああ言う風に言うとかっこいいじゃないですか」
「そうですね。さっきのフェイさん、香港マフィアみたいでしたよぅ。すごい、かっこよかったですぅ」
笑顔のまま、ふざけた事を言うツォウインにシリンもさらにむちゃくちゃな台詞で返す。
「お褒めに預かり光栄です。ところで、シリンさんここの機械がなにか分かりますか?」
「機械のお部屋ですか?」
「まあ、間違いじゃありませんね」
そう言って、ツォウインはくすっと笑った。
「笑わないでくださいよぅ。正解は何なんですか?」
「シリンさんには少し難しいかもしれませんが、わかりやすく説明するとですね。ここはこの別荘はおろか、龍尾全体を統制する全ての
データが詰まった管理制御室なんですよ」
「……それって、すごいんですよね?」
「ええ、支部とは言え、一大犯罪組織のデータが詰まっているんですからすごいことでしょうね」
ツォウインのやや自慢げな説明にシリンはよくわからないながらも刻々と頷いた。
「とくに、先ほどシリンさんが興味を持っていたあの銀色の柱は『パンドラ』と言う名で呼ばれているデ−タバンクで、
このC−アトランティス全土のなんと8割もの冒険者の能力データが詰まっているんですよ」
「じゃあ、あたしやムサシさんのデータもあるんですか?」
「ムサシ?そのムサシと言うのは、もしかしてこんな感じの侍みたいな男ですか?」
ツォウインはシリンの口から漏れたムサシの名に興味を持ったらしく、ムサシとほぼそっくりな容貌の男の姿をシリンに伝えた。
「そうです。きっとその人、ムサシさんですよ。知り合いなんですか?」
「う〜ん、お友達……と言ったところですね」
ツォウインはやや含みのある言い方で目を細めながらそう言った。
「そうですかぁ……」
「おや、シリンさんところで、何でそんなに私から離れるんですか?」
気づくとシリンはいつのまにかツォウインのそばから離れ、ドアのすぐそばまで来ていた。
「知らないんですかあ?鬼ごっこはタッチしないとおわんないんですよ。えい、書庫解凍 ファイア 実行(ラン)」
シリンの生み出した炎が入り口近くに広がり、ツォウインのいくてを阻む。
「こう、見えても鬼ごっこは得意なんです。そう簡単にはつかまりませんよぅ」
弾むような口調でそう言うと、シリンはあっという間に廊下へ出て逃げ出してしまった。
ツォウインはかすかな微苦笑を浮かべると、おもむろに右手を振った。
すると、着ていた服の袖から出た何かが炎を打ち払って、ツォウインの前に道を作る。
「さすがですね、シリンさん。でも、こう見えても狩りは得意なんです。そう簡単には逃げられませんよ」
ツォウインは邪悪さなど欠片もないようないつもの顔つきで、損な空恐ろしい独り言をつぶやいた。
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つうわけで、某小説パクリタイトルシリーズ第2弾。
つうか、このネタをやるためだけにデータバンクの名前を『パンドラ』にしてみたり。(爆)
イメージ的には合ってるから、いいかなとか色々。
そして、最も重要な機密、結構なにげに書いちゃいました。
いいのかな?いいよな。なんと言ってもボスだし(爆)
したたかで手強い龍尾 投稿者:ワタル(かっちん) 投稿日:2000/09/05(Tue) 22:21
龍尾の中枢とも言える管理制御室に天井裏から落ちたシリンが鉢合わせたツォウインを振り切り逃げている一時間前のワタルの行動を振り返ります。
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(シリンさん、ラスファー君は上手く隠れることができただろうか!?)
ワタルは二人の安否を気遣いながら龍尾の人民服たちに次々と蹴りをいれて打ち倒した。
しかし次々に襲いかかってくる多数の敵兵たちに孤軍奮闘しているワタルも疲労困憊してスタミナ不足に陥ってしまった。
疲労困憊気味のワタルの前後を挟むようにして青龍刀を持った飛燕と道士が立ちはだかった。
「ワタル、降伏するなら今のうちだぞ。貴様一人で龍尾組に勝てると思っているのか?」
「ボクは一人ではないぞ。大勢の仲間たちが間もなく駆けつけるはずだ。」
「お笑いぐさだ。貴様の仲間たちはイカレ野郎とガキどもじゃないか、飛んで火にいる夏の虫どもだ」
「飛燕さん、あまり見くびらない方がいいですよ」
「ワタル、裏切り者が何をほざくか 。この飛燕の刃で討たれるかツォウイン様の毒爪で藻掻き苦しんで死ぬか好きな方を選べ」
飛燕は大きな青龍刀をワタルの頭上に振りかざした。
道士と人民服たちもワタルの退路を断つように取り囲んだ。
そんな光景を猫が獲物をいたぶるようにフェイは窮地にたったワタルを見て丸眼鏡に手をやりながらほくそ笑んでいる。
「ワタルさん、あなたは龍尾組を裏切ることはできないのです。もうすぐわたしの言うことを聞くようになるでしょう」
「ボクは、絶対に降伏はしない」
フェイはワタルの不意を付くかたちで催眠魔法をかけた。
「書庫解凍(メルト)! インスパィア 実行(ラン)」
ワタルの目の前に稲妻が走った。
その瞬間、ワタルは地面に倒れ込んでしまった。
しばらくしてワタルはフェイの呼びかける声で目を醒ました。
「ワタルさん、シリンさんとラスファーさんを連れ戻して来てください」
「ツォウイン様、了解しました」
ワタルはロボットのようにフェイの命令に従ってシリンとラスファーが隠れていそうな場所を探しに出かけた。
龍尾の多数の構成員たちも大事な商品であるシリンとラスファーを必死に捜索している。
フェイは一人で龍尾全体を統制する全てのデータが詰まった管理制御室に入った。
ワタルもシリンたちの捜索で管理制御室の側を歩いていると廊下を走って行くシリンを見つけた。
「ワタルです。もう、鬼ごっこは終わりだよ。シリンさん!」
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一方、別荘入り口近くで6人の構成員たちが消えたことはすぐにフェイに感知されていた。
部下の持ち場がすぐに分かるように龍尾別荘の構成員の一人一人に認識票を兼ねたセンサーがつけられていた。
フェイは凄腕の侵入者たちを龍尾組に取り込むために外交手腕のある張飛(ちょうひ)と言う名の使者を送った。
龍尾別荘から命からがら逃げ出したラスファーが目の前で龍尾の警備兵6人を撃退した3人の男女に助けを求めて彼らに近づこうとしたとき人民服姿のフェイの側用人の張飛がアレイク、リン、クリスたちの前に拍手しながらにやけた笑みを浮かべて現れた。
「凄腕の龍尾組員6人をあっという間にうち倒すワザはお見事です。私はツォウイン様の側用人をしている張飛という者です。そこで相談ですが、あなたがたの腕を龍尾組が高く買いましょう。」
「C-AXIS界最大のハッカー組織の龍尾の用心棒になれだと。 殺されたくなかったら。今すぐ、失せろ!」
アレイクの荒々しい口調をいっこうに気にせず張飛はつづけた。
「われわれ龍尾組を抹殺して僅かな報償金をもらったとて徳にもならない筈です。それよりも龍尾と組んでC-AXIS界を乗っ取ろうではないですか。あなたがたと組めばC-AXIS界は我々のものです。あなたがたの望む金額と地位を保証します。なおかつ宰相でもなんでも重要なポストに任じますのでご一考くだされ」
怪訝そうな顔をしているアレイクの袖を引っ張りながらリンが応えた。
「一考する価値がありそうね!」
「さすが、物わかりのよい賢いお姉さんです。そこの綺麗なお嬢さんはいかがですか。お三人の話し合いがまとまればこの張飛がボスのツォウイン様の所へご案内します。ご忠告しますが、ここより先には罠がたくさん仕掛けられてますからご注意くだされ」
張飛はアレイク、リン、クリスの話し合いの結果を辛抱強く待っている。
「そろそろ、話し合いがまとまりましたか?では、YESかNOか ご返事くだされ」
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注釈
* インスパィア・・・・・命令されるままのロボットにされてしまう催眠魔法
*張飛(ちょうひ)・・・・・フェイに外交手腕を買われて側用人を務める期間限定のサブキャラ
ひとり 投稿者:ムサシ&アピア 投稿日:2000/09/06(Wed) 01:16
「ふぅ……」
人気が無くなり、静かになった芝生に腰を下ろす。
「ったく、参ったなぁ……まさかクトフがいたとはねぇ……」
頭をぽりぽりかき、寝転がる。
見上げたところには――アピアが立っていた。
「うをぉ!?」
慌てて身を起こすムサシ。
「い……いつからいたんだ!?」
「芝生に座ったあたりから」
「まったく気配を感じなかったぞ!?」
「まだ動揺してるからじゃないの?」
「……そ、そうか?」
「そんなのあたしにわかるわけ無いじゃない、それより……これ返すわよ」
ポケットから小さな風鈴を取り出し、ムサシの顔の前に掲げる。
「うーん、できればもっててほしいなぁ」
「いや」
「そこをなんとか!」
「死にに行く気で渡してくれたんでしょ?だからいや」
「アピア……」
顔をあげ、アピアの顔を見る。月が逆光になり、その表情まではうかがえない。
「……デリートされたらアイテムも全て同時に消えるから……それをなくしたくないんだ……」
「だったらデリートされないようにしなさいよ」
「それは無理だ」
きっぱりと、意思を込めた瞳でアピアを見つめてつぶやく。
「俺は、フェイを殺すから……」
訪れる沈黙。
「あんたの過去に何があったかは聞かないわよ。でも、それにあたしを巻き込まないでほしいわね」
「俺は巻き込んだ覚えは……」
「あんた、ログクラッシュ受けたでしょ?」
突然の話題転換に軽く混乱する。
「あ、ああ……なんで知ってるんだ?」
「それを助けたのはあたしよ」
「はぁ?あれは俺の精神……」
「抵抗できるレベルの魔法じゃないわね」
「だ……だって、現実に……」
「その刀のおかげよ」
「これ……?たしか村雨って言ったよな?」
無言で頷く。
「それがいったいどう関係あるんだ?」
「それ、魔法を吸収する効果があるの。もちろん刀を抜いたときだけだけど」
「そ……そうだったんだ……」
「そんなことはおいといて、これ、返すわよ」
風鈴をムサシの胸元に放り投げる。
「お……おい!」
あわてて受け取ったとき、アピアはすでに背を向けている。
「とにかく、作戦会議にでなさい。あんたでもすこしは役に立つでしょ」
それだけ言うと、階段を上っていく。
「はぁ……」
大きくため息をつき、もう一度寝転がる。
今度は誰にも邪魔されず、空を見上げることができた。
「結局、俺一人のちからじゃ何にもできないってことか……」
風鈴の紐をもち、軽くふる。
ちり〜〜〜ん……
それは、心に染み込んでくるような美しい音色を奏でる。
それを2、3度繰り返し、ゆっくりと起き上がる。
「参加するかぁ……」
そうつぶやくと、ムサシはゆっくりと階段を上っていった。
一筋縄ではいかない! 投稿者:シリン=ダー(みねの) 投稿日:2000/09/06(Wed) 02:38
「え?鬼ごっこ終わったんですか〜?じゃあ、あたしはぐれちゃったラスファーさん探しに行きますね〜♪」
警戒心を失って近づいてきたところを捕まえるつもりが、シリンはそのまま去ってしまった。
ひゅるるるるる〜――
ワタルの前を何故か冷たい木枯らしが吹き抜ける。だが、これでシリンは捕まえたも同然である。ワタルはラスファーの方を探しに行った。
それから五分後。
「おっ、いたぞ、シリン=ダーの方だ!」
「捕まえろ!」
「や〜、まだ鬼ごっこ終わって無いじゃないですかぁ、ワタルさんの嘘つき〜!!書庫解凍(エキスパンド)!スリングザビット、実行(ラン)!」
結局また人民服達から逃げることになった、シリンだった。そしてまたも彼女を取り逃がした人民服達は、かなり相当間抜けかもしれない。
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こっちの方で次にカキコ出来る人は、ラスファー、アレイク・リン・クリスの誰かですね。
迷走 投稿者:アレイク(うなぎ) 投稿日:2000/09/06(Wed) 13:16
「いいだろう。手を貸そう」
沈黙を破ったのはアレイクであった。無表情のままリンに視線を送り頷いてみせる。リンはその視線から彼の意を感じ取った。潜入するつもりなのだ。ツォウインに近づくには最も手っ取り早い手段であろう。だが、相当な危険も伴う。
「いい話ですね。私も行かせてもらいます」
覚悟を決めて調子を合わせるリン。心の中でため息をつく。
「あはっ!面白くなってきたわ。当然私も付いて行くわね」
何も考えずに答えているようにしか見えないクリス。これにはさすがにアレイクも閉口した。だがもはや構ってはいられない。このクリスが自分たちの障害になるか、はたまた助けになるかは、運に任せるほかない。
「では早速ご案内いたしましょう」
慇懃な口調で三人を促す張飛。
その様子を山の斜面からせり出す梢に隠れ、見下ろす形で伺っていた者がいた。ラスファーである。彼はこの三人の男女に助けを求るため、駆けだそうとしていた。しかし、その時突然現れた龍尾の構成員らしき男によって、その望みは絶たれてしまった。
ぺキッ
「!」
「誰だっ!」
張飛とアレイクたちの視線が山の上の斜面に集まる。そこには梢の陰から走り出すひとつの影が。
「ちょうどいい。あの不審な人影を追い、捕まえて来てください。そうすればボスの信頼も得られましょう」
張飛はアレイクを振り返り、無機質な笑顔をたたえて言った。
「テストってわけだ」
苦虫を潰すアレイク。しかし決して表情には出さない。
「ええ。必要な事ですし、私の仕事です」
人影が消えた方へと走り出すアレイク。リンとクリスもその後に続こうとしたその時、張飛の始めて発する強い語調が二人の足を止めた。
「お待ち下さい!あの不審人物を捕まえて来る事ぐらい、あの人一人で充分でしょう。あなたたちにはここに残っていただきます」
チッ‥。心の中で舌打ちをするリン。いざとなったらこの張飛と名乗る男と一人で戦わなければならなくなるだろう。クリスは高度な魔法こそ所持しているわけではないが、そのタイムラグの少なさからかなりの経験値を積んでいる事が伺える。だが、単なる物好きな経験値稼ぎプレーヤーともとれる彼女、いや、彼をあてにするわけにも行かない。
一方アレイクはそんなリンを、クリスや張飛とともに残して暗い森の中へと消えて行った。どうする。と、自問自答を繰り返すが答えは出ない。
‥‥私にはツォウインを倒すと言う目的がある。そしてそのツォウインに近づくために、今、目の前を走る部外者であろう黒い影を犠牲にするか。いや、それではあの時と一緒だ。あの、セピアが兄として慕っていたジャックをデリートしたあの時と‥‥。
やがて前を走るラスファーの行く手は絶壁に阻まれた。
「そこまでだ」
「ハァ、ハァ、ハァ、‥‥」
息を切らすラスファー。冷たい表情のまま彼を追い詰めたアレイク。月は傾き、白らみ始めた夜明け前の空の下で対峙する二人。
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だぁぁっ!わからん!どうしようっ!(爆)
そろそろ朝にしようかと思いますが、いかがでしょう?
現在アクシズ時間午前4時って感じで。
ちゅーか、そうしたらみんな徹夜か!?(汗)
シリン振り出しに戻る 投稿者:シリン=ダー(みねの) 投稿日:2000/09/06(Wed) 13:50
さて、ワタルや人民服達から逃走したシリンは、再びあの通風口を這っていた。
「もう、ワタルさんが嘘をついたなんで、きっとワタルさんは捕まって鬼にされちゃったんですね!」
――鋭いぞ、シリン。
(それにしても、ラスファーさんは何処にいっちゃったんでしょぉか……)
シリンは、ラスファーがまだ通風口にいると思いこんでいる。まだ通風口で通っていないところはたくさんあるので、探検がてら彼を捜すつもりだった。