第一話:本人不在の争奪戦

「来たか……」
朝霧煙る河原、竹刀を手に二人の男が対峙する。
まるでひと昔前の漫画によく出てきたような『河原での決闘シーン』を彷彿とさせるが、
時代の流れか二人共ブレザーなのが少しマヌケに映る。
「いつも遅刻してくるお前が、今日は珍しいなぁ……」
待っていた男が言葉を続ける。
長めのダーティブロンドの髪が風になびく。
180を優に超すその男は、立っているだけでも絵になっている。
竹刀を肩に当てどこか皮肉な表情をしているが、彼の紫の瞳は笑っていない。
「まぁ……今日は珍しく目が覚めたから」
対する黒髪の少年も180前後と決して低くはないが、相手が相手なだけに少し小さく見える。
同じく竹刀を持っているが、こちらは覇気というか、やる気が感じられない。
「目覚ましくらいセットしておけ……」
「ははは、セットしても聞こえないし」
「……たく……」
男は竹刀を肩から下ろし、軽く持つ。そして、
「今日こそ決着をつけるぞ、ムサシ……」
口調こそはさっきと変わらないが、殺気が倍以上に膨れ上がっている。
対するムサシと呼ばれた黒髪の少年は、悲壮な顔を相手に向ける。
「……どうしても……」
「あん?」
「どうしても、戦わなくてはいけないのかな……」
「うんにゃ、戦わなくてもいい方法はあるぜ」
ムサシの顔が輝く。
「ほんと!?どうすればいいんだい、兄さん」
「貴様が俺のことを兄さんと呼ばなければいいんだよ!」
男は先ほどまでの表情とは打って変わって、子供が見たら間違いなく泣きじゃくるであろう表情を浮かべ、ムサシに襲い掛かる。
「うどわぁ!」
間一髪、すんでのところで避けるムサシ。
「いきなりそれはひどいじゃないか兄さん!」
「俺の名はクトファーだ!てめぇに兄さん呼ばわりされる筋合いはねぇ!」
「あ……ごめん、義兄さんだったね」
「だぁっ!てめえ、いいかげんにしろぉ!」
竹刀を振り回し、ムサシに攻撃するクトファー。
その攻撃の一つ一つが鋭く、的確に急所を狙っている。
「どわわわっ。やめてくれよ義兄さん!」
「てめぇ、まだ言うか!だいたい、俺とお前は同い年(ため)だろうが!何十回言わせる気だ!」
クトファーの、ともすれば殺しかねない勢いの攻撃をなんとかすんでのところで避ける。
「よけるな!さっさと当たって死ね!」
「無茶いうなぁ!」
こうして、日常茶飯事となっているロイミ町の朝は明けていった。

日もだいぶのぼり切り、早朝ランニングをしてる人たちがちらほらと目に付くようになった頃。
「ねぇ、あそこにいるのステフのお兄さんじゃないの?」
早朝練習にでも参加するのか、二人組みの女子高生が河原沿いの道を歩いている。
二人共背が低く、特に片方は中学生、もしくは小学生に間違えられかねないほど、小さい。
「ん……?そだよ」
背の低いほう、ステフと呼ばれた少女が答える。
陽光をうけ、淡いプリズムブルーの長い髪がきらきらと輝く。
口調こそ男っぽいが、れっきとした少女である。
「そだよって……喧嘩してるんじゃ……」
背の高いほう、ルフィーが額に汗をたらしつつ眺める。
こちらも、ピンクの髪が印象的な美少女だ。
「ああ、あれね。ルフィーはこの道、通るのはじめてだったっけ?」
「え……ええ」
「あれ、ほぼ毎日やってる、ある意味ロイミ町の名物だよ……って、兄貴の事知ってんの?」
「有名だもん、ステフのお兄さん」
「ほえ?そうなの?」
「ええ……その……クトファーさん、女性には必ず声を掛けるって……」
「ったく……相変わらずだなぁ、兄貴も」
苦笑を漏らしつつ、再び歩き始めるステフ。
「ほら、早くしないと朝練遅れるぞ、ルフィー。こんど弓道の大会あるんだろ?」
「ええ、あなたも陸上部の大会近いのよね?」
「ああ」
答えながらふとクトファーの方を見る。そして言葉を続ける。
「兄貴もだけどね」
「お兄さん、余裕なんですねぇ」
「余裕……なんかなぁ。でもまぁ、あれも毎日の日課だし……って、毎日やるから日課なんだよっ!」
「いや……一人でつっこまれても……」
「まぁいいや、早くいこうよ!」
照れ隠しもあり、足早に歩き出すステフ。
「あ、まってよぉ」
慌てて追いかけ、そのまま曲がり角へと消えていく。

時を経る事数時間
彼らはまだ戦っていた。
といっても、クトファーの一方的な攻撃だけだが。
「はぁ、はぁ、いいかげん疲れたぞ」
「そりゃ、あれだけ攻撃してたらねぇ」
クトファーの攻撃を、あるいは最小限の動きでかわし、あるいは竹刀で軌道を変えて避けていたムサシは息すら切れてない。
「てめぇ!そういやなんで攻撃してこない!いつもと違うじゃねぇか!」
クトファーの叫びに、大げさに驚いてみせるムサシ。そして彼は首を振って、しゃがみ込んだ。
「まさか!義兄さまに攻撃など!……うう……ここまで信用されて無かったとは」
「で、本音は?」
そんなムサシを冷静に見下ろすクトファーが問いただす。
「近々試合があるんで、その調整」
対してムサシは、けろっとした顔で舌なんぞをだしつつ答えた。
「はぁ……疲れた……」
竹刀を杖に、しゃがみこむ。
「で、いつになったら義兄さんとよばせてくれるんだ?」
「一生ない!ステフは俺のものだ!」
疲れながらも言い返す。その目は曇りなく、かなり本気のようだ。
「なぁ、それって人間として問題ないか?」
土手の草原に腰を下ろしつづける。
「血のつながった兄妹だぞ?」
「るさい!てめぇには関係ない!」
「はぁ……シスコン……」
「だーら、てめぇに言われる筋合いはねぇってんだろ!」
本気で殺しかねない表情で睨む。
「あ、ああ……」
流石に気押されて、うなづく。
「そ、それより……」
「ん?」
「そろそろ学校いかないと、遅刻だぞ?」
「……なに!」
慌てて立ち上がる、クトファー
「どうして早く言わねぇ!」
「ん?どうしたんだい?」
ムサシの声も聞かず、走り出す。
「あ、おい!ったくぅ……」
仕方なく追いかける。
「いったいどうしたんだ?遅刻の一回や二回……」
「いーや、だめだ!皆勤賞ねらってるから、こんなところでポカするわけにはいかねぇんだ!」
「そんなの狙ってるんだ?」
「ったりめーだろ!男として生まれたからには一度はとっておかないとな!」
「そんなにすごいもんか?」
「ああ!小学生のときは風邪で、中学は事故でやすんじまったからな、高校ぐらいはとっておかないと……見えた!」
校門が見える、が、風紀委員の腕章をつけた男が門を閉めようとしている。
「まて!まってくれぇ!」
クトファーが叫び、速度を上げるが、風紀委員の手は止まらない。

がしゃん

校門が閉まると同時にチャイムが鳴る。
「さて、遅刻だ。学生証を出したまえ」
「ちょっとまて、これぐらい普通セーフだろ!」
当然食い下がるクトファー、門が遮ってなかったら、噛み付きかねない勢いだ。
「私にとっては、これが普通だ。君のものさしで物事を測らないで欲しいな。さあ、学生証を……」
「なんでだよ!いいじゃねーか!」
「まぁ落ち着けって……」
ムサシが諌める。
「遅刻は三回で欠席一回だし、今回ぐらい……な?」
「そんなおまけみたいな皆勤賞だめだ!目指すはパーフェクト!」
「そんなこと言っても、無理っぽいよ……」
「いや、まだ今ならHR前だ!なんとかなる!」
「無駄です、絶対に例外を認めるわけに……」
途中で硬直し、一点を見つめる。
「ん?」
気になり二人も後ろを見る。
遠くから、黒塗りのベンツがすごい勢いで迫ってくる。
「うどわあ!」
急ブレーキを掛け、二人の数メートル手前でとまる。
「……し、死ぬかと思った……ん?」
校門が音を立て、開く。
風紀委員が出てきて、車のドアを開ける。
「おはようございます、カッツェ様」
「おはようございます、アレイクさん」
優雅に、少女が降りてくる。
「あら・・・・・・こちらの方たちは?」
カッツェはムサシ達に気づき、問い掛ける。
「ああ、カッツェ様、お気になさらないでください。こんな奴らとかかわると、あなた様の品位が下がります」
間に割ってはいるアレイク。
「なぁ・・・・・・俺たち酷い言われようだな?」
「そうだな・・・・・・けど・・・・・・」
ムサシがちらっと校門を見る――開けっ放しにされたままの。
「いくか・・・・・・」
クトファーの言葉を合図に二人は校舎の中に駆け込んでいった。
「あの、アレイクさん・・・・・・」
「はい?」
「あのふたり・・・・・・」
「ああ、見ないでください!本当にけがわらしいやつ等ですので・・・・・・」
もはや二人がいないことに気づくまで、もうしばらくかかるアレイクだった。

「なぁ、今日はもうやめようぜ?」
放課後、日もだいぶ暮れ、夕焼けが町を朱に染める。
夕日を背に、クトファーが疲れた顔でムサシに提案する。
「えー、もうすこしやろうぜ?」
対するムサシは不満げだ。
「あのなぁ・・・・・・俺ももうすぐ大会があるの。お前の調整にばっかり付き合ってられるか!」
竹刀を杖に立ち上がり、踵を返す。
「そうかぁ・・・・・・やっと認めてくれるんだね・・・・・・」
「あん?」
足を止め、振り返る。その顔は殺気に満ちている。が、すぐに元に戻る。
「ふ・・・・・・ふん、そんなこと言っても俺がのるわけないだろ」
余裕を見せて、笑顔を見せるが、いつもの余裕が無い。
「うんうん、そっかぁ・・・・・・君の分までステフを幸せにするよ」
「・・・・・・ご勝手に・・・・・・」
こめかみの辺りがぴくぴく震えている。
「そう?やったぁ!ありがとうね、義兄さん♪」
「お・・・・・・俺がそんなのにのるわけ・・・・・・」
「結婚式には呼ぶね」
「こんだりゃあ!」
こうして、第三ラウンドが始まった。

「車の外から見る景色も、普段とちがって素敵ですねぇ・・・・・・」
朝の少女、カッツェが川沿いの土手をアレイクと歩いている。
「そうですか、それは何よりです」
「アレイクさん、付き添いなしでも帰れますよ?」
カッツェのカバンを持っているアレイクに、申し訳なさそうに話す。
彼は、それを言ってもらっただけでも幸せらしく、頬を紅潮させる。
「そういってもらえるだけでも恐悦至極にございます」
「は・・・・・・はぁ・・・・・・」
苦笑を浮かべつつ、それでも嫌ではないようである。
「でも、本当に綺麗・・・・・・車が渋滞でこれなかったからこそ見れたのですから、感謝しないと」
夕日が川に反射して、煌めいている。
それを背景に歩いているカッツェは、幻想的とも言えた。
アレイクでなくとも、その姿を見れば惚れてしまうだろう。
「あら、あそこは?」
カッツェが河原にある人影を指差し、尋ねる。
「あれは、朝の二人!おのれ・・・・・・今朝の罰を与えねば、カッツェ様、ここで待っていてください!」
言うが早いか、カッツェの返事も待たず走り出す。
「あ・・・・・・いっちゃいましたねぇ・・・・・・」
カバンを彼が持っているので、仕方なく立ち止まり、事の行方を眺めることにした。

「貴様ら!朝はよくも逃げてくれたな!」
二人のもとに着くなり叫びだす。
「ん?」
「なんだ?」
仕方なく手を止め、振り向く。
「なんだ、風紀委員の坊さんじゃないか」
ムサシが竹刀を肩に乗せて話す。
「坊さんじゃない!クリスチャン、神父だ!」
「一緒じゃないか、洋風なだけで」
「思想からなにまで、まったく違う!!!」
何気にムサシに話題を変えられていることに気づかないアレイク。
その後ろでは、クトファーが偲び笑いをもらしている。
「ふぅん。で、どうして朝のねーちゃんだけには親切なんだ?」
「女神様をそんな俗物みたいに呼ぶな!」
「女神様?あのねーちぇんが?」
「貴様・・・・・・死にたいらしいな?」
アレイクが拳を震わせる。実際、カッツェのカバンを持っていなかったら、襲い掛かっていたことだろう。
「そんなにすごいやつなのか?」
「貴様、カッツェ様を知らないのか?」
「あ・・・・・・ああ。だめなのか?」
震わす拳を顔に当て、首を振るアレイク。
「これだから俗物は・・・・・・いいか、よく聞け!彼女こそはC-ヤマトの小さな町からはじまった、今こそは世界有数の運送会社の会長の孫であり、ミスアクシス学園を連覇しているカッツェ様だ!」
「クトフ、知ってるか?」
「当然だろ?俺が学園の女性を知らないわけないだろ」
さも当然そうに答える。
「ちなみに、某運送会社ってのはあれだろ?黒猫ヤマトの宅急便だろ?」
黒猫ヤマトの宅急便、そのなの通り、C-ヤマトが発祥となっている世界最大の運送会社である。
「ほぅ、貴様は少しは見所があるな」
アレイクが見直したようにクトファーを見る。
「ふーん、俺には関係ないや」
本当にどうでもよさそうに呟く。
「俺にはステフがいれば十分さ」
「だから、あいつは俺のものだっていってるだろ!しつこいんだよ!」
「お前こそ、いいかげん諦めろよ。兄妹で結婚なんてできないんだからさ」
「だからといって、他人にやる必要はない!」
結局、さっきの続きがはじまってしまった。
アレイクも、当初の目的をすっかり忘れ、とりあえずカッツェの方へ向かい歩き出す。
カッツェまであと半分の距離になったころ――

カシィン

澄んだ音がして、アレイクの頭上を何かが通り過ぎていく。
それは寸分たがわずカッツェに向かって飛んでいく。
「カッツェ様!」
「はい?」
カッツェはまったく気づいていないようだ。
その謎の物体は、見る間にカッツェとの距離を縮める。
そこでようやく彼女はそれ――竹刀だが――に気づいた。
「きゃあ!」
叫ぶ暇もあらばこそ、竹刀はすぐそこまで迫っている。

バシィ!

竹刀が何かにぶつかる音、そして地面に落ちる。
その音は人に当たった時の音ではなかった。
「大丈夫か?」
「あ・・・・・・ありがとうございます」
竹刀が当たる寸前、パーカーに身を包んだ少女――にしては少年っぽいが――がカッツェに飛びつき、彼女をまもったのだ。
「まぁ、怪我が無くてよかったよ。ったく・・・・・・兄貴達もまわりを見ろってんだよ・・・・・・」
起き上がり、土を払ってクトファー達の方へ進む。
途中すれ違った金髪の少年、アレイクが深深とお辞儀をする。
「ありがとうございました」
「ああ、気にすんなよ。兄貴達が悪いんだからさ。今から叱ってくるよ」
「ええ、私はカッツェ様のもとに向かいます。失礼ですが、あなた様のお名前は?」
ムサシ達の時とはうってかわり、礼儀正しい口調で話すアレイク。
「おれ?おれはステファン=ノティスっていうんだ。ステフって呼んでくれ」
「ステフ様ですね、このご恩は忘れません」
もう一度大きくお辞儀をすると、カッツェの方へと走っていった。
「さて・・・・・・兄貴達に文句をいってくるか・・・・・・」
振り向いた瞬間、ステフが止まる。
「てめえ、もう少しでステフが怪我するところだったじゃねえか!」
「みゅううぅぅ・・・ごめんよぅ・・・・・・」
竹刀を弾き飛ばされたクトファーが、ムサシをたこ殴りにしている。
「あ・・・・・・兄貴・・・・・・」
仕方なく、仲裁にはいるステフであった。

「カッツェ様、お怪我はございませんか?」
「え・・・・・・ええ」
まだ驚いているのか、口調がどこか呆けている。
「申し訳ございません、私があなた様から離れてしまったばかりに・・・・・・」
この場で切腹でもしかねない悲壮な表情でカッツェをみる。
「あ・・・・・・ああ、気にしないで。あの方のおかげで無事だったから」
「あの方・・・・・・ステファン様ですね」
二人を仲裁している最中のステファンに視線をうつす。
「ステファン・・・・・・様・・・・・・」
このとき、アレイクは気づかなかった。
後に起こる最大の不幸の前兆がここにあったことに。

「来たか……」
朝霧煙る河原、竹刀を手に二人の男が対峙する。
いつもと変わらない光景、ロイミ町名物である。
「なぁ、明日大会だから今日は止めようよ、な?」
「珍しく弱気だな、ムサシ!ということは諦めるのだな!」
「いや・・・・・・そうは言ってないけど・・・・・・」
頬をぽりぽり掻きつつ、冷や汗をたらしながら、ムサシ。
「いーや、お前はたった今、放棄したんだ!これからあいつは俺だけの・・・・・・」
「お待ちなさい!」
声は、意外なところから意外な人物が発していた。
土手の上に一人の美少女が立っている。
その少女は、ゆっくりと土手を降りてこようとし、滑って転ぶ。
「あらららら」
「大丈夫か」
ムサシが、手を差し伸べる。
しかしそれを弾いて、自分で立ち上がり土を払う。
「あいた!」
「敵に塩を送ってもらう訳にはいきません!」
「・・・・・・敵?っていうか、君は昨日の・・・・・・?」
「シュバルツ=カッツェです!」
ムサシに本気で噛み付きそうな勢いで答える。
「で、その女神様がなにか用かい?」
嫌な予感がしつつも聞いてしまうクトファー。
「ええ、ステファン様をいただこうと思って来ましたの、義兄様♪」
「・・・・・・はぁ?」
ムサシとクトファーの声がはもる。
「ええ、ステファン様は私のものですので、今後ともよろしくです」
「あの・・・・・・ステフって女だぞ?」
「気安く呼び捨てにしないでくださいまし!」
「げふっ」
ムサシのみぞおちに肘鉄を入れる。
たまらずその場に崩れる。
「やるな・・・・・・こいつ・・・・・・」
ムサシを一瞥すると、吐き捨てるように叫ぶカッツェ。
「私が女性を好きになるわけがないじゃないですか!だから、ステファン様は男なのです!」
「・・・・・・めちゃくちゃ・・・・・・ごふぅ!」
ムサシが落とした竹刀を拾い、止めを刺す。
「さて、義兄様。これから勝負していただきます」
「・・・・・・なぜ?」
「義兄様に勝てばステファン様をいただけるんでしょう?」
「なんでやねん!」
「問答無用です!」
女性には手を出さない主義のクトファーは、仕方なく避けに徹する。
こうして、朝のメンバーが一人増えた。

「兄貴達、仲間が増えたみたいだなぁ」
「そ、そうみたいね」
いつもの時間に現れるステフとルフィー。
「ま、なんか楽しそうだしよかったな」
「・・・・・・そうかしら・・・・・・」
ルフィーの呟きは、ステフには届いていなかった。

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